香川照之

「仕事というものは、実はお金儲けや名声のためにあるのではなく、人生を愛するためにあるのだと思います。さぁみなさん、今日も人生を愛していきましょう!」

 12月10日の朝6時、TBS系の情報番組『THE TIME,』で金曜メインMCを務める香川照之は視聴者にこのように呼びかけた。

「現在の香川さんは12月30日公開の映画『99・9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』の宣伝活動も大詰め。新しいドラマのオファーもひっきりなしに入っているようです。あの言葉は、自分を励ますために言ったのかもしれませんね」(テレビ誌ライター)

 特にその12月10日は、分刻みのスケジュールを強いられていた。

『THE TIME,』放送終了3時間後の11時から、銀座の歌舞伎座で舞台があったんです。TBSのある赤坂から銀座まで、移動時間は車で15分程度ですが、準備などを考えればかなりタイトでしょうね」(スポーツ紙記者)

 “密スケ”の香川が出演した舞台は『十二月大歌舞伎』だ。

「香川さんは2015年以降、十二月大歌舞伎には毎年必ず出演しているんです。もはや、冬の風物詩のようになっていますので、今回も情報番組のメインMCと並行してでも、絶対に出たかったのでしょう」(同・スポーツ紙記者)

歌舞伎前の生放送に苦言も

 赤坂から駆けつけた香川の演技は、どのようなものだったのか。

「出演したのは『伊達の十役』という演目。主演の市川猿之助さんが10の役を演じ分けるのが見どころですが、香川さん扮する悪女・栄御前が幼い子どもに毒を飲ませるため“さぁさぁさぁ”と執拗に詰め寄るところは、『半沢直樹』の大和田常務のような迫力でした」(観劇した女性)

 多忙でも演技のクオリティーはキープし続けている香川だが、周囲からはこんな声も。

「大歌舞伎は歌舞伎俳優にとってとても大事な興行。その直前に生放送の仕事を入れるなんて前代未聞です。ギリギリの仕事を続けていては、歌舞伎界の格式を乱す行為と思われかねませんよ」(梨園関係者)

 一方、芸能レポーターの石川敏男氏は、香川の八面六臂の活躍を高く評価する。

演技力が高くコンスタントに歌舞伎座の舞台に立ち続けていますから、本業をないがしろにしてはいないと思います」

 彼の冴え渡る“調整力”には、目を見張るものがあるようだ。

「たくさんの仕事を抱えて大変そうに見えますが、歌舞伎では自分のセリフを計算して減らすなど、力の抜きどころをちゃんと作っているそうです。全体の仕事量を把握できる方なので、どんなに立て込んでいても上手にこなせるんですよ」(芸能プロ関係者)

 香川のバランス感覚をもってすれば、“密スケ”なんて苦にならないのかも。