「すいません、来ちゃいました。会いたくて」
昨年末の紅白歌合戦で最も注目を集めたのは、シンガー・ソングライターの藤井風だろう。一般的な知名度はそれほど高くないが、音楽関係者の間では、以前から“天才”と呼ばれていた。
「岡山県の里庄町という緑豊かな土地で生まれ、父の影響で幼いころにピアノを始めました。実家の喫茶店でピアノを弾く動画を、12歳からYouTubeに投稿するようになりました」(音楽ライター)
2019年に活動拠点を東京に移すと、デビュー前にもかかわらず音楽イベントのオファーが殺到。2020年5月に満を持してデビューアルバムを発表し、10月には武道館ワンマンライブを成功させた。
2021年1月には書き下ろし楽曲『旅路』がドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)の主題歌に。快進撃を続け、紅白初出場となった。
「紅白ではまず、岡山の実家で電子ピアノを弾きながら『きらり』を歌唱。自身のYouTubeの弾き語りを思わせるような演奏を終えると、カメラの前に立ちふさがり、画面が暗転。直後に姿を現したのはなんと東京の紅白のステージでした。事前に知らされていなかった司会者や審査員が驚きの表情を浮かべる中、2曲目の『燃えよ』を熱唱。同じ衣装を着ていましたから、まるで藤井さんが“ワープ”したかのようでした」(テレビ誌ライター)
大トリを務めたMISIAの2曲目『Higher Love』にもサプライズで登場し、ピアノ伴奏で参加。この楽曲は藤井が提供したもので、MISIAとのステージ初共演が紅白で実現したのだった。
緑のモコモコスリッパに釘付け
初出場にもかかわらず、主役級の活躍で大みそかを席巻した藤井。しかし、視聴者が注目したのはそれだけではない。彼の足元、緑色のモコモコしたスリッパが目を引いたのだ。
「あれは『READYMADE』というブランドのホームシューズで、3万円ほどする高級品なんですよ。スタイリストが持ってきた数種類の靴の中からひとめぼれして選んだそうです。彼が部屋着のようなスウェットとスリッパで紅白に出たのは、有名になった今でも、“自分のルーツは実家で動画投稿をしながら、純粋に音楽を楽しんでいたあのころにある”というメッセージだったのではないでしょうか」(NHK関係者)
年が明けた1月2日には、自身のYouTubeチャンネルで“ねそべり紅白”と名づけたライブを生配信。
「紅白と同じスウェットにスリッパを履いて、自宅で寝そべりながら弾き語りしていました。動画は4時間足らずで再生回数100万回を突破しており、ますます人気が加速している印象がありますね」(前出・テレビ誌ライター)
これからも、歌番組ではスリッパ姿で歌っちゃう!?