12月31日、2004年の『第55回NHK紅白歌合戦』以来、17年ぶりにNHKホールに登場する松平健。歌うのはもちろん『マツケンサンバ2』(以下、『サンバ2』)だ。
「東京五輪の開会式直前、『コーネリアス』小山田圭吾の降板などでゴタゴタする中で、ネット上で待望論が起きていたのが『サンバ2』でした。面白半分の“ネタ”にも思えますが、確かに外国人アスリートにウケたのは間違いないところ。
当の松平さんも“(もし五輪組織委員会からオファーが来たら)やりますよ”と、その気になって自信をのぞかせていたそう(笑)」(スポーツ紙記者)
そんなネットの盛り上がりにあやかってか、出場者枠ではないものの「特別企画」で出演オファーしちゃったNHK。松平サイドとしては断る理由はナシ! とばかりに2度目の見参と相成った。
『サンバ2』といえば、ド派手な金ピカ衣装を纏った“殿様”が、大勢の腰元や町人を携えて軽快なリズムで歌い踊る“非日常”風景が醍醐味。お祭りごとにはピッタリなだけに、日本競馬の祭典『有馬記念』を彩った、JRAとのコラボ『マツケンアリマ66』も話題になったばかりだ。
3年連続で大晦日に『サンバ2』
紅白こそ17年ぶりの登場になるが、実は「『サンバ2』は2020年の大晦日にも歌われています」とはテレビ誌編集者。
「同じく12月31日放送の“裏紅白”とも言われる、演歌歌手の祭典『年忘れにっぽんの歌』(テレビ東京系)にもマツケンさんは2019年、2020年と2年連続で出演しているんですよ。しかも昨年は、久々に“カツケン”こと香取慎吾さんとの豪華共演。
もちろん、今年も『年忘れ〜』に出演して盛り上げました。“後出し”になる紅白がどこまで演出でオリジナリティーを出せるか、密かに対決を楽しみにしています(笑)」
なるほど、すっかり年末の風物詩になりつつある『サンバ2』。が、今でこそ馴染み深い“胸にあふれるこのリズム”ではあるが、そのカオスぶりに“上様・ご乱心”と揶揄され、笑われた過去がある。老舗音楽事務所のマネージャーが明かす。
「『サンバ2』の“殿様”はご存知、健さんの代表作ドラマ『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)の“上様”こと徳川吉宗をイメージしています。というのも、かつて新宿コマ劇場で公演されていた舞台劇『暴れん坊将軍』において、フィナーレで“小宵は無礼講じゃ〜!”と披露されていたのが同曲なのです。
それ以前にも『松健音頭』をはじめ、『マツケンマンボ』や『マツケン小唄』なども歌ってきた松平さんですが、大所帯で歌って踊るスタイルになったのが『サンバ2』。コマ劇場は“ケン様”お目当ての妙齢の女性が多かったのですが、当初は何が起きているのか把握できずに、皆さん圧倒されてポカンとされていた(笑)」
もちろん“2”と付くからには『マツケンサンバ(1)』も存在するのだが、こちらはサンバ調バラードといったところで松平がムーディーに歌い上げるのみ。でも、“上様”はこれだけは満足できなかったようで。
宝塚が大好きな上様
「20代半ばと若くして時代劇イメージがついた健さんですが、もとは宝塚やミュージカル劇が大好きでプライベートでよく観劇に行っていましたよ。それが縁で大地真央さんとも出会い、“マジー”こと真島茂樹さんとも交友を深めるようになった。
そんな健さんのイメージする、歌って踊れる歌劇のような楽曲を生み出したのが作曲家の宮川彬良さん。軽快なリズムと、宝塚公演のフィナーレを思わせる派手な演出と真島さんの振り付けによるダンス。音楽関係者の中には失笑を漏らす人もいましたが、松平さんは“これだ!”とステージで真剣に歌い踊ったのです」(前出・マネージャー)
次第にコマ劇場の名物になり、徐々に口コミでテレビ業界にも広まっていった『サンバ2』。そして誕生から10年後の2004年にして大ブレイクし、ついにメジャーリリースが実現することに。その後、“マツケンワールド”が認知されたコマ劇場では念願かなってか、『暴れん坊将軍』もミュージカル劇として公演。新たな時代劇を開拓した松平だった。
「誰もが知る大御所の健さんですが、“無礼講”の通りにえらぶることは一切なく、誰にでも気遣いができる人。スタッフとも垣根なく接しては、意見やアイデアにも耳を傾けて“それ、いいね”と取り込む柔軟性もある。そして舞台役者を、“いい演技するんですよ”とドラマ関係者に紹介したりと面倒見もいいんですよ。
劇中で皆から慕われる“上様”まんまの“太陽”のような暖かな人柄だからこそ、コロナ禍でギスギスした世の中で『マツケンサンバ 2』は求められるんじゃないかな」(前出・マネージャー)
今宵も無礼講で歌い踊り明かそうぞ!