日本一の漫才師を決める『M-1グランプリ2021』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が19日(日)18時30分過ぎより、ついに開催される。'01年、島田紳助を発起人に吉本興業主催でスタートしてから丸20年。'10年で一区切りし、'15年から再開。17回目となる今回は“非吉本”勢に注目が集まる。
「今年、決勝進出を決めた9組のうち、吉本興業所属以外の“非吉本”が過去最多の4組です。本命視されていた見取り図、ニューヨークなどの常連組が準決勝で敗退し、顔ぶれは一新しました」(テレビ関係者)
決勝に勝ち残ったのは、インディアンス、オズワルド、真空ジェシカ、錦鯉、モグライダー、もも、ゆにばーす、ランジャタイ、ロングコートダディ(50音順)。
どのコンビが王者の座を手にするのか。
「お笑いをよく知っている方以外は馴染みのないコンビが多いかもしれませんが、だからこそ新たなスターが生まれる可能性は十分にあります!」
とは、第1回からずっとM-1グランプリを見続けてきたライターの成田全さん。王者が決定する19日に先駆けて、過去の神回をアンケート。
“あなたにとっての神回は?”
多くの票を集めた7回をプレーバック!
(アンケート期間:12月1日~15日:男女7000人を対象)「ない」326票除く
1位 '07年 第7回 優勝:サンドウィッチマン 1365票
「敗者復活で誰だかわからないコンビがでてきて“なんで?”と思ったけどネタを見て納得。めちゃくちゃ笑いました! そして優勝したときには泣いた。一夜でファンになりました」(40代女性)
「ピザのデリバリーネタは腹を抱えて笑った!」(40代男性)。
圧倒的1位となったのは、'07年(優勝:サンドウィッチマン)。大井競馬場での敗者復活戦を勝ち抜き、“誰このコンビ状態”の中で堂々の決勝1位通過。ファイナルラウンドへと進んで、大会初の敗者復活からの優勝はM-1史上最大の逆転劇に。
「決勝のピザのデリバリーネタは爆笑だったが、実は途中でネタが飛んでいて大ピンチだったとのちに告白しています。しかしそれを感じさせなかった爆発力はスゴかった!」(成田さん)
現在の活躍ぶりは言わずもがな、まさにM-1ドリームを体現した回だった。
2位 '04年 第4回 優勝:アンタッチャブル 1042票
「ハズレコンビがほぼいなかった」(50代男性)
「しずちゃんに対する山ちゃんのツッコミが斬新で新しい時代を感じた」(40代女性)
「10年目であとがないアンタッチャブルが優勝して感動した」(40代男性)。
2位は'04年(優勝:アンタッチャブル)。唯一、松本人志が審査委員を務めなかった回で松本に評価されたい若手はがっかりしたという。'04年。準優勝の南海キャンディーズはM-1決勝の日をきっかけに大ブレイク。チャンピオンのアンタッチャブルと共に現在も活躍中。
ダブルボケという珍しい漫才
3位 '10年 第10回 優勝:笑い飯 932票
「9年連続で決勝進出したのは彼らだけ」(50代男性)
「鳥人('09年)を初めて見たときはたまげた(笑)」(40代女性)
「M-1といえばこのコンビ!」(40代女性)
932票を獲得したのは、'10年(優勝:笑い飯)。
「笑い飯のボケと突っ込みが入れ替わる“ダブルボケ”という珍しい漫才に全国が驚いた'02年。そこから連続で決勝進出していましたが、どうしてもあと一歩が届かなかった。当時は10回目で大会終了とアナウンスされたため(このあとの5年間M-1は開催されなかった)、優勝のチャンスはこの年限り。そんな中、笑い飯は9年連続となる決勝進出を果たし、悲願の初優勝となったんです」(成田さん)
(編集部注※「笑い飯出場回が神回」だとのコメントが多数のため、優勝回を神回とカウントしました。いちばん反響が多かったネタは'09年の「鳥人」)
4位 '19年 第15回 優勝:ミルクボーイ 930票
「かまいたちが絶対に優勝と思ったらまさかのそれを上回るコンビがあらわれた」(30代女性)
「コーンフレーク、USJ、など今でも言えるネタばかり。粒ぞろいでした」(20代男性)
「ぺこぱをこの大会で知った。傷つけない笑いがよかった」(40代女性)
若い世代に圧倒的人気の4位は、'19年(優勝:ミルクボーイ)。結成15年目で最後のチャレンジ('15年からルール変更)だったかまいたち、3年続けて2位の和牛を退けたのは初めてのファイナリストとなったミルクボーイだった。
