江口のりこ主演ドラマ『SUPER RICH』(フジテレビ系)の初回放送の見逃し配信が1週間で215万回再生を記録。木曜劇場枠で歴代1位となるなど、好調だ。
そんな話題作で江口の相手役に抜擢(ばってき)され、注目を集めているのが赤楚(あかそ)衛二。現在最も旬な俳優の1人と言っても過言ではない。
愛知県名古屋市からほど近い街で育った赤楚は小学校時代、地元の剣道クラブで汗を流していたという。
「写真を撮りたい」長蛇の列
「練習のある週末は、両親のどちらかが稽古場まで車で送迎するなど、家族仲はよかった印象です。まじめでおとなしく、剣道の腕前も特に目立ったものではなかったので、のちに仮面ライダーでアクションシーンをしていて驚きました」(剣道クラブ関係者)
中学時代には一家全員で名古屋市内に引っ越しをする。
「赤楚さんの母親が自宅でピアノ教室を開いていたこともあり、地域の子どもたちの声やピアノの音がよく聞こえてきましたね。赤楚さん自身も3歳からピアノを習っていたそうですよ」(近所の住民)
野球の強豪校で知られる名古屋市内の高校に進学すると、地元のモデル事務所に所属。芸能活動をスタートさせる。
「自分からリーダーになるようなタイプではなかったですが誰とでも分け隔てなく付き合えるので、友達は多かったですね」(高校時代の担任)
高校2年生のときに井村屋『肉まん あんまん』の広告モデルに起用されたこともあり、一躍学校中のアイドル的存在になった。
「広告が決まった際、“先生、修学旅行で新幹線に乗るとき、俺の顔がポスターになっていると思う”と教えてくれました。実際に広告が車内に貼られていたため、生徒たちが大騒ぎ。ポスターをバックに、彼とツーショット写真を撮りたいと通路に長蛇の列ができました。文化祭で彼のクラスがダンスの出しものをやった際も同様に、一緒に写真を撮りたい生徒たちに囲まれていましたよ」(同・高校時代の担任)
堅実な性格もあり、「芸能界でやっていけるかわからない」と担任に進路を相談したという赤楚。高校を卒業し市内の大学に進学すると、'13年に『サマンサタバサ』のメンズモデルオーディションでグランプリを受賞。その後、現在の事務所社長にスカウトされ、大学を中退し本格的に俳優の道に進むことになる。
「高校を卒業して4年後、友人たちと学校を訪ねてきたことがあったんです。ほかの子が就職を報告する中、彼は“芸能界でやっていくことに決めた”と決意表明をしてくれました。そのときの顔は、自信に満ち溢れていましたね」(同・高校時代の担任)
「ナチュラルで人懐っこい」
ドラマのゲスト出演などを経て、‘17年放送の『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)でメインキャストのひとりを演じ、注目を集める。その直前に赤楚が出演した、アマゾンプライムのオリジナル作品『仮面ライダーアマゾンズ シーズン2』で主演を務めた前嶋曜は、共演したときの印象をこう振り返る。
「台本読みで初めてお会いしましたが、お芝居に対してまっすぐで常に全力を出す方という印象を受けました。演技未経験だった僕に積極的に声をかけてくれて、周りが見える大人の余裕を感じましたね。
演技もドラマの現場も勝手がわからず、自分だけ孤立しているような気持ちになっていた僕をよく気遣ってくれたので、撮影現場に着くとまず赤楚くんのところに向かうぐらい頼りっぱなしでした」
現在のブレイクも納得だと続ける。
「売れるべくして売れた方だと思います。キャストやスタッフに限らず、どんな人からも好かれていました。また共演することができたら、俳優として成長した自分の姿を見せて、恩返しができたらいいなと思います」(前嶋)
'19年には『ねぇ先生、知らないの?』(毎日放送)で連続ドラマ初主演を務めるなど、順調にキャリアアップ。この作品で初めて取材をしたというフリーライターの田幸和歌子さんに、当時の彼の印象を聞いた。
「すごくナチュラルで人に対して構えない方でした。ご自身では緊張するタイプだと話されていましたが、写真撮影中に散歩されていたおじいさんに“こんにちは~”と自分から話しかけるなど、とても人懐っこい印象を受けましたね。
撮影時に着ていた衣装を褒めると、“この服、すごく高いらしいんですよ”と答えるなど、一般的な感覚の持ち主で、等身大の男の子だなという印象を受けました」
出世作となった単独初主演ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称『チェリまほ』・テレビ東京系)で監督を務めた湯浅弘章さんは「ドラマで演じた役柄と一緒」と笑う。
小池栄子とのキスシーン
「一生懸命で素直で、でもちょっと天然なところもあって。そのまんま赤楚くんだなと思いましたね(笑)。第10話で遊園地でデートの練習をするシーンがあるのですが、赤楚くん本人の性格を生かすために直前で “遊んでいればいいから”とアドリブの指示を出したんです。
言葉どおり自由に演じてくれたのですが、彼の素が出過ぎていて、本当に遊園地で遊んでいるようにしか見えないところもあり、そこはさすがに使えなかったです(笑)」
印象的だったシーンはほかにも。
「第3話に赤楚くんが演じる安達が、思いを寄せられている男性に気持ちを伝えるシーンがあったんですけど、安達が勇気を振り絞って必死に気持ちを伝える姿と、赤楚くんが一生懸命役柄を演じる姿が見事にマッチした瞬間がありました。
そこは見ていてゾワッとしましたし、演出家冥利に尽きるシーンでしたね。いい雰囲気で撮影ができていたので作品の仕上がりには自信がありましたが、予想以上の反響があり、赤楚くんも“まさかここまでとは……”と驚いていたようです」
初めて一緒に仕事をしたのは'19年放送のドラマ『わたし旦那をシェアしてた』(日本テレビ系)だったが、図らずも赤楚の“チェリー”な一面を見ることになったという。
「ドラマの現場にもそれほど慣れておらず、フレッシュさがありました。後半に主演の小池栄子さんとのキスシーンがあったのですが、赤楚くんは朝から緊張しまくっていて(笑)。“やばいです、緊張します”と言うので、“そういう一生懸命な感じが役にも出てくると思うし、それもそれでいいと思うよ”と伝えました」(湯浅さん)
本格ブレイク間近だが、前出の田幸さんは今後の彼にこう期待を寄せる。
「自然体に見えて、実は細かく計算して演技しているのが俳優としての魅力ですね。子犬系やイマドキ男子の役柄が続いたので、役者としての幅を広げるためにも影のある役柄を見てみたいです」
地元の人や仕事をしたことがある人たちが口をそろえて絶賛するその“愛され力”があれば、大ブレイク間違いなし‼