ネットやSNSの普及により、有名人でなくとも誰でも“発信”ができる時代。それはユーチューバーやインフルエンサーのようにかつてはなかった有名人を生み出したが、同時に“何か”あった場合に、炎が燃え上がる環境も作り出した。
CMの内容に批判コメント
“悪い”ことはしていないが、視聴者に“何か”を感じさせているCMがある。Googleが開発し、10月28日より販売がスタートしたスマートフォン『Google Pixel 6 Pro』のCMだ。
「自分のSNSで批判するだけならわかりますが、GoogleのYouTube公式チャンネルにまで訪れて批判コメントを書いている人もおり、思うことがある人がなかなか多いということでしょうね」(広告代理店関係者)
『Google Pixel 6 Pro』のCMはどのようなものか。
「若い男女数人が山登りに。男性1人は白いタキシードのような服装です。山頂に着くと、女性が上着として着ていたアウトドアウェアを脱ぐ。するとその下の格好は白いドレスのような服で、頭には白く長いヴェール。
つまり山頂まで友人を連れて“ウエディングフォト”を撮りに来たという設定。山頂の隆起した部分でふたりは向き合い、一緒に来た友人がヴェールとドレスの裾を上にフワッと上に放り投げ、それらが美しくたなびいている写真を撮るというストーリーですね」(前出・広告代理店関係者、以下同)
“リア充”な若い男女たちの幸せな風景に思えるが、なぜ批判されているのか。
「『Pixel 6 Pro』の目玉機能は“消しゴムマジック”です。CMでは、ヴェールとドレスを持ち、撮影に手伝ってくれた友人2人を、新婦役である女性が“消しゴムマジック”機能を使い、ワンタッチで写真から友人を消しています。
写真に写るのは山頂にいる新郎新婦のみ。結果、この写真は他人の力を借りてはおらず、風に揺られて自然とヴェールとドレスがたなびいている“すごく良いウエディングフォト”になりました。消しゴムマジック機能を使うことで……というものです」
YouTubeのGoogle Japan公式チャンネルの同CMには以下のようなコメントが寄せられた。
《友人不要、ふたりだけの世界》
《YouTubeのGoogleスマホのCMで、山のてっぺんで写真撮って、友達を消して加工技術の高さをアピールするけど、あれが物凄く不愉快なの俺だけ?》
《せっかく協力したのに、消されるなんて、思い出からも消されそうで可哀そう》
《友達消して笑ってる花嫁がホラー。》
《自分のドレス姿を演出するため一緒に山登りまでしてくれる友達(?)をツールで消してケラケラ笑ってるのが全く共感できない。むしろ不愉快。》
《不要な同志は簡単消去》
「テレビやYouTubeで結構流れたCMだったので、CM内容が気にさわる人には“不快”だったかもしれません。あとは“リア充”感への嫉妬みたいなものもあるとは思いますが……(苦笑)」
批判の理由はもうひとつあるが、メリットも
そしてもう1つ『Pixel 6 Pro』には批判が……。
「その機能1本に絞ったCMを打つわけですから、『Pixel 6 Pro』の最大の“推しポイント”は、この消しゴムマジック機能なわけです。CMを見て、この機能に惹かれて購入した人も少なくないでしょう。
しかし、11月11日に配信がスタートしたアップデートにて、消しゴムマジック機能が丸ごと消去されてしまったのです。あれだけCMでPRしていた機能が突然消去されたことに戸惑うユーザーが多数。
現在はその後に行われたアップデートで復旧しています。すべてのユーザーに起きたわけではないようですし、また“意図的に”この機能を消したとも考えづらいですが、目玉機能が使えなくなってしまうという状況に陥ったことに対し、“Googleともあろう企業がろくにアップデートもできないのは残念”などの声も。
もともと指紋認証がなかなか認証されない、充電速度が遅いなどの声もあり、溜まっていた不満が消しゴムマジック消去によって噴出した格好です」(ITライター)
しかし、一方で称賛する声も。
「『Pixel 6』シリーズは、“文字起こし”の機能が非常に注目されています。標準で搭載されているレコーダーアプリによって、音声の録音と文字起こしが同時にこなせます。
『Pixel 6』シリーズでは、日本語のほか英語、ドイツ語、フランス語の音声文字変換に対応。こちらの文字起こしの正確性や即時変換について、堀江貴文さんも“pixel6の文字起こしが思ったよりも凄すぎて”“95%以上の認識率ですね”と文字起こしの模様の動画を付けてTwitterで絶賛していましたね」(前出・ITライター)
友達を消すのも、機能を消すのもくれぐれも慎重に……。