「ぺこぱ、見取り図、ニューヨーク、マヂカルラブリーなど今となっては有名なコンビも軒並み登場。どのコンビも笑いをさらっていて画面に華やかさがありましたね」(成田さん)
5位 '05年 第5回 優勝:ブラックマヨネーズ 864票
「当時の島田紳助に“完璧”と言わせた」(40代男性)
「前年に話題をさらった南キャンがスベっていてM-1の怖さを感じた」(40代男性)
「吉田さんと小杉さんの掛け合いに圧倒された。妄想をこじらせたネタが最高」(40代女性)
5位は'05年(優勝:ブラックマヨネーズ)。ナイツの塙もテレビ番組で「この優勝が完璧すぎて、'06年から'10年までの大会は“ブラマヨの呪縛”が」とコメントしているほど。審査員だった島田紳助から“時間の使い方が抜群”“完璧やったな”と大絶賛された。
第七世代の誕生
6位 '06年 第6回 優勝:チュートリアル 809票
「男前なのに変態っていうギャップが最高!」(40代女性)
「イケメンって笑えない存在だったけど徳井さんには笑わされた」(40代男性)
「満場一致の優勝は圧巻だった」(50代女性)。
6位は'06年(優勝:チュートリアル)。ファイナルラウンドでは史上初となる審査員全票を獲得して完全優勝したチュートリアル。前年の優勝者・ブラックマヨネーズと徳井はNSC大阪校13期の同期。
7位 '18年 第14回 優勝:霜降り明星 721票
「第7世代が誕生した」(20代女性)
「ジャルジャルにとってほしかった」(30代男性)
「和牛にはここで優勝してほしかった」(20代男性)
7位は、第7世代の霜降り明星が優勝した'18年。平成最後の開催となった大会で、史上初の平成生まれのコンビ。フットボールアワーの岩尾望が持っていた28歳の最年少優勝記録を更新した。
「私はこの回でしたらジャルジャルを推したいですね。'17年の“ピンポンパンゲーム”で爆笑をさらうも6位に沈み、その悔しさをバネに、ラストイヤーの'18年は“これが面白いんだ!”と自信のあるネタをぶつけ、爽やかに敗退した姿が記憶に残っています」(成田さん)
新旧入り乱れてのランキングとなったが、チャンピオンの印象が強い回、出場者たちの印象が強い回と見方はそれぞれ。今夜は神回となるかそれともーー
成田全(なりた・たもつ)
1971年生まれ。イベント制作、雑誌編集、漫画編集などを経てフリー。文学・自然科学・音楽・美術・地理・歴史・食・映画・ドラマ・テレビ・芸能など幅広い分野を横断した知識を駆使し、インタビューや書評を中心に執筆
M-1グランプリ歴史
2001年
第1回(MC 島田紳助、赤坂泰彦、菊川怜)
(審査員 島田紳助、松本人志、鴻上尚史、ラサール石井、春風亭小朝、青島幸男、西川きよし)
中川家、ハリガネロック、アメリカザリガニ、ますだおかだ、麒麟、フットボールアワー、キングコング、チュートリアル、DonDokoDon、おぎやはぎ(1603組)
島田紳助を発起人に、若手漫才師日本一を決定する大会として吉本興業主催でスタート。出場資格は結成10年以内(プロ、アマ不問)で1603組が参加。決勝出場者10組の得点上位2組が最終決戦へ進出するルールだった。結成10年目だった中川家が初代チャンピオンに。
2002年
第2回(MC 西川きよし、山寺宏一、中山エミリ)
(審査員 島田紳助、松本人志、大竹まこと、ラサール石井、島田洋七、中田カウス、故・立川談志さん)
ますだおかだ、フットボールアワー、笑い飯、おぎやはぎ、ハリガネロック、テツandトモ、スピードワゴン、ダイノジ、アメリカザリガニ(1756組)
準決勝敗退者で敗者復活戦が行われるようになり、決勝出場者8組に敗者復活を勝ち抜いた1組を加えた9組で得点上位3組が最終決戦に進出するルールに変更。松竹芸能所属のコンビ・ますだおかだが優勝。増田英彦は前年4位を悔しく思い、結果が出なければ漫才をやめる覚悟で臨んだ、と語った。
MCに今田耕司が加わる
2003年
第3回(MC 今田耕司、西川きよし、小池栄子)
(審査員 島田紳助、松本人志、南原清隆、島田洋七、ラサール石井、大竹まこと、中田カウス)
フットボールアワー、笑い飯、アンタッチャブル、2丁拳銃、りあるキッズ、スピードワゴン、アメリカザリガニ、麒麟、千鳥(1906組)
3年連続で決勝に進み、視聴者からのメールゴング(メール投票)でも人気を集めていたフットボールアワー。なんと緊張からか、ツッコミの後藤輝基が最終決勝でオチ直前のセリフを噛んでしまうという大失態を起こしながらも優勝をもぎ取った。この年から現在もMCを務める今田耕司が加わる。
