羽生結弦、ロッテ『ガーナ』のイベントにて('15年)

 12月22日から『第90回全日本フィギュアスケート選手権大会』(以下、全日本)が開幕する。

羽生、北京五輪出場の可能性は

「全日本には、右足のケガでグランプリシリーズを欠場していた羽生結弦(27)選手もエントリーしています」(スポーツ紙記者)

 羽生を4歳から小学2年生まで指導していた山田真実コーチも期待を寄せる。

「今シーズン初の試合になるので緊張はすると思いますが、どんなパフォーマンスをしてくれるか、とても楽しみです。ファンのみなさんが喜ぶ、素晴らしい世界観のプログラムを見せてほしいです」

 全日本は日本人選手にとって、'22年2月に開催が迫る『北京五輪』出場の最終選考会でもある。

「新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』の影響で、カナダのトロントを練習の拠点にする“りくりゅうペア”こと三浦璃来、木原龍一組は唯一、全日本出場を免除される異例の五輪代表内定となりました。

 しかし、宇野昌磨選手や鍵山優真選手ら、ほかの種目の選手たちは代表枠をかけて戦います」(前出・スポーツ紙記者)

 重要な試合に向けて、選手はどのような心境なのか。'14年の『ソチ五輪』にペアで出場経験があり、現在はJOC理事としても活動し、羽生と小学生のころからの幼なじみでもある高橋成美さんに聞いてみた。

“まずはどうやって代表に選ばれるか”という気持ちでやっているんだと思います。

 でも、ゆづの場合は'14年のソチ五輪と'18年の平昌五輪で金メダルを獲得しているので“選ばれるため”ではなく“次の五輪で優勝するため”で4年間がスタートしているのが、ほかの選手とは違うところですよね

 羽生は北京五輪への出場意欲や、3度目の優勝願望について、いまだ明言していない。

楽しみながら、ただ4回転半を

 '21年7月に行われたインタビューではこう話している。

《平昌五輪シーズンのように「絶対に北京五輪で金メダルをとりたいか」と言われたら、そんな気持ちはなく、とにかく自分の壁というか、一般常識の壁みたいなものを乗り越えたいと思っています》(『羽生結弦 未来をつくる』より)

 モチベーションは北京五輪に向いてはいないように思えるが、羽生の代表入りはどうなるのか。

「11月17日に日本スケート連盟の竹内洋輔フィギュア強化部長は羽生について“(ケガの回復が遅れて全日本を欠場したとしても)選考の土台からは落ちない”と話しています。

 さらに“われわれとしてはしっかりと回復してくれれば、競技力を取り戻してくれると思っている”とも話しており、五輪での活躍に期待を寄せていることは明らか。なので、羽生選手が選ばれることは十分にありうるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)

 それでも、羽生の目指すところは“最後の夢”と語る4回転半を試合で達成すること。

今のゆづは純粋にゲームをするように、まるで少年のようにスケートを楽しみながら、ただ4回転半をやりたいと思っているのでしょう。

 ただ、ケガって治ったらそれで終わりではなく、どうしてもその先もケガをしやすい身体になってしまいます。その判断はどうするか……。それでも、全力でやりながらも優先順位をつけて、自分自身の熱い心を制御できるくらいのすごい選手になったと思います。

 目の前のことに一生懸命になりすぎていた、あのころのゆづから変わらないまま進化したな、という印象です」(前出・高橋さん)

 ピュアな境地でスケートを楽しむゆづなら、きっと夢を成し遂げた後の笑顔を見せてくれるはず!