2021年も残すところあとわずかとなった。今年も多くの芸能人、有名人の熱愛・結婚、そして離婚が報じられた。こと離婚に関しては、芸能人同士の夫婦における“ある法則”が当てはまっていたといえよう。それは、《別居した夫婦は離婚する》というもの。
毎年のように芸能人夫婦が離婚しているが、そのほとんどが先に別居報道が出ている。芸能界で、別居したうえで離婚しなかったのは内田裕也さん・樹木希林さん夫妻くらいなものだと記憶している。また、離婚の前兆として、どちらかといえば、「女性の活動が活発化する」ことも挙げられる。結婚して芸能活動を控えめにしていた妻が、あるときから積極的に仕事をするようになり、テレビなどで露出が増えだすと、芸能記者は離婚を疑うというもの。
今年の例で挙げると、7月に離婚を発表した石橋貴明・鈴木保奈美夫妻だろう。
鈴木は1998年に石橋と再婚、そのタイミングで芸能界引退を表明した。3人の子どもを育てながら静かに暮らしていたのだが、2008年に芸能活動を再開。その理由としては「子どもたちが小学生になり子育てがひと段落した」としていたが、実はこのときから芸能マスコミの間では“夫婦間の関係が悪化している”との噂が出ていた。2016年、鈴木は18年ぶりに連ドラの主演をし、女優業を本格化させると、今年の1月には別居が報じられている。彼女が自分の名義でマンションを購入していたと伝えられたのだ。そうして間もなく、予想通り離婚の運びとなった。
子どもを置いて出て行ったイメージ
そんな今年の芸能人カップルの離婚だが、これまでの慣例と異なっていたのが、篠原涼子(7月)と長谷川京子(10月)のケースだ。
篠原も長谷川も別居が報じられていて、芸能人の法則通りの離婚となった。だがこのふたりに関して、これまでの芸能人離婚カップルと大きく異なるのが、別居の際に「子どもを置いて家を出た」と報じられた点だ。
ともに当時夫であった市村正親、ポルノグラフィティの新藤晴一が別居の間、子どもと多くの時間を過ごしたとある。離婚の際、長谷川は親権がどちらなのかについて「子どものプライバシーもあるため」と明かさなかったが、篠原のほうは夫の市村が持つと発表された。
「もちろん母親が子どもを連れなければならない、というのは古風すぎる考えではあります。ですが、女優業をやるうえでも、“子どもを置いて出て行った”といったイメージがついてしまうと、起用するうえでもマイナスになりかねない。そもそも、小さなお子さんなら“お母さんと一緒にいたい”と主張するケースが大半ですしね。
篠原さん、長谷川さんは“母親役”を演じることも多い世代です。そういった観点からも、女性芸能人は今後のイメージ戦略も考えて自らが親権を持とうとするケースが多いのですから、ふたりのケースは特例といえるでしょう」(テレビ局関係者)
離婚で増えるオファーは
同じ離婚でも、杏(2020年に東出昌大と離婚)などはかっこいいシングルマザー像を開拓し、今でも演技にCMにと起用が続いている。『ハケンの品格』(日本テレビ)、『アンフェア』(フジテレビ系)などで“理想の女性上司”のイメージを築き上げてきた篠原は、離婚のドタバタのなか“韓流アイドルとの不倫疑惑”も報じられ、奔放な女性というイメージをつけてしまった。長谷川もバラエティー番組で「一現場一恋愛」と肉食系女子のキャラクターを押し出しているが、そういった一面や家族から離れての“単身別居”、離婚が新たな女優像を切り開いていくのだという。
「来年配信されるNetflixのドラマ『金魚妻』で篠原さんと長谷川さんも共演しているんです。ともに“不倫をする女性”を演じ、激しいベッドシーンをともなう体当たり演技をすることが話題になりましたが、家庭があり、特に小さいお子さんがいらっしゃる方はなかなか引き受けにくい役です。別居し、子どもと一緒に暮らしていないという生活を送っているからこそ、役に入り込めた部分もあったでしょう。今後、離婚をしたことで、ご本人の“ちょっと危うげな私生活”と重なるような役柄のオファーが増えると予想されていますよ」(舞台演出家)
篠原と長谷川はともに2人の子をもつ母で、同じ有名私立校に通わせているという“ママ友”だと聞く。芸能人同士、色々と悩みも相談しやすく、さまざまな情報を共有していると思われる。同じ年に数ヶ月違いでの離婚。この偶然のウラには何か、ふたりだけの密談でもあったのだろうか。両人のみぞ知る──。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。