キャッシュレス派の人はもちろん、現金派の人もガッポリ貯めてる人の共通点は“財布に入れるものが少ない”こと。キャッシュカードも小銭も入れないスリムな財布がなぜお金を呼び込むのか。おもしろいほど貯まりだす、財布の使い方はコレだ!
プロが解説! 貯まる人の財布の使い方
財布がスリムなのは家計管理が上手な証
「お財布にカードやレシートがパンパンな人で貯金がうまくいっている人はまずいません。貯められる人は、中身を必要最低限にしぼっているから財布がスッキリしています」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん。クレカは2枚程度に抑えて、お財布をスッキリさせている人は、自分のお金の使い方やライフスタイルがわかっている人。保険や投資なども、きちんと見極められていることが多く、まさに“お財布は家計管理の状態を映す鏡”だと語る。
「お財布を変えたり、中身を整理したからといってすぐにお金が貯まるようになるとまでは言いませんが、財布の中身を意識することはお金の使い方を考えるきっかけになると思います」(黒田さん、以下同)
どんなところに気をつけて“財布改革”をしていけばよいのか、ポイントを教えてもらった。
Point 1 中身を把握する
まずは、自分の財布を見ることなく中身を言えるかどうかをチェック。
「現金がいくら程度か、カード類はどんなものが入っているかが答えられない人は、お金の流れが把握できておらず、家計管理がしっかりできているとは言いづらいです。中身をスリム化しましょう」
Point 2 ポイントカードは定期的に見直す
財布に入っているポイントカードを全部出して、まず期限切れをチェック。残ったカードは財布に戻さず、自宅に保管し買い物のときだけ財布に入れて持ち歩く。
「“今日はこれを買うから、ポイントカードを使おう”となり、計画的な買い物が身につきます。数か月使っていないカードは処分を」
Point 3 キャッシュカードも多額の現金も持ち歩かない!
「キャッシュカードはお金を下ろしたり、振り込んだりするときだけしか使わないものなので、基本的には自宅で保管を。手持ちの現金が足りなくなったらお金を下ろすという流れを断ち切りましょう」
家計の予算に合わせて決まった額の現金を入れるか、キャッシュレス決済を1つにしぼって支払いをまとめるとお金の管理が単純化してわかりやすくなる。
Point 4 クレカやデビットカードは2枚にしぼる
「支払い用のカードが複数あると、お金の管理が難しくなります。本当に利用するカードだけにしぼって、使わないものは解約を。また、使いすぎなどに不安がある人は、即時引き落としのデビットカードを利用するのも手です」
Point 5 レシートはこまめに整理する
「その日の夜か翌朝にはレシートを財布からすべて出して、きちんと家計簿に反映できるよう封筒などにまとめましょう。レシートを撮影するだけでOKの家計簿アプリを利用して、もらったその場でサッと撮影して処分してしまうのもおすすめです」
FP的に長財布とミニ財布どちらがおすすめ?
どちらがよいかは、支払い方法でジャッジ。
「キャッシュレス決済を多用する人には、ミニ財布がおすすめ。コンパクトで必要なものだけ入れられますし、キャッシュレス決済を家計簿アプリと連動すれば家計管理もスマートになります」
しかし、キャッシュレスのほうがお金を多く使いがちなので要注意。
「お金の管理が苦手な人は現金で家計管理をするほうが散財を抑えられるはず。長財布なら、財布の中のお金が見やすくレシートの管理もしやすいと思います」
赤字家計から1000万円貯蓄!節約インスタグラマー・あかりさんの場合
実践している人 あかりさん
夫と子ども2人の4人暮らし。ラクして楽しく手取りの4割を貯蓄する家計管理の方法をInstagram(@chokin.jp)などで発信
クレカは厳選2枚だけ長財布1つで家計をがっちり管理
1か月の予算をきっちり守るため日常の買い物はほぼ現金で行っているあかりさん。
「長財布は、中身が見やすいから支出を把握しやすいです。現在の所持金も一目瞭然で、会計時もスムーズ」(あかりさん、以下同)
一時はミニ財布にしたが、現金のやりとりがしやすい長財布に回帰した。
「財布をスッキリさせ、月々使ってよい金額を明確にしておくことが大切。財布の中で流動費の家計管理が完結できるので、細かな家計簿も不要になりました」
(1)月に1回10万円入れてやりくり
食費や生活用品の購入などの流動費として月10万円(週に2万円で最後の週は1万円。残りの1万円は医療費にまわす)と予算を決め、夫の給料日に財布へ。「予算は週割りで2万円。お財布の残高を見るだけで、使いすぎかどうか瞬時にわかります」。基本的にクレジットカードは使わず現金払い。デビットカードを使ったときは、その金額分を財布から出して別にしておき、“週2万円”のルールを破らないように工夫している。
