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 寒くなると感染症だけでなく、日本人の3大死因のうちの2つ、脳卒中や心筋梗塞の発症も増える。

日頃の習慣で病気を遠ざける

「脳卒中や心筋梗塞は生活習慣病が引き金となっていることがほとんど。これらは不適切な『生活習慣』から生まれる病気です。正しい生活習慣に改善することで予防できますよ」と話すのは、医師の秋津壽男先生。

「例えば座りっぱなしだと肥満や糖尿病、高血圧などのリスクが上がる。1時間に1回立って伸びをするだけでもリセットできます」

 そんなちょっとした習慣が今後の自分に影響してくる。また感染症も生活習慣によって回避できると話す。

「体温は体調の変化をみる重要なバロメーター。毎日朝夕に測って記録しておくといいでしょう。また箇条書きで構わないので、体温のほかにも血圧、自覚症状などをまとめて記録しておくと比較がしやすく、数値が悪いときはすぐ寝る、病院にかかってみる、など早めの対策ができますよ」

《1》メモ習慣で体調変化を見逃さない

 健康を守るためには小さなサインに気づくことが大切。その日だけの不調なのか継続して起きているのかなど、記録によってどのような体調変化があったかがわかると、医師は診察がスムーズに行える。今は発熱があっても気軽にかかりつけの病院に行けない人も多い。

体調メモで体の不調を見逃さない イラスト/アサミナオ

 発熱時には新型コロナウイルスなどの感染症が原因であるかどうかを判別する資料にもなり、保健所や医療関係者に説明しやすくなる。その他の項目にはのどの痛み、腹痛、下痢、めまい、味覚・嗅覚障害など、その日に感じた不調や月経周期を書き込んでおこう。

《2》雑食で免疫力アップ! 広く食べるが勝ち

 人間はいろいろなものを少しずつ食べることで、偏りなく栄養分をとることができる。こうしておけば、仮にその中の食品に発がん性のある物質が含まれていても、食べたのは少量なので問題はない。

 厚生労働省の指針である「1日30品目」を目標にすれば、免疫力アップにも◎。少しずついろんな品を食べることで食べすぎも防げるので、肥満改善にも効果的だ。

《3》毎日、体重計に乗ると自然に無理なくヤセる身体に

毎日体重計に乗るだけで「痩せ体質」に イラスト/アサミナオ

 生活習慣病予防のためには自分の身体を知ることが大事。体重は経過を比較することが重要なので、できれば毎日、同じ時間帯に量るのがおすすめだ。おすすめは朝一番。昨日より0.5kg減っていれば成功と考えよう。

 まめに体重計に乗ることで自然と食事や運動量などの生活習慣にも気を配るようになり、肥満とサヨナラできる。1か月あたり-0.5kgを目標にしよう。

何気ない習慣が、健康を守る

《4》野菜は温めて食べると消化されやすく気持ちも落ち着く

 免疫細胞の6割が集まっているという大腸の健康には、野菜に多く含まれている食物繊維が欠かせない。野菜はさっと茹でたり、軽く炒めたり蒸したりするほうが栄養分は壊れにくく、サイズもぎゅっと小さくなるので食べやすくなる。

野菜は温めるのが吉◎ イラスト/アサミナオ

 さらに、煮汁も出ないので栄養素はさらに逃げにくい。電子レンジを使った調理もおすすめだ。生野菜ばかり食べているとお腹を冷やしてしまうこともあるので注意を。

《5》笑いのある生活でがんや認知症を科学的に予防

 免疫細胞のNK細胞やT細胞、B細胞、マクロファージは憂鬱な気分だと働きが低下し、笑って過ごしているときに活性化することが研究で実証された。大声で笑わなくても、顔をつくるだけでもOK。

「笑うこと」が万病を防ぐ イラスト/アサミナオ

 また、笑うと自律神経のうち副交感神経が優位になる。副交感神経は安らぎなどを感じた状態のときに優位になるため、ストレス解消にもよい。

《6》1時間に1回大きく伸びをすれば血行がよくなり温活にも

 アメリカの研究で「座りっぱなしは、寿命を縮める喫煙にも似た悪影響がある」ということがわかった。長時間座っていると血行不良になり、代謝が下がる。運動習慣がない人は、まず1時間に1回は立ち上がって大きく伸びをしたり、少し歩き回る習慣を。

座りっぱなしは危険。定期的な伸びを イラスト/アサミナオ

 血行が促され、冷え性の改善にもつながる。立つことが習慣化できたら、身体をまんべんなく動かせるラジオ体操を始めてみては。

いつもの習慣に、ひと工夫

《7》緑茶をこまめに飲んで感染症を防ぐ

 新型コロナなどの感染症は粘膜にウイルスがつくことで感染する。流行しているときは緑茶をひと口ずつこまめに飲み、できるだけのどが潤った状態にしておこう。もしのどにウイルスが付着しても、緑茶で流すことで発症を防げる可能性がある。

 なお、緑茶に含まれる「テアニン」には免疫力を高める働きがある。テアニンは低温で煎れると多く抽出できるので、飲むなら「水だし緑茶」がおすすめだ。

《8》睡眠の「長さ」にこだわらないとぐっすり眠れるようになる

 人によってベストな睡眠時間はおのおので変わる。自分に合ったスタイルで眠れていれば問題はない。翌日に身体がだるいなどの不調がなければ、熟睡している可能性が高いのだ。ただ、夜眠れないことを不安に思っている人は早起きを習慣にしては。

睡眠は「長さ」にこだわらない イラスト/アサミナオ

 朝5時に起きて1日活動すれば、夜はおのずと熟睡できるはず。さらに起床してすぐカーテンを開け、太陽の光を浴びると体内時計がリセットされる。

《9》デパ地下食材で目にも身体にもうれしい体験を

 健康志向の消費者ニーズに合わせ、近年、デパ地下のバイヤーは健康を意識した食材を多く集めている。スーパーなどに比べて少々値段は張るが、今どんな食材が話題で人気があるか探索してみよう。

デパ地下巡りで身体をリセット イラスト/アサミナオ

 自分の健康のためによりよい食材と情報を仕入れる場としてもっと活用したい。また、食べる量は心理的な満足感に左右されるので、おいしい惣菜は食べすぎ防止につながる。

《10》常温スポーツドリンクで風邪やインフルエンザを悪化させない

 風邪のひきはじめはスポーツドリンクがおすすめ。風邪をひいたときはむやみに風邪薬で熱を抑えるよりは自然治癒に任せたほうがよい。

常温の飲み物で風邪対策 イラスト/アサミナオ

 ただ何も対策をとらないと脱水状態に陥ることも。スポーツドリンクにはマグネシウムやミネラルが含まれているので、脱水を防ぐことができる。冷たいと身体を冷やしてしまうので常温のままで。またスポーツドリンクには糖分が多く含まれるので、水やお湯で割って飲もう。

教えてくれたのは●秋津壽男(あきつ・としお)先生●秋津医院院長。日本内科学会認定総合内科専門医。スーパー町医者として、地元密着の診療を行う。テレビ東京『主治医が見つかる診療所』にレギュラー出演中。著書も多数。