12月1日、千葉県浦安市の『東京ディズニーリゾート』内にある、とあるグッズショップに大勢の人達が列を成した。その現場とは、JR舞浜駅前に構える『ボン・ヴォヤージュ』である。
「12月1日はお正月のグッズや蜷川実花さんとのコラボグッズ、ミニーちゃんの新施設を記念したグッズなど、ファンなら必ずゲットしたい複数のグッズが新たに同時発売されていたため、ディズニーファンがショップに押しかけたんです。
インターネットで事前に来店予約の枠を取れた人だけが入店出来るシステムで、人数は絞られていたはずなのに、客同士の熾烈な争いが繰り広げられてしまって……」(ショップを訪れた20代女性)
代わりに買い物を頼む女性
この女性は当日の午後4時に来店の予約枠を運よく手に入れ、意気揚々と入店したのだがーー。
「まさに“地獄絵図”でした。クリスマスの新キャラクターのグッズが補充されるたびに人が群がる。店員さんが補充するワゴンから許可なく品物を漁る人も多かったです。
みんな自分の事しか考えていないので、イライラした客同士がぶつかって、喧嘩していたおばさんたちもいましたよ。来店予約してまで来て、目当ての商品はほとんど売り切れ。お客さんの中には“来店の予約までしたのに買えないってどういうことよ!”って叫んでいる女性もいました」(同・20代女性)
もはや無法地帯と言えるカオスな店内では、盗難騒ぎも起こっていた。
「クリスマス限定のキャラクターグッズをカゴに入れていた女性が、いつの間にか別のお客に横取りされたそうです。その話を聞いたほかのお客さんたちはカゴを守るように前で抱えて、疑心暗鬼になってしまって。
お店の前では“予約枠が取れなかったので代わりに買って来てくれませんか”と声をかけまくっているハイエナみたいなおばさんもいたし、とにかく治安が悪く、あの日はとてもじゃないけど“夢の国”ではありませんでした……」(同・前)
『ボン・ヴォヤージュ』を運営する『オリエンタルランド』の広報部に、当日の混雑ぶりについて問い合わせると、
「ソーシャルディスタンスを保ってお買い物いただける人数でご入店いただいていました。しかしながら一部の棚にゲストが集まるケースは発生しており、一時的に棚に商品がなくなることはありました」
と回答。客同士でのトラブルを把握していたかについては、
「ゲスト同士でトラブルがあったかどうかについての事実は確認できておりません」
今後の対策について聞いてみると、
「引き続き混雑が予想される日には、来店予約の実施やキャストのモニター強化など、今後もゲストのみなさまが快適なショッピングをお楽しみいただけるように取り組んでまいります」
との回答だった。いずれにせよ、1人でも多くのディズニーファンが、快適に買い物を楽しめる状況になることを願うばかりだ。
体調不良者が続出
そんな中、今度は12月5日に日本最大のディズニーストア『ディズニーフラッグシップ東京』が、東京都新宿区にグランドオープンした。
しかし、このショップでも“想定外どころではない”ほどの混雑があったとして、多くの人から不満が噴出。12月6日に来店した30代男性は、当日の様子を次のように明かす。
「15分間隔で来店予約をするシステムでした。ただ、予約時間の10分前に駅構内の集合場所に足を運ぶと、自分と同じ予約時間の人だけでゆうに100人以上は並んでいたのです。予約アプリには“ご予約時間の10分前からお並び頂けます。それ以前のお並びはご遠慮ください。”と記載されているにもかかわらずです。ルールはあってないようなものでした。
1つ前の予約時間の人達も全然入店できておらず、列の最後尾は新宿駅の改札近くまで伸びていて……。JRを利用していた人たちは、ディズニーファンの混雑に対して駅員さんにクレームをぶつけたり、ディズニーストアのお客さんたちの列をなぜか駅員さんたちが整理するという事態に。さらに、ストアの来店予約の確認を行うのはスタッフ1名だけだったので、確認作業に時間がかかって列が一向に進みませんでした……」(同・30代男性、以下同)
入り口にあるグランドオープンを記念したキャラクターたちの巨大なオブジェがフォトスポット化し、写真撮影するディズニーファンたちが入退店をする人たちの妨げにもなっていたという。
「グランドオープンを記念した限定グッズや、海外のディズニーテーマパークで販売されたグッズ、東京ディズニーリゾートパーク内の蔵出し商品などのレアアイテムが今回の目玉でした。しかし、入り口付近の棚はすっからかん。
ほかの棚に行こうとするも混みすぎてお客さんたちの身体と完全に密着し、買い物カゴのぶつかり合い。息苦しく、暑く、身動きが取れませんでした。施設内にはトイレや水分補給が出来る場所もなく、体調不良を訴える人もたくさんいらっしゃいましたよ」
警察まで出動した理由
ほとんどのグッズが売り切れづくしの棚の前で、スタッフに詰め寄る中年女性の姿も。
「今日、初日でしょう!? 予約を取らせておいて、なんでこんなに“密”なの? なんでグッズが売り切れなの? 早く補充してちょうだい!」
ものすごい剣幕であちこちで怒号を飛ばす人々。店内では人混みに押し潰されそうな小さい子どもの姿も見られ、乳児の泣き声が響いていたそう。
「極め付きは、会計するまでの待ち時間でした。店員さんに会計の場所を聞いてみたら、非常階段に待機列ができているとのことでした。誘導されて階段に向かうと、疲れ果てげっそりとした多くの人々が並んでいました。会計まで“4時間待ち”と聞いて、心が折れそうになりましたよ……」
挙句の果てには、警察も出動するほどの事態に。
「オープン初日の5日、大混雑を見かねた警察官が数人、ストアを訪れて列の整理や店舗側への指導を行っていたようです。この翌日には、客同士でグッズを巡っての揉めごとが発生して店内は大騒ぎ。このときも通報を受けた警察がストアに出動したんだとか。連日にわたって警察が出動するなんて……。“ディズニー好き”の人たちって希少なグッズに目がないですからね。たまにこういった揉めごとは起こるんですけど、今回は特にひどかったと思います」
『ディズニーフラッグシップ東京』を運営する『ウォルト・ディズニー・ジャパン』は5日、公式サイトにて今回の混乱ぶりについて謝罪。
《事前にアプリより来店時間のご予約をいただいたにもかかわらず、私共の不手際により、ご入店、ならびにお会計に多大なお時間を頂戴することとなりました》
《お客様には大変ご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます》
《早急に来店人数や店内のお客様のご誘導について見直し、快適にお買い物を楽しんでいただけるよう改善してまいります》
と、再発の防止を誓った。今後は、夢を求める人たちが悲しむことのないような体制作りに期待したい。
取材・文 久遠 凛