(左から)鈴木貴子氏、河野太郎氏、小泉進次郎、小渕優子氏

 10月31日の投開票が迫る衆議院議員総選挙。国の行く末を決める国会議員の候補者約1000人のうち、131人が“世襲”議員だ。親族の地盤を引き継いで活動する彼らは、'17年の衆院選では128人が出馬して、108人が当選。一方で、新人候補は630人中、当選したのはたったの56人だけ。これでは選挙前から世襲候補の当選が決まっているようなもの。彼らは本当に期待していいものなのか――。

 そこで、『週刊女性PRIME』は、全国の18~70歳の有権者女性3000人にネットアンケートを実施した。60歳以下の世襲議員20人を編集部でリストアップ。『期待できる』『期待できない』世襲議員を選んでもらい、その理由も回答してもらった。

※リストの中に選びたい議員がいなかった場合は、自由記述欄に書き込めるようにした。

どちらでも1位に選ばれた世襲議員

『期待できる世襲議員』として1077票でぶっちぎりの1位に輝いたのは、小泉進次郎前環境相。

小泉純一郎元首相の二男・小泉進次郎小泉進次郎前環境相

 父親である小泉純一郎元首相の後を継ぎ、'09年に議員として初当選。

自分の思いを自らの言葉で語るので説得力がある。 環境大臣の時もビニール袋などを有料にして国民に環境を考える機会を与えた。 実行力がある」(59歳東京・自営業)

「元総理でお父様の考え方が好きでした。息子さんなので根本は似ている考えを持っていると思っています。若いですし、期待したい。原発を反対している部分は私と同じなので、心身ともに健康な世の中を作って欲しい」(44歳東京・教育関係)

 私生活では'19年に元アナウンサーの滝川クリステルと結婚し、翌年1月に第一子が誕生している。公私ともに順調な小泉だが、『期待できない世襲議員』としても703票を獲得し、1位に。

以前は父親譲りの毅然とした態度などを評価していたが、レジ袋有料化は意味のある政策と言えたのか……。他に打ち出すべき政策はあったはず。期待していたぶん、ガッカリした」(44歳千葉・専業主婦)

見た目や親習いの言い回しで初めは騙された。最近、役職がついて発言の機会が増えたのはいいが、ポエマーとうまいあだ名をつけられる発言は、意味不明。レジ袋有料化の失態も、人のせいにするポンコツぶり。期待できるか!」(59歳石川・専業主婦)

 アンケートの回答で並ぶのは“レジ袋有料化”は失敗だったという言葉。

 '19年にニューヨークで行われた気候変動サミットでの“セクシー”発言を覚えている人も多かった。

 最近ではインターネット放送の番組に出演し、「レジ袋有料化を決めたのは僕ではない」「フェイクニュースってこう根付くんだ」などと発言。事実としてはそうかもしれないが、環境大臣としてエコバック持参を自分も推進していたじゃない……。

“エゴサの鬼”もランクイン

『期待できる議員』の2位は総裁選にも出馬した自民党の河野太郎広報本部長で、742票を獲得。

河野洋平氏の長男・河野太郎広報本部長

ワクチン担当相の時に、スムーズに進めていて、意外に早く国民が接種できた。テレビではワクチンの副反応やデマ情報について、分かりやすく説明して不安を解消してくれていた。とても好感がもてた」(45歳山口・専業主婦)

何かを変えてくれそうな感じがするから。 政界内で、大御所に気に入られてないのは、河野さんが変革することを恐れているからじゃないかと思う」(47歳長野・医療福祉関係)

 '94年、小選挙区制導入で父親の河野洋平の選挙区が分割されたことをキッカケに、衆院選に出馬することを決めた河野だったが、

「父親の洋平氏は猛反対。父親の助けを借りず、'96年の衆院選に出馬。初当選を果たしました」(全国紙政治部記者)

 自民党の異端児として“脱・原発”や“皇位継承問題”など歯に衣を着せぬ物言いで人気に。ワクチン担当相としても活躍し、国民からの支持は厚い。

 一方で『期待できない議員』では4位にランクイン。

ツイッターでエゴサーチして、批判的なことを言う人を端からブロック。それってどうなの!? 反原発を掲げていたくせに、大臣のポストというニンジンをぶら下げられたら、政府について批判していたブログ記事を削除……。信頼できない!」(47歳東京・サービス業)

総裁選に出るとなったら、今までの主張を変えて保身に走った。残念」(54歳静岡・その他)

 河野は自らの都合によって発言内容がコロコロ変わるところがあって、

「これまで著書やブログで“脱・原発を実現する”と語っていたが、総裁選では“安全が確認された原発を当面は再稼働させるのが現実的だ”と発言しています。

 ツイッターを通して国民とやりとりする河野さんですが、彼とやりとりをしたことがなくてもすでにブロックされていたという人が何人もいるんです。“エゴサの鬼”とも呼ばれていますが、自分の悪口探しに一生懸命なんでしょうね」(前出・政治部記者)

