2021年のジャニーズは、大物の事務所退所が目立った年となった。長瀬智也のTOKIOを脱退・事務所を退所。V6の解散に伴い、森田剛も同じく独立の道を選んだ。
そんななか、元ジャニーズ、元SMAPだった3人、草彅剛、香取慎吾、稲垣吾郎の活躍がめざましかった年だったともいえる。
特に草彅は、今年のNHK大河ドラマ『晴天を衝け』に江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜の役で出演。その演技は草彅のファンだけでなく多くの大河ファンを魅了した。香取は年末に放送される特集ドラマ『倫敦ノ山本五十六』(NHK)で主人公の山本五十六を演じる。そして今年9月には3人そろって久しぶりにバラエティー番組に挑戦した。特番『ワルイコあつまれ』(Eテレ)は3人のキャラクターを大いに引き出すような内容に制作されており、そのユニークな内容は視聴者だけでなく、業界の反響も上々。第二弾の放送が期待されている。
NHKがジャニーズをスクープしたワケ
ジャニーズの大看板だったSMAP。個々で絶大な人気を持っていた彼らだが、解散を発表して以降、ジャニーズを抜けた3人をテレビなどでみかける機会がほとんどなかった。それは芸能界の“悪しき慣習”とでも言える、「大手事務所を辞めたタレントはしばらく仕事がしにくい」のセオリーを感じさせた。事務所とテレビ局の、圧力や忖度といったものだ。
その芸能界の不文律に触れたのが、先のNHKだった。
2019年7月、夜9時からのニュース番組が始まる直前、画面にテロップが流れた。
《元SMAP3人の出演に圧力の疑い ジャニーズ事務所を注意 公正取引委》
それは、ジャニーズ事務所が民放テレビ局に独立した3人を出演させないよう圧力をかけていた疑いがあり、『独占禁止法違反』につながるおそれがあるとして、公正取引委員会が事務所に注意したという“スクープ“だった。
なぜこういった報道に踏み切ったのか。
内村光良のような番組を
「視聴者にとって“事務所の圧力”といったものはどこかで聞いたことのある都市伝説のようなものだった。しかし、元SMAPの出演がガクッと下がったことで“やっぱり本当だったんだ”と一般層にも注視されるようになったんです。不自然に彼らの名前を伏せるような演出が目立つテレビ局の忖度にも不信感を抱くようになった。
毎年『紅白』などに多数のジャニーズのグループを出演させているNHKもにもそのような目は向けられて、“結局NHKもそうなのか”と言われるようになってしまいました。そんなイメージを払拭するためにあのスクープを報じたのではないかと言われています。NHKにとって、元SMAPを積極的に起用することは、いちテレビ局としてのイメージをアップさせることにも繋がっているんです」(芸能プロ関係者)
それにしても、この1年は特に『新しい地図』の露出が増えた感はある。それは先述のような理由だけではない、と語るのはキー局のプロデューサー。
「どの職場でもそうですが、NHKの局員にも熱烈なSMAPファンがいます。解散から5年、SMAPと一緒に仕事をしていた若いスタッフが出世して現場を仕切れるようになったから、3人の起用が増えたんだとか。『新しい地図』でバラエティーをやりたい、との企画書が多く届いているそうですよ。ウッチャンナンチャンの内村光良さんらが出演するコント番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』のようなコントを中心とした企画も多く集まっているようです。今後、3人のバラエティー番組がレギュラー放送されるうようになるかもしれません」
昨年の大晦日には『絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!』(日本テレビ)に出演するなど、ようやく民放にも出るようになり、完全復活の兆しがみえてきた3人。来年はNHK、民放のバラエティーを席巻するか──。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。