長寿番組のMCを務める、和田晶子、タモリ、黒柳徹子、草野仁

 NHKの人気法律バラエティー『バラエティー生活笑百科』と『ガッテン!』が来年3月で放送終了すると一部で報じられた。

『生活笑百科』は、司会をつとめた笑福亭仁鶴さんによる「四角い仁鶴がまぁ〜るくおさめまっせぇ」のキャッチフレーズと、キダ・タローの軽妙なテーマ曲のもと、1985年から36年以上、土曜のお昼のお茶の間に親しまれてきた長寿番組だ。「相談室長」の仁鶴の高齢化にともない、数年前より休養が続き、桂南光が変わって「相談室CEO」として進行をつとめる状態が続いたが、8月、仁鶴は惜しまれながらこの世を去った。

「南光さんの進行で番組は続けられ、仁鶴さんが亡くなったあとも番組のオープニングコールなどに仁鶴さんの音声がそのまま使われるなど、『仁鶴さんの番組』というカラーを変えることをしなかった。亡くなって半年以上になる改編期の年度末というところで、その役割を果たし終えるということになるのでしょうか」

 と、あるテレビ関係者は語る。

司会者を変えて番組続行

 長寿バラエティーの中には、司会者が交代していくことで長年継続していくスタイルのものは少なくない。なかでもメジャーな存在が、『笑点』(日本テレビ系)だ。

 1966年の放送開始から半世紀以上が経過し、現在司会をつとめる春風亭昇太は、6代目の司会者となる。『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)の局長も、上岡龍太郎、西田敏行を経て、現在の松本人志は3代目になる。

「『パネルクイズアタック25』(朝日放送)も、初代の児玉清さんから、三代目となる谷原章介さんまで司会を交替しながら放送は継続されましたが、9月に46年という長い歴史に幕を下ろしました。人気番組『おしゃれイズム』のあとを受け10月にスタートした『おしゃれクリップ』は、番組タイトルや放送枠を変えながら昭和の時代から続く隠れ長寿番組だったりします」

 このほかにも、現在も放送中の人気長寿番組というと、『NHKのど自慢』(NHK・1953年スタート)、『題名のない音楽会』(テレビ朝日系・1964年スタート)、『MUSIC FAIR』(フジテレビ系・1964年スタート)、『新婚さんいらっしゃい』(朝日放送・1971年スタート)、『徹子の部屋』(テレビ朝日系・1976年スタート)、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系・1982年スタート)、『アッコにおまかせ!』(TBS系・1985年スタート)、『日立 世界ふしぎ発見!』、(TBS系・1986年スタート)『ミュージックステーション』(テレビ朝日系・1986年スタート)、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系・1989年スタート)、『所さんの目がテン!』(日本テレビ系・1989年スタート)、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系・1989年スタート)などがある。

黒柳徹子とタモリの代わりはいない

 ある芸能評論家は、長寿番組の傾向についてこう分析する。

「『のど自慢』や『笑点』などフォーマットがしっかりしたものは、人気が持続するかぎり、司会者を変えてもそのまま継続しやすいのではないでしょうか。『ナイトスクープ』は、上岡さんから西田さんに変わるときに心配の声が多くあがりましたが、そもそもレギュラー探偵たちのキャラとネタが何より大事な番組。それに西田さんがこれまでと全く違うタイプだったことが逆にうまくハマった例だと思います。『生活笑百科』や『アタック25』は“のれん”を守り続けたものの、時代の流れとともにゆるやかにフェードアウトしていった感じですね」

 一方、番組MC個人のキャラクターによって成り立っている番組の引き継ぎはかなり難しくなる。黒柳徹子やタモリの番組がそれにあたる。

「『徹子の部屋』や『タモリ倶楽部』は、まずMC交代で番組が続くものではないでしょうね。『ガキ使』もダウンタウン抜きの継続はありえないかと。でも『新婚さんいらっしゃい』は、例え文枝さんから別の人に交代しても、うまく新婚さんをいじるチカラがあれば継続可能かもしれません」(同前)

ダウンタウン

 また“長寿”という意味では、番組のスポンサーも大きく影響してくる。シオノギ製薬の『シオノギMUSIC FAIR』や、日立の『ふしぎ発見』、資生堂の『おしゃれ』シリーズは一社提供で番組を支えている。

「かつては『サザエさん』や『日曜劇場』は東芝、『水戸黄門』シリーズもナショナル(現パナソニック)一社提供でしたね。複数のスポンサーに切り替える以外は、その企業が元気な限り続く、つまり長寿番組になっていくという一面もありますね」(同前)

 お茶の間に長く愛されてこそ“長寿番組”と言われているが、時代の流れとともに変化を見せているのも現実。メイン出演者の高齢化や、時代背景にあった番組作りから外れてしまったときが「その役割を終えるとき」(同前・芸能評論家)だという。

 いつの時代も、長く愛された番組の終了は少し寂しい。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