 都合の悪い批判に耳を傾けない姿勢はいかがなものか。

“がっかり発言”に“隠蔽工作”

『期待できない議員』で2位になったのは鳩山二郎。'16年に十二指腸潰瘍を患い亡くなった鳩山邦夫元法務相の次男だ。

派手好きで、態度が悪いと噂を聞いたことがあるから」(31歳岡山・金融関係)、「鳩山家には一般市民の生活を知ろうとしないイメージがある」(57歳神奈川・専業主婦)

 アンケートの回答には、鳩山由紀夫を父親と勘違いしている声が多数を占めた。民主党政権時代に首相を務めた鳩山元首相のイメージはあまりよくないよう……。

 鳩山は、父・邦夫が他界後に行われた補欠選挙に出馬した。次郎は当時、福岡県大川市の市長だったが辞任。父親の跡を継ぎ、2位の候補に大差をつけて圧勝した。

 しかし、当選して数か月後の'16年11月、ある発言が物議を醸した。福岡県筑後市や大川市など5つの市町を流れる花宗川の改修工事を国に要望する際に、

(福岡県)筑後市はどうでもいい。私の選挙を邪魔したところだから

 などと発言したことが明るみに。当選したばかりで浮足立っていたのかもしれないけど、“鳩山”の名を背負っているんだから、気を付けて!!

『期待できる議員』3位にランクインしたのは、自民党の小渕優子。'00年4月、首相在職中に脳梗塞で倒れ、5月に亡くなった小渕恵三元首相の次女だ。小渕元首相が亡くなった翌月に衆院選が開かれたが、悲しみを癒す間もなく後継者として衆院選に出馬し、当選した。

小渕恵三元首相の次女・小渕優子氏

小渕首相が好きだったし、優子さんの政治に対する姿勢は信じられる。人間としていい人だと思うから」(44歳沖縄・金融関係)

女性議員で、少子化対策担当大臣の経験もあるのでもっと頑張って欲しい」(59歳大阪・その他)

 26歳で国会議員になってから21年、今年で48歳に。'08年には過去最年少となる34歳で少子化担当相として初入閣。'14年には第2次安倍内閣で経済産業大臣を務めた。

 そこまでは順調にキャリアを重ねてきたが、経産相就任後、政治資金規正法違反が報じられたのだ。そのためか『期待できない議員』でも3位に名を連ねた。女性支援者向けに開いた“観劇会”の収支が合致しないことを端緒に、嘘の収支報告をしていたことが次々と明らかになり、大臣の辞任に追い込まれた。

政治資金を私的に活用したことが印象に残っている」(45歳茨城・その他)

彼女は真っ黒でしょう。それなのにふてぶてしく議員に居座っているのが許せない」(57歳福岡・非営利団体職員)

 家宅捜査をされた際に押収されたパソコンは、電動ドリルで破壊する隠ぺい工作が行われていた。小渕の秘書ら2名が東京地検特捜部に在宅起訴され、'15年には東京地裁で有罪判決を受けた。

 月日が経っても、不祥事のイメージを払しょくできないようだ。

選挙前にしっかり吟味が必要

『期待できる議員』4位にランクインしたのは、福田達夫。福田康夫元首相の長男だ。'08年に退陣を表明した福田元首相は会見で記者に「発言が他人事のように聞こえる」と指摘され、

あなたとは違うんです‼

 と、感情を露わにした福田康夫元首相。同年の流行語大賞にもノミネートされ、覚えている人も多いだろう。それから4年後の'12年には政界引退を発表。後を継いだのが達夫だった。

祖父、父、共に真面目なイメージがあるから。 本人も受け継いでいるかと思うから」(56歳京都・医療福祉関係)。

 政界入りする前は三菱商事で働いていた福田。父親だけでなく、祖父も元総理大臣の故・福田赳男さんと、非の打ち所がない経歴なのだ。

 岸田文雄総理は、当選3回の福田を自民党役員である総務会長に抜てきした。総務会とは、党の政務調査会で審議された党の運営方針や国会への提出法案などの議案を最終的に審議するところ。議案の承認は全会一致が原則とされており、そのため総務会長は党内で根回しができる、当選回数を重ねたベテランが就任するケースが多かった。

今年9月、若手議員を中心に構成される『党風一新の会』が結成されたのですが、この会の呼びかけ人のひとりが福田さん。若手のリーダーとして小泉さんとは盟友関係ですが、支持を集めるのは圧倒的に福田さんですね」(政治ジャーナリスト)

 福田家から3人目の総理大臣が誕生する日は、そう遠くないのかも。

『期待できる議員』5位には中曽根康弘元首相の孫である中曽根隆弘。『期待できない議員』の5位は、石原慎太郎元東京都知事の次男である石原宏高と続いた。

 有名政治家の地盤を継いだというだけで、8割が当選してしまう世襲議員。私たちはもっと彼らの能力を吟味すべきなのでは。

『期待できる世襲議員TOP10』
『期待できない世襲議員TOP10』