自撮りアプリでネズミになる堀雄帆容疑者(本人のSNSより)

「情熱があって生徒から信頼されていると思っていました。積極的に生徒とかかわるなど面倒見がよかったんです。しかし、2度目の逮捕を受けた今となってはそれも表面的なものだったと言わざるをえません」

 と容疑者が勤務する中学の校長は裏切られた思いを吐露する。

 栃木県宇都宮市の公立中学校で女子生徒A子さんの下着を盗んだとして同県警は11月4日、窃盗の疑いで同校の講師・堀雄帆容疑者(31)を再逮捕した。県警によると、最初の逮捕は10月8日。県内のホテルで10代少女B子さんに対し、18歳未満と知りながらみだらな行為をしたとする県青少年健全育成条例違反(淫行等の禁止)の疑い。同罪ですでに起訴されており、余罪が発覚したかたちだ。

淫行と下着窃盗を同じ日に

 地元の社会部記者は言う。

「淫行容疑について、逮捕当初の取り調べには否認していた。しかし、下着窃盗については“自分のものにしたくて盗んだ”などと容疑を認めている。あきれるのは同じ日に犯行に及んでいること」

 前日に中学は夏休みに入り、東京五輪開幕を翌日に控えた7月22日の祝日だった。

「通常業務を離れた解放感からか、学校でA子さんの下着1枚を盗み、午後にはB子さんをホテルに連れ込んでいる。B子さんは以前通学していた学校で堀容疑者と知り合って以来SNSでつながっており、警察がB子さんから話を聞いたことをきっかけに逮捕にこぎつけた。起訴状などによると、B子さんに対しては5月の休日にも同様の行為をしていた」(前出の社会部記者)

 現職教員の2度の逮捕を受け、同校は生徒の保護者あてに事情説明の文書をその都度配布。1度目の逮捕時は、校長が全校生徒に「申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

「2度目の逮捕では僕らに何の説明もありません。生徒が悪いことをしたらそのたびに怒るんだから、あらためて謝るべき」(同校の男子生徒)

 別の女子生徒の保護者は憤りを隠さない。

「教壇に立たせる前にもっと厳しく適性チェックをしてほしい。思春期の子どもに“先生から変なことをされていないか”なんて聞けない。もし被害に遭っても言い出せない子だっているだろうし」

 同校によると、堀容疑者は2019年4月に着任。特別支援学級の担任で、普通クラスで教科を教える機会はなかった。サッカー部の副顧問も任されていた。

女子生徒に“こちょこちょ”

「生徒がふざけても怒らず、一緒になってはしゃぐなどノリがよかった。あだ名は名前をもじって“UFO”。男子からは人気があったし、サッカー部の友だちは事件にショックを受けています。でも、女子からは嫌われていました。ちょっかいを出す女子と出さない女子を区別していて、こちょこちょとか触ってくるから」(別の男子生徒)

 同校を卒業した女子高校生は、

「恋愛対象にはなりえないおじさんみたいな先生だった」

 と人気のなさを裏づける。

 その裏で生徒の下着を盗み、夏休みが明けてから逮捕されるまで、普段と変わらず生徒と接していたという。

 堀容疑者は宇都宮市内で音楽一家の長男として生まれた。大手企業に勤務する父親はドラムを叩くのが趣味で、母親は自宅でピアノ教室を開く腕前。姉も楽器をたしなみ、

「雄帆くんは自宅2階でラッパをよく吹いていた。休日にはワゴン車に楽器を積んで一家4人で仲よく出かけていました」(近隣住民)という。

エリート街道を進むも…

大学時代の堀雄帆容疑者(知人提供)

 トランペット奏者として英才教育を受け、県内の私立高校音楽科を卒業。東京藝術大学に進み、中学の音楽教員の免許を取得。順風満帆にUターン就職するはずが採用試験に受からず、講師として中学を渡り歩くことに。それでも音楽への情熱は失わなかった。

「県立高校の吹奏楽部で指揮をして県代表に導いたこともある。大学浪人時代には、日本クラシック音楽協会が主催するコンテストの金管楽器ジュニア部門で3位になったほど。大学卒業後も、県内の市民合唱団とベートーベンの『第九』を特別演奏するなど音楽家として活動してきた」

 と県内の音楽関係者。

 約6年前に両親が大ゲンカして離婚。母親とふたりで暮らすことになった堀容疑者は、周囲の目を避けるようになったという。

顔を合わせないように物陰に隠れて

「子どものころはかわいくてお小遣いをあげたりしたんだけど、最近は挨拶すらしてくれなくなった。顔を合わせないように物陰に隠れたり、塀すれすれを歩いてサッと自宅に入ってしまう。寂しいなあと思っていたらこの事件が起きたんです」(近所の女性)

 音楽教諭として本採用されないコンプレックスか、あるいは家庭の事情が原因なのかはわからないが、教員らしからぬ一面ではある。

 実は生徒のあいだでは、“2年前のある事件”の話題がかまびすしい。

堀雄帆容疑者の再逮捕で勤務先の中学校には困惑が広がっている

「女子生徒の水着が盗まれる事件があって、いまだ犯人がわかっていないんです。それも堀先生がやったのではないか、と疑う声が出ていて。堀先生が着任した後に起きた事件なのでありえなくはないですが、それは違うんじゃないかと信じたい気持ちもあります」(同校の男子生徒)

 さすがに短絡的すぎるものの、二度あることは三度あるとの言葉も。生徒を疑心暗鬼にさせた罪もまた重い。