「失敗しない人間なんていないわ」
10月21日、木曜劇場『SUPER RICH』(フジテレビ系)の第2話で、主演の江口のりこに対し凛とした表情で言い放ったのは、女優の松嶋菜々子。
「松嶋さんが民放の連続ドラマに出演するのは5年ぶりのこと。“幸せのカタチ=スーパーリッチ”を追い求めるキャリアウーマンの波瀾万丈な半生を描く完全オリジナルドラマで、松嶋さんは主演の江口さん演じるベンチャー企業の破天荒な女社長が憧れる、元上司の役。ドラマの公式インスタグラムで写真が公開された際は“いいね!”が殺到しました」(テレビ誌ライター)
放送開始前には、《個性豊かなキャストの皆さんと、スピード感のあるストーリーになっていますので、是非ご覧ください》とコメントしていたが、このところはドラマに限らず露出が急増している。
「フードデリバリーサービス『ウーバーイーツ』のCMでは、共演のMattさんにメイクを施されて“Matt化”し、“セコムしてますか?”のセリフでおなじみの警備会社のCMでは、長嶋茂雄さんから8年ぶりに同フレーズを継承。ほかにも、飲料メーカーや製薬会社のCMに引っ張りだこで、今やテレビで目にしない日はないほどです」(同・テレビ誌ライター)
反町隆史との“子育てシフト”が崩れて
精力的な活動を見せる松嶋だが、かつては夫で俳優の反町隆史と互いの仕事が重ならないようにする“子育てシフト”が有名だった。
「お子さんが幼かったころは、おふたりの仕事がかぶって面倒が見られなくならないようスケジュールを交互に組んでいました。しかし'16年に反町さんはテレビ朝日系の『相棒』に出演、松嶋さんはフジテレビ系の『営業部長 吉良奈津子』での主演に続けてTBS系の『砂の塔~知りすぎた隣人』に出演。“シフト”が崩れたことで大きな話題になりました」(芸能プロ関係者)
反町は'15年から現在に至るまで『相棒』シリーズに出演している。毎年夏から翌春にかけて撮影で拘束されることもあり、それから松嶋が民放の連続ドラマで主演を張ることはなかった。
そんな彼女のメディア出演が今年に入って急増したのは、いったいなぜなのか。
松嶋の復帰は“一般女性”と重なる部分も
「松嶋さんには娘が2人いますが、長女は高校生でロンドンに留学中です。次女も中学生になり、このところはだいぶ手がかからなくなったみたい」(松嶋の知人)
子育てが落ち着いたことで、再び表舞台に立つ余裕ができたのだろう。10月13日に48歳の誕生日を迎えた松嶋だが、『女性50代からのキャリアデザイン』の著者でキャリアコンサルタントの森ゆきさんは、女性の心情の変化についてこう語る。
「40代、50代で新たな挑戦や復職を志す女性は多いですね。いちばんわかりやすい理由としては、子育てが一段落し、自分の時間ができて“この先まだ何十年も生きていく中で、何もやることがないのも寂しい”というもの。家で主婦業をするだけではなく“自分が外に出てやること”を見つけたいという気持ちですね」
松嶋が表舞台へと戻ってきた時期についても、一般的な例に通ずるところがある。
「いちばん下の子が中学校に入学してからというケースが多いです。小学生のうちはPTAの仕事や塾の送迎をしなくてはならなかったり、土日も行事があったりと時間をとられてしまうのですが、中学校に入ると一気に少なくなる。子ども自身も親の手を離れて、帰宅も遅くなります。子どもが帰ってくるときに家にいたいと考える人は多いですが、その点においても外にいられる時間が大きく増えるんです」(森さん)
子どもの世話で拘束される時間が減ったことで“第2の人生”を歩み始めたようだ。
しかし、自立し始める中学生といえど、夫婦そろって遅くまで家を空けることには親として申し訳ない気持ちも。
「『SUPER RICH』での役は重要なものではありますが、出演は1話につき数シーンほど。CMに関しても通常は1、2日で撮影が終わりますから、拘束時間の少ない仕事を選んでいるのでしょう。娘さんとの時間を大切にしたいようですね」(テレビ局関係者)
家族思いの母親は、かつての経験に基づいて仕事を選ぶようになったという。
「'16年、夫婦そろって拘束時間の長い連続ドラマの仕事を受けた際に“子育てがおろそかになってしまった”と反省の気持ちを抱いたのでしょう。2作品続けての連続ドラマ出演は、ただでさえ過密なスケジュールになりがちですが、幼いお子さんがいたとなるとなおさらです」(前出・芸能プロ関係者)
最近では、松嶋の自宅近くで娘と仲よく過ごす姿が頻繁に目撃されている。
力強いパートナーがいてこそ
「店の前の通りを歩く姿を、よく見かけますよ。娘さんといることが多いかな。接客したことはないけど、うちの店にもたまに来てくださってるみたい」(近くの飲食店店主)
「たまに、ご家族で食べに来られますよ。このあたりを散歩している姿も見かけますね。プライベートなことなのであまりお話しできませんが、いつも仲がよさそうですよ」(別の飲食店の店員)
多くの仕事をこなす中でも、家族との時間を大切にしている松嶋の様子がうかがえる。5年前、『婦人公論』のインタビューで、彼女は家族についてこう語っていた。
《子どもが生まれたことで、本当にたくさんの喜びをもらいましたし、ひとつ大きな発見がありました。出産後1年でドラマに復帰したとき、役者という仕事が私にとって本当に大切なものだと、改めて気づかされたのです》
家庭と仕事、両方の大切さに気づいていた松嶋。しかし、1人で子育てと女優業の両立を叶えられたわけではなく、夫についてこう続けている。
《育児に協力的でいてくれたことに、とても助けられました。同じ価値観で子育てができることもよかったなと思いますね》
力強いパートナーとともに乗り越えた5年前の経験。当時の反省やかけがえのない娘と過ごす時間の大切さを忘れずに、松嶋は今後も自分なりの“スーパーリッチ”を追い求めていく─。