11月28日、『月光』などの大ヒット曲で知られる歌手・鬼束ちひろが器物損壊容疑で警視庁に逮捕されるというニュースが飛び込んできた。
鬼束と一緒にいたという知人女性が体調不良となって救急車が呼ばれるも、その車体をあろうことか蹴ったというのだ。知人女性は別の救急車で搬送されたという。
「なんでも2人はパチンコ店で興じていたところ、その知人が痙攣を起こして救急隊員が駆けつける騒ぎになった。その後、搬送される際に路上で通行人とトラブルになり、激昂した彼女は“パニックになって救急車にキックをした”というのです。
駆けつけた警察によって現行犯逮捕された、とのことですが、器物損壊で即逮捕、とはなかなか穏やかではありませんよ」(全国紙記者)
器物損壊での逮捕は40%
当然ながら、器物損壊罪は3年以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる立派な犯罪であることには間違いない。今回の場合は救急隊側が被害を訴えたことになるのだが、逮捕され、そして勾留されるには「よほどのこと」と、同記者は話す。
「法務省の『検察統計年報2020』によると、器物損壊で逮捕された事件は40%で、逮捕後に拘留されたケースは65%とあります。つまりは、警察に通報されたとしても当事者同士による示談が行われることが多いのが同罪であって、現行犯で逮捕までには至らない場合も多いということ。
鬼束さんが当時、隊員が手がつけられないほどに酔っ払っていたのか、錯乱状態だったのか、それとも警察に別の目的で“勾留するための手段”として、彼女を逮捕することを決断したのか」
逮捕後、警視庁は薬物検査を行うとして鬼束を乗せて病院に向かっている。検査結果は明らかにされてはいないが、29日未明に警察車両は渋谷署に戻ってくると、落ち着いた様子で調べに応じているという。やはり、疑われたのは「薬物」なのか。
「なんでも救急隊が到着した際に、取り乱していた鬼束に救急隊員が“大丈夫ですか?”と声をかけたところ、“触らないで!”と大声を出して騒ぎ立てたと言います。その言動が尋常ではなかったため、隊員も薬物反応を疑ったのでしょう。
つまりは薬物使用や所持の疑いを持たれて、それを詳しく調べるために器物損壊の疑いで逮捕、拘留したのではないでしょうか。近年の彼女には“疑われるべき言動”が多々あるだけに、警察も裏でマークしていたという情報もありますからね」(報道局ディレクター)
得体の知れないムニャムニャ
2000年に歌手デビューし、同年のドラマ『トリック』(テレビ朝日系)主題歌『月光』が大ヒットすると、そのミステリアスな雰囲気と美貌も相まって人気歌手となった鬼束。一方で、プライベートではその“不安定さ”をのぞかせる出来事も多かった。
レコード会社関係者は「確かに情緒不安定なところがありました」と明かす。
「感性が鋭く繊細、壊れそうな危うさがアーティストとしての才能にもなっていたと思います。瞬く間にスターになり、周囲の環境の変化に心身が追いつかなかったのか、体調不良によって活動休止が続くこともままありました。また、激ヤセや大量服薬による自殺未遂騒動、ストーカー被害に遭ったり、交際相手から暴行されて大怪我を負うなどの事件にも巻き込まれました。
この頃から容姿も180度変わってメイクや服装が派手になり、インターネット動画出演やツイッターで破天荒な物言いで“ぶっ飛んだ”キャラに。まさか薬をやっていたとは思いませんが、奇行続きの彼女だけに警察にも注視されていたことも考えられます」
デビューから間も無くパニック障害を発症し、一方でステージ上から見える観客が「悪魔に見えた」などとも告白。また、雑誌のインビューでも《得体の知れないムニャムニャしたものが出てきて、いつもそれに振り回されている》(『テレビガイド』2001年9月15日号)と独特な表現をしていた鬼束。
“歌姫”になにが起きているのだろうか。
※追記:11月30日午前8時48分、東京湾岸署から身柄を送検された鬼束ちひろ。薬物検査の結果は陰性で、当時は飲酒もしていなかったことが明らかになった。