2004年
第4回(MC 今田耕司、井上和香)
(審査員 西川きよし、南原清隆、大竹まこと、島田洋七、春風亭小朝、ラサール石井、中田カウス)
アンタッチャブル、南海キャンディーズ、麒麟、タカアンドトシ、笑い飯、POISON GIRL BAND、トータルテンボス、東京ダイナマイト、千鳥(2617組)
結成10年目のアンタッチャブルが最終決戦で審査員7人中6票を得て優勝。準優勝した南海キャンディーズ共々ブレイクすることに。賞金の使い道を聞かれたアンタッチャブルは、「M-1の前から事務所の改装工事が始まったので少し持っていかれるでしょう」と記者会見で笑いを誘った。
2005年
第5回(MC 今田耕司、小池栄子)
(審査員 島田紳助、松本人志、渡辺正行、大竹まこと、島田洋七、ラサール石井、中田カウス)
ブラックマヨネーズ、笑い飯、麒麟、品川庄司、チュートリアル、千鳥、タイムマシーン3号、アジアン、南海キャンディーズ(3378組)
優勝したブラックマヨネーズはネタの鮮度を保つため、1度しかやっていなかった自信のあるネタ2本を初めて進出した決勝で披露し、審査員だった島田紳助から「時間の使い方が抜群」「完璧やったな」と大絶賛された。この回から決勝戦の会場が六本木のテレビ朝日となる。
『オードリー』の猛追をかわして優勝
2006年
第6回(MC 今田耕司、眞鍋かをり)
(審査員 島田紳助、松本人志、南原清隆、渡辺正行、島田洋七、大竹まこと、中田カウス)
チュートリアル、フットボールアワー、麒麟、笑い飯、トータルテンボス、ライセンス、ザ・プラン9、変ホ長調、POISON GIRL BAND(3922組)
史上初となる審査員全票を獲得して完全優勝したチュートリアル。福田充徳は準決勝直前、歯並びを治すため仮歯にしたほどの気合いの入れようだった。徳井義実は決勝でネタにした冷蔵庫を優勝賞金で買う、福田はバイクの購入資金(加えて歯も完全に治したらしい)と語っていた。
2007年
第7回(MC 今田耕司、小池栄子)
(審査員 島田紳助、松本人志、上沼恵美子、ラサール石井、オール巨人、大竹まこと、中田カウス)
サンドウィッチマン、トータルテンボス、キングコング、ハリセンボン、笑い飯、ザブングル、ダイアン、千鳥、POISON GIRL BAND(4239組)
サンドウィッチマンが敗者復活戦から初の逆転優勝を果たす。大井競馬場での敗者復活戦から決勝が行われるテレビ朝日まで馬を運ぶための馬運車の荷台で移動するも渋滞にハマり、伊達みきおと富澤たけしが寒風の中2台のバイクに分乗し大急ぎで向かった、という逸話も。
2008年
第8回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 島田紳助、松本人志、上沼恵美子、渡辺正行、オール巨人、大竹まこと、中田カウス)
NON STYLE、オードリー、ナイツ、笑い飯、U字工事、ダイアン、モンスターエンジン、キングコング、ザ・パンチ(4489組)
関西では売れっ子のNON STYLEが、ピンクのベスト姿で「トゥース!」と言う横柄なキャラの春日俊彰に若林正恭がツッコむオードリーの猛追をかわして優勝。NON STYLEは漫才は評価されるも、上沼恵美子から「フリートークはあんなに面白くないのに」とツッコまれた。上戸彩がMCに加わる。
2009年
第9回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 島田紳助、松本人志、上沼恵美子、東国原英夫、オール巨人、渡辺正行、中田カウス)
パンクブーブー、笑い飯、NON STYLE、ナイツ、ハライチ、東京ダイナマイト、モンスターエンジン、南海キャンディーズ、ハリセンボン(4629組)
チュートリアル以来となる審査員全票獲得の完全優勝となったパンクブーブー。しかしスポンサーだったカー用品店「オートバックス」のCMに優勝者が出演することを巡って「パンクした車」というコンビ名に首をひねっていた、というウソのようなホントの話も。
2010年
第10回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 島田紳助、松本人志、南原清隆、大竹一樹、渡辺正行、宮迫博之、中田カウス)
笑い飯、スリムクラブ、パンクブーブー、ピース、銀シャリ、ナイツ、ハライチ、ジャルジャル、カナリア(4835組)