(2)ポイントカードは半年に1度見直す
お財布に入れるポイントカードは基本的にクレジットカードに付帯した楽天ポイントとTポイントのみ。そのほかは、財布に入れて1~2か月出番がなければ自宅にあるカード入れに保管。「半年ほど使わなければ破棄します。ポイントが貯まっているのにもったいないと思うかもしれませんが、そのメリットにつられて無駄な買い物をしては本末転倒。潔くポイントを捨てて“損切り”するほうが、結果的にお金が貯まります」
(3)小銭は週1で小銭貯金へ
週に1回程度、財布の小銭をすべて出して小銭ケースへ。「月に2回、貯まったら郵便局へ持って行き、窓口で“小銭貯金”用の通帳に入金。自宅で貯金箱に入れておくより、貯まっていく金額が視覚化されるので続けやすくなります」。小銭貯金は4年半で約18万円に! 貯金箱は500円玉が50枚入るものを使用。「すべての硬貨に対応できて、50枚未満なら入金手数料がかからないのが利点です」
年200万円貯める!節約インスタグラマー・もちこさんの場合
実践している人 もちこさん
夫と子どもの3人暮らし。“貯金は仕組み”をモットーに家計簿なしで年間200万円を貯蓄。Instagram(@_mochi.5)
クレカ2枚で物欲をセーブムダな中身は散財のモト
キャッシュレス派のもちこさんの財布は、小銭が入れられるパスケース。
「数年前は長財布を使っていましたが、出費を抑えるため“買い物に行く回数を減らす”と決めてから財布をコンパクトにしていきました」
中身もポイントカードといった買い物の動機につながりそうなものを極力排除した。
「本当に必要な買い物は何かと考えるきっかけになり、無駄遣いが減らせたと思います」
クレジットカードも多いとお金の管理が難しいので2枚に厳選している。
(1)お財布には万が一のお金しか入れない
「現金は、非常時や現金しか使えないときに使うお金のみを一定額入れています。もし使ったら補充します」。キャッシュカードも入れず、支払いはクレジットカードに集約。「クレジットカードで支払えば利用明細がアプリで記録されるので、家計簿をつける必要がなくなりました。レシートもその日のうちに捨てています」
(2)ポイントカードに踊らされない
「ポイントカードを持っていると“○倍デー”といったキャンペーンにつられて散財してしまうので、初めから持ちません」。アプリ型のポイントカードもスマホに“本日○%オフ”などの通知が来るので利用しない。「ポイントキャンペーンが多いドラッグストアは誘惑の巣窟なので、できるだけ近づかないようにしています(笑)」
(3)買い物はコストコで1~2週間に1度
「食料品の買い物は週末にまとめて。本当に食べたいものを必要な量だけ買うように心がけています」。“○○が健康にいい”という言葉やセールを理由に買い物を増やすことはしない。「1度余らせてしまった食材は“わが家には不要だった”と判断し、当面買うのを控えます。食品ロスを減らせるのでエコにもつながります」
(4)物欲が高まるSNSはフォローをはずす
「貯蓄を増やすには、まず出費を抑えることが大切です」と言うもちこさんは、買い物欲を刺激するものもなるべく遠ざけている。「買い物の回数を減らすだけでなく、スマホの楽天市場などのショッピングアプリも消しています。SNSも物欲を刺激するものはフォローをやめました。買うチャンスが減るので自然と出費が抑えられます」
もちこさん的財布のセキュリティーの高め方
財布の中には、万が一落としてしまったときのための保険が2つ。「カード型のスマートトラッカー(スマホと連携した忘れ物防止タグ)と、暗証番号を彷彿とさせる適当な4ケタの番号をいくつか書いた紙を入れています」。暗証番号が誤入力されることで、カードの不正使用を防ぐ。
黒田さん&もちこさんおすすめ! 家計簿はアプリが便利
レシートを整理して家計簿をつけるのが面倒、という人は、アプリにおまかせ。「複数の銀行口座の残高やクレジットカード、電子マネーの利用額、ポイントの残高までを一元化して管理してくれる「マネーフォワードME」や「マネーツリー」といった家計簿アプリは、“今月のお金の動き”がすぐにわかるので便利です」(もちこさん)。また、「1日ごとの出費をカレンダーに書き込んでくれる機能があるので、それを見るとお金を使うクセがわかります。週に2~3回“お金を使わない日”をつくってまとめ買いができるようにしていくと無駄が減ると思います」(黒田さん)
教えてくれたのは……黒田尚子さん●CFP(R)、1級FP技能士。消費生活専門相談員。老後、介護などの問題にも注力。『親の介護は9割逃げよ「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』など著書多数。
(取材・文/河端直子)