'21年11月22日、神前結婚式を行った原田龍二と原田愛

 端正な顔立ちとは裏腹のいい脱ぎっぷりで“全裸俳優”とも呼ばれているのが原田龍二さんだ。しかし、'19年には、自身が犯した不貞によって『週刊文春』の文春砲に被弾してしまった。

 その後、彼はどこか笑える謝罪会見を開き、『週刊女性』では『人生反省』という対談企画でホストを務め、全裸で毎日反省する『日めくりカレンダー』(扶桑社)を発売するなど、独自の“反省道”を突き進んでいる。

「結婚式願望はなかった」

 そのうえなんと、最大の被害者であろう妻・愛さんも芸能界に再デビュー。CMを始めバラエティでも共演するなど、見ている私たちに戸惑いと笑いを提供してくれている。

 そんな愛さんによる手記『別れない理由』(講談社)が、『いい夫婦の日』である11月22日に発売された。原田家の“日常と危機”がユーモラスに綴られた同書が発売に至った経緯について、ご本人を直撃した。

「今年の夏に書籍の担当編集さんから連絡があり、トントン拍子に話が進みました。長男が留学して時間ができてからブログを始めたりと、もともと文章を書くことは好きだったのですが、まさか自分が本を出す日が来るなんて想像もしていなかったです」(愛さん・以下同)

 引き受ける前に、念のため内容も含めて夫の原田さんにも相談したそう。

インタビューに答える原田愛

「夫は“やってみなよ”と、背中を押してくれました。内容うんぬんよりも、私が本を出すのをうらやましがっていましたね(笑)。執筆期間は1か月ほどでしたが、自分の人生を真剣に振り返る、貴重な経験になりました」

 たしかに同書は、幼少期の思い出や、夫が何度も変わる自由奔放な母との関係、“普通の家庭”への憧れも書かれており、彼女のルーツに迫る内容になっている。

 中学時代から芸能活動をはじめ、ドラマの共演をきっかけに出会った原田さんとの交際をスタート。10年もの時を経て'01年に入籍したが、当時は結婚式と披露宴は行わなかった。

「私は10代の頃にホテルのパンフレットのモデルをしてウエディングドレスも白無垢も着てしまったので“結婚式願望”がなかったんです。夫も面倒なことは苦手なので、式は挙げず、入籍後に夫の事務所に勧められて記念撮影だけ。

 あと、一応夫は芸能人なので、結婚式の場で“奥さん、こんな人なんだ”とかいろいろ言われるの嫌じゃないですか。ただ、今思うと結婚式は親のためだったり、自分のためだったりするので、やっておいてもよかったかもしれないですよね」

 '03年には、『水戸黄門』(TBS系)で原田さんが助さん役を演じることが決まり、夫婦で京都に移り住んだ。京都時代には、出産も経験し、彼女が憧れていた“家庭”を手に入れた。今でも京都での日々は思い出深いものになっているという。

「京都に移ったときは、これまで住んできた関東のどの街とも雰囲気がまったく違うので戸惑ったこともありました。でも、長く過ごすうちに、歴史を重んじる空気や人の雰囲気が心地よくなって、どんどん好きになりましたね。

 当時、夫は撮影が終わると子どもたちを自転車に乗せて遊びに出かけていました。子どもと遊んでくれるというか、本人も一緒に遊んでましたね。ちなみに夫は、今も昔も我が家の“でっかい長男”です(笑)

あの不倫騒動のウラ話も満載

『別れない理由』には、濃厚すぎる原田家のエピソードが“全部盛り”状態だ。原田さんの両親との関係や、愛さんの当時の心情、お子さんたちの実名や顔写真まで、こちらが心配になるほどのぶっちゃけぶり。まさしく“全裸”なのだ。

「私自身、本心しか書けないタイプなので“こんなに書いちゃって大丈夫かな?”と探りながら執筆しました。本が出てから夫婦仲が悪くなっちゃったらどうしよう(笑)」

 この本では、これまで詳細が明かされていなかった原田さんの過去の過ちについても克明に記されている。

「交際中に初めて浮気されたのが1度目で、そのときは気が動転して本当に辛かったです。でも、2年前の騒動は“3度目”だったので、かなり割り切って対応できたように思います。ちなみに、私が“原田、アウト〜!”と言ったエピソードは陽気な感じで独り歩きしていますが、実際は結構深刻な雰囲気だったんですよ」

 愛さんは自らを“サレ妻”と称するが、その声に悲壮感はない。著書を読むと、彼女の朗らかさと器の大きさは、これまでの経験に裏打ちされたものだとわかる。

原田龍二とお子さんたち(C)『別れない理由』/講談社

「不倫騒動のあと、夫がとてつもなく優しく接してくれた時期があるんです。こんなに思いやりがある人だったんだ! なんて、ちょっと感動していたのですが、1か月くらいで普段通りに戻っちゃいましたね。もちろん“普通の日常”が一番いいんですけど(笑)」

