大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で主演の吉沢亮

「江戸が東京という名前に変わったり、それこそ銀行とか、いまの時代を生きるうえでなじみのある言葉がどんどん飛び交い始めていて。“普段、何げなく使っているものが、こういうふうに生まれてきたのか”と僕自身も楽しみながら栄一を演じています」

 明治編に入り、ますます盛り上がりを見せる『青天を衝け』(NHK総合)。昨年7月のクランクインから1年以上続く撮影もいよいよクライマックスに向けラストスパート。ひとりの人間をここまで長く演じてきたことで、とても貴重な経験ができたと話す。

吉沢亮「無意識に栄一になっている

ずっとここまで役を生きてきたから、もう身体に染みついているというか、意識しなくてもスッと栄一が出てくるんです。

 役のオンオフを意識して切り替えができるタイプだと思っていたんですが、NHKに来てスタジオに入り、セットに入った瞬間、しゃべり方とか無意識に栄一になっている。こんな経験ないですし、大河ならではじゃないかなって思います

 物語は、栄一が明治政府を辞め、銀行の総監役に。今後もひと筋縄ではいかない強力なライバルたちと競い合いながら、日本の発展を目指していくことになる。

明治編もみんなキャラが濃いですからね。それこそ三野村さん(イッセー尾形)とか出会ったときから“何だこの人は!”って感じでした(笑)。

 いままでは栄一が変人で、周りが振り回されていた感じだったと思うんです。明治に入ってからは変人ばかりで、逆に栄一が振り回されることが多くなってきている。

 でも、実業界に入って、ここからが栄一の本領発揮だと思うので、そこを楽しんでいただければと思います

 栄一が実業家として多くの功績を残していく一方で、変わらないのが慶喜(草なぎ剛)との主従関係。

栄一にとって慶喜は、将軍になる前からずっと尊敬している人。だから、どんなに偉くなって上に立つ存在になっても、慶喜の暮らす静岡には何度も挨拶をしに行くんです。

 栄一と慶喜の関係性というのが、この作品の大きな1つのテーマですし、最後まで見どころになっていくと思います

吉沢亮、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)のインタビュー取材

 そんな吉沢は、慶喜とのシーンを演じる中である共通点に気づいたそう。

ちょっと形は違うかもしれませんが、栄一の慶喜に対する尊敬と、僕が草なぎさんに感じている尊敬はリンクしている部分があるなって思うんです。

 それこそ、小学校時代から見ていたスターですし、役者としてもいろんな作品を見させていただいたので、憧れというか、すごい方だというのは共演する前から思っていました。

 その関係性が自然と出ればいいなって思いながら、慶喜とのシーンは演じています

“ダーク”栄一あらわる!?

栄一はやっぱり大人になったなって演じていても思うんです。これまでは自分が正しいと思ったことに突き進んでいましたが、新政府に入って以降は、自分の道理とははずれたことをしたりと、ちょっと汚さを覚えてしまって。

 なので、明治編ではダークな面も少し出しながら演じたりもしています。血洗島のころの無邪気だった少年が、こうやって大人になっていくんだっていう寂しさを感じ取ってもらえればと思います

栄一に危機迫る! 次回(10/31)の『青天を衝け』は?

 栄一(吉沢)が総監役を務める第一国立銀行の大株主、小野組が倒産。無担保で多額の貸し付けをしていた第一国立銀行も連鎖倒産の危機に陥る。さらに三野村(イッセー尾形)率いる三井が、この機に乗じて銀行を乗っ取ろうとしていることを知った栄一は、一世一代の大勝負を仕掛け……。栄一はこのピンチをどう乗り切るのか!?

大河ドラマ『青天を衝け』NHK総合 日曜夜8時〜ほか
大河ドラマ『青天を衝け』NHK総合日曜夜8時〜ほか
PROFILE●吉沢亮(よしざわ・りょう)1994年2月1日生まれ。2009年、『アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン』で、“Right−on賞”を受賞し、芸能界デビュー。主な代表作にドラマ『仮面ライダーフォーゼ』『サバイバル・ウェディング』、映画『ママレード・ボーイ』『BLEACH』『銀魂』など多数。