それは“夢達成”を目前にして起きた。
シリーズ開催直前にケガ
「羽生結弦選手(26)が、11月12日から開催されるグランプリシリーズの第4戦『NHK杯』を欠場することが、日本スケート連盟から発表されたのです。原因は、練習中に転倒したことによる“右足関節靭帯損傷”です。
羽生選手が出場予定だった枠には、山本草太選手が出場することになりました」(スポーツ紙記者)
ケガの程度や復帰時期は明らかにされていないが……。
「11月26日から始まる、グランプリシリーズ第6戦の『ロシア杯』も出場が難しいとみられています。
12月9日からの『グランプリファイナル』も、2試合の順位に応じて与えられるポイントの合計で上位となった6選手が出場できる大会なので、羽生選手の出場は絶望的な状況と言ってよいでしょう」(同・スポーツ紙記者)
試合を1週間後に控えたタイミングでの発表に、ファンの間でも衝撃が走っている。
「11月1日にNHK BS1で放送された『NHK杯』の見どころを紹介する番組では、“4回転半をしっかり『NHK杯』で決めたいという気持ちがいちばん大きいです”と語っていました。
前人未到の“夢”を叶える姿を見られると思っていたのですが……。それだけ、4回転半の練習が負担になっていたのでしょうか……」(羽生ファンの女性)
周囲の心配をよそに、羽生は前向きなコメントを発表している。
《今回の怪我からも、また何かを得られるよう、考えて、できることに全力で取り組みます》
冬季五輪シーズンの右足のケガ。きっと“4年前”のことが頭をよぎっただろう。
「'18年の『平昌(ピョンチャン)五輪』が行われたシーズンにも、その直前に開催された、'17年11月の『NHK杯』を欠場しています。試合前の練習で4回転ルッツを試みた際に転倒してしまったのです。翌日に“右足関節外側靭帯損傷”という診断が明らかになりました。
その後も、ケガの影響で試合の欠場が続き、『平昌五輪』の団体戦も欠場。男子シングルで復帰して、金メダルを獲得しました。当時、しばらく氷上での練習ができなかったそうです」(前出・スポーツ紙記者)
4年前の不安がよみがえる
その翌年にも、右足首を捻挫している。
「2年続けて右足にケガをしてしまったことで、より軽い衝撃でもケガをする可能性があり、今までと同じ衝撃でも、これまでより大きなケガになってしまうかもしれない状態だったそうです」(同・スポーツ紙記者)
今回はどんな状態なのだろうか。
「羽生選手は、“痛みをコントロールしながら氷上でのリハビリ”をする、ともコメントしています。なので、4年前のケガよりも、多少なりとも状態はよいのではないでしょうか。とはいえ、このタイミングでのケガは絶体絶命といえます」(フィギュアスケート関係者)
小学2年生までの羽生を指導していた山田真実コーチに聞くと、
「心配しています。ケガは必ず治るものなので、治療に専念してもらいたいです。どんなに本人や周りが気をつけていても、ケガをしてしまうことってあるんです。今回も、そういう感じなんだろうなと思っています」
と、スポーツ選手にケガはつきものだという。
「私の生徒も、大切な試合の前や公式練習のときにケガをすることがあります。そこで、治療が間に合う、間に合わないよりも、試合の重要度や選手自身の目標や気持ちによって、あえて出場という判断をすることもある。そういうときでも最善の状態で試合に出るために、直前の数時間で何をするかという瀬戸際を味わってきました。
もちろん、結弦もそういう経験をしています。なので、周りが慌てる必要はないと思います。もちろん、悔しい思いはあるでしょうが、本人がいちばんわかっていることです。
今は、いつどのように練習を再開するか、医師と一緒に考えていると思います。ケガをしてしまうと、“やりたいこと”もできなくなってしまうので……」(山田コーチ)
羽生が通っていた『東北高等学校』のフィギュアスケート部顧問を務める佐々木遵さんは、心配しながらも期待を寄せる。
「前にもオリンピックのときにケガをして、それでも復活しているので、今回もどうにか克服してオリンピックに出てくれるのではないかな、と思っています。
きちんと周りにスタッフもいる状況だと思うので、多くの方に支えられて、“目標”は達成してくれると期待しています」
では、達成の場はどこになるのだろうか。出場を願うファンも多い『北京五輪』について羽生は“4回転半成功の道の半ばにあるなら”としていて、意欲はそれほどでもないように思えたが……。
復活への道筋
「羽生選手は“4回転半を試合で決めたい”という思いを強く持っています。それを果たすために出場を決めていた、グランプリシリーズの『NHK杯』を欠場することになってしまったので、この先、より多くの試合に出場する機会が欲しいはず。『北京五輪』も目指す必要が出てきたのではないでしょうか」(スケート連盟関係者)
そのためには、年内の復帰が望まれる。
「まずは『全日本選手権大会』への出場を目指さなければなりません。今年の『全日本』は『北京五輪』の最終選考会でもあります。
ケガなどのやむをえない事情があった選手には、それまでの結果を加味して選考するという特例はありますが、基本的には『北京五輪』に出場するためには『全日本』への出場は必須です」(同・スケート連盟関係者)
『全日本』での復帰を目指すには、こんな理由も。
「羽生選手のファンは海外にもたくさんいますが、やはり日本は特別。いちばん最初に“夢”を叶える場所は、日本のファンが多く集まれるところを選びたいはず。羽生選手は、ファンのことをすごく大切にしており、恩返しをしたいという気持ちを持っているのです」(前出・フィギュアスケート関係者)
それでも、ケガから約2か月で試合復帰は大変なこと。
「くしくも、『全日本』の男子シングルの試合は12月24日のクリスマスイブから始まります。ファンに“奇跡”を見せてくれるのではないでしょうか」(同・フィギュアスケート関係者)
最高のクリスマスプレゼントになるか──。