第10回を区切りとしてM-1の終了、後継プロジェクトの発足(2011~2014年は「THE MANZAI」が開催された)がアナウンスされた。9年連続で決勝へ進出していたWボケ&ツッコミの笑い飯が悲願の初優勝。初の決勝進出で2位となったスリムクラブも人気を集めた。
(中断)
上沼恵美子を生配信で批判する事件も
2015年
第11回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 中川家・礼二、増田英彦、岩尾望、吉田敬、徳井義実、富澤たけし、石田明、佐藤哲夫、哲夫)
トレンディエンジェル、銀シャリ、ジャルジャル、タイムマシーン3号、スーパーマラドーナ、和牛、メイプル超合金、馬鹿よ貴方は、ハライチ(3472組)
5年ぶりに『M-1グランプリ』が復活し、出場資格が結成から15年以内のコンビに変更となった。審査員はアンタッチャブルを除く歴代優勝者が担当。前向き&自虐的ハゲネタと、ジャケットをチラッと開いて「斎藤さんだぞ」とカッコつけるポーズがウケまくり、敗者復活組のトレンディエンジェルが優勝した。
2016年
第12回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 上沼恵美子、松本人志、博多大吉、中川家・礼二、オール巨人)
銀シャリ、和牛、スーパーマラドーナ、さらば青春の光、アキナ、ハライチ、カミナリ、スリムクラブ、相席スタート(3503組)
審査員に上沼恵美子、オール巨人、松本人志が復帰、新たに博多大吉も加わる。決勝戦は正統派漫才の和牛と銀シャリが火花を散らす接戦を展開、銀シャリが優勝を勝ち取った。また第12回までは決勝進出決定時にネタを披露する順番の抽選が行われていた。
2017年
第13回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 上沼恵美子、松本人志、博多大吉、春風亭小朝、中川家・礼二、渡辺正行、オール巨人)
とろサーモン、和牛、ミキ、かまいたち、スーパーマラドーナ、ジャルジャル、さや香、ゆにばーす、カミナリ、マヂカルラブリー(4049組)
ネタを披露する順番を選ぶ「笑神籤(えみくじ)」が導入され、出場者はいつ舞台へ呼ばれるかわからない緊張感との戦いも強いられることに。翌2018年の大会後、この年優勝したとろサーモンの久保田かずのぶとスーパーマラドーナの武智が生配信で審査員の上沼恵美子を批判、後に謝罪する事態となった。
上沼から酷評されたコンビが涙の優勝
2018年
第14回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 上沼恵美子、松本人志、中川家・礼二、富澤たけし、立川志らく、塙宣之、オール巨人)
霜降り明星、和牛、ジャルジャル、ミキ、かまいたち、トム・ブラウン、スーパーマラドーナ、ギャロップ、見取り図、ゆにばーす(4640組)
平成最後の開催となった大会で、史上初の平成生まれのコンビである霜降り明星が優勝。この優勝後、“お笑い第7世代”が人気を集めるように。
2019年
第15回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 上沼恵美子、松本人志、中川家・礼二、富澤たけし、立川志らく、塙宣之、オール巨人)
ミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱ、和牛、見取り図、からし蓮根、オズワルド、すゑひろがりず、インディアンス、ニューヨーク(5040組)
優勝者のミルクボーイはコーンフレークのネタで大ウケし、ケロッグの公式ツイッターが祝福、コーンフレーク1年分が贈呈された。
2020年
第16回(MC 今田耕司、上戸彩)
(審査員 上沼恵美子、松本人志、中川家・礼二、富澤たけし、立川志らく、塙宣之、オール巨人)
マヂカルラブリー、おいでやすこが、見取り図、錦鯉、ニューヨーク、オズワルド、インディアンス、アキナ、ウエストランド、東京ホテイソン(5081組)
第13回大会決勝で上沼恵美子から「好みじゃない」と酷評されたマヂカルラブリーが上沼から高得点を得て優勝。おいでやす小田とこがけんによるおいでやすこががユニット初となる決勝に進出し、台風の目となった。新型コロナウイルス対策で3回戦が省略されるなど、運営にも影響が。