 その一方で、最近は夫の変化も感じるようになった、と愛さんは話す。

「彼は面倒くさがりやだから段取りをするのが苦手なのですが、あの騒動をきっかけに、私の大好きなハワイへの旅行を計画してくれました。面倒くさがりやなところは変わっていませんが、家族に寄り添おうとしてくれているのは感じます」

「やっぱり私は夫が好き」

 さまざまな経験を経て、家族は変化していく。そして愛さん自身も原田愛として、リスタートを切った。

「私が注目していただけるのは“原田龍二の妻”という看板があってこそなので、旧姓でも本名でもなく、芸名は『原田愛』にしました。最近は夫婦でも仕事のオファーをいただけて、ありがたくお受けしています」

 ご家族も彼女の新たなチャレンジを温かく応援してくれているという。紆余曲折を経て原田一家に日常が戻った今、もはや浮気の心配もなし?

「それはなくならないです! いつだって怪しいと思ってます。私が彼を許したと思っている人もいるかもしれませんが、一生許しません!」

“許さなくても、一緒に生きることはできるーー”。彼女の手記には、そんな想いが込められているのかもしれない。

ドラマなどに出演していた芸能人時代の原田愛(C)『別れない理由』/講談社

「実は執筆を通して“やっぱり私は夫が好きなんだな”と再認識させられたんです。本当に悔しいです(笑)。夫には、人類が滅亡しても生き残るような生命力を感じる一方で、何かに躓いて突然死んじゃいそうな雰囲気もある。結婚してから20年で、交際期間を入れると30年はほとんど一緒にいますが、謎は深まるばかりで、とにかく一緒にいて飽きなくておもしろい人なんですね」

 摩訶不思議な原田ワールドへの興味は尽きないようす。最後に愛さんは「本を通して私たち夫婦をおもしろがってもらえたら本望」と語る。

「たくさんの人に手に取っていただきたいのですが、今現在、不倫に悩んでいる人の参考にはならないかもしれません。あくまで、酒のつまみ感覚で気軽に読んでもらえると、ヒマつぶしくらいにはなると思います(笑)」

 夫の原田さんも「おもしろい生き方をしたい」と常々語っている。すべてが人生における“おもしろさ”と感じているところこそが、原田夫妻が『別れない理由』なのかもしれない。

『別れない理由』(講談社刊 税込み1430円)幼少期の思い出から、芸能活動。そして、俳優・原田龍二との出会いと妻として過ごした20年間の軌跡が、あますことなく綴られた一冊。原田一家の秘蔵写真も多数収録された“原田家ファン”必携の書!? ※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
原田愛(はらだ・あい)1973年、神奈川県出身。中学時代から芸能活動を始める。原田と交際を機に芸能界を引退。2001年に入籍。長らく専業主婦だったものの、2021年に山本漢方製薬「大麦若葉」のCM出演を機に、芸能活動を再開。

妻が奇跡の文筆デビュー! 驚きの展開に夫・原田龍二は何を思う?

正直、うらやましいです! 僕もいろいろ出版してはきましたが、小説やノンフィクションを出したいと思っていてまだそれは実現していないので、まさか妻に先を越されるとは……。とはいえ、彼女の挑戦に反対する理由もないし“やりたい”という気持ちも聞いたので、本気で応援しています。

 書店で直接手にとって、それから読みたかったのですけど、欲望に耐えられず、発売直前に地方ロケ帰りの新幹線の中で原稿を読んでしまいました。僕の最強の理解者である妻の本音に、感動で泣いてしまいましたよ。一生反省です!

 そして最近では、夫婦での仕事も増えており、原田夫妻は新たなステージを迎えている。

「いただいた仕事には全力で応える。これは、僕たち夫婦の信条です。今回の本の出版イベントでは、再スタートの意味も込めてこれまでやってこなかった結婚式をやらせていただきました。これからも芸能史に残るようなあっと驚くことに挑戦していきたいです!」

原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年、東京都出身。第3回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞後、トレンディドラマから時代劇などさまざまな作品に出演。現在は俳優業に留まらず、バラエティや旅番組に多く出演し、活躍の幅を広げる。芸能界きっての温泉通、座敷わらしなどのUMA探索好きとしても知られている。現在、YouTubeチャンネル「ニンゲンTV」を配信中!

取材・文/大貫未来(清談社) 撮影/北村史成(愛さんインタビュー)、伊藤和幸(記者会見)