'21年も大活躍だった氷川きよしさんにインタビュー。'22年の展望、ハマっていること、冬の過ごし方、新曲『群青の弦』に込めた思い…など、たっぷりとお届けします!
油絵にハマってます
「最近、また油絵を描くようになって。きっかけ? テレビ番組で披露することになって、もう5年くらい放置していた絵を完成させたら、スイッチ入っちゃって(笑)。夜の7時に描き始めて、いつの間にか0時を過ぎてるなんてことも。すごく楽しくて、時間を忘れてますね」
と、スマホでその作品を見せてくれた。ここでお見せできないのが残念すぎるが、とっても素敵!
「写実的に描くのは得意じゃなくて。自分の好きなように、自由に描いてる感じです。やっぱり自分はクリエイティブなことが好きなので。いつかやりたいなぁ、展覧会」
一時期は、趣味の時間をつくることは贅沢なことのような気がしていたそう。
「だから、苦手克服のように走ったり(笑)。でも、今は好きなことをやる自分も大切にしています。運動は散歩程度にして。油絵のほかには、スワロフスキーでスマホケースをデコったり。手先を使って細かい作業するのっていいですね。気分がすごく晴れ晴れします。編み物にもトライしてみたいな」
冬は野菜たっぷり鍋で
寒い冬はおうちでぬくぬくしがち。冬太りしないための対策は?
「野菜たっぷりの鍋を作ったらいいですよ。豚肉は脂ひかえめのロースにして。バラ肉、おいしいんですけどね。あとは冷蔵庫にある野菜、レタスでも何でもいいからボンボン入れて。“これを入れたらダメ”っていうのはないから。シャキシャキの状態で、ロースで巻いてポン酢で食べるのがオススメです」
野菜はだいたい、肉の10倍くらいの量を食べるそう。
「自分もけっこうスイーツとか好きで、食べちゃうから。そんなときに作ってますね。この間はクレソンで鍋をしたんですけど、すっごくおいしかった!」
さらに冬の食卓に欠かせない鍋物といえば、おでん。
「毎年、必ずやりますね。大根は皮をむいて、先に下ゆで。かつおだしと昆布だしは自分でとりますね、ちょっと味濃いめで。あとは卵、こんにゃく、スジが売ってたらスジも! トロトロにしたいから、先に圧力鍋で煮ておきます。玉ねぎも1個ゴロッと入れたりしますね。これがすごくおいしい! でもつゆがにごっちゃうから、早めに食べたほうがいいです」
さすが料理上手。ワンランク、ツーランク上の鍋ライフが目指せそう。
「この間、ひとり用の鍋が売ってて、思わず買おうかと思ったんですが、やめました(笑)。やっぱり鍋はみんなと、できればパートナーと囲みたいですよね。そんな相手が見つかればいいですね。人を愛することって、人生においてやっぱり必要だから」
'21年を振り返って
「いい1年でしたね。とにかく忙しかったですけど(笑)。そして'20年も考えさせられましたが、'21年はまたより一層考えさせられる年でした」
振り返ると身近な人や知り合いの他界がまず頭に浮かぶという。デビューのころからお世話になった人もそのひとりだと思いを馳せる。
「すごくやさしい、いい方で。天海祐希さんともお知り合いで。そのご縁で、天海さんを“お姉ちゃん”と呼び、交流させていただくようになって。そこからまたご縁で、天海さん主演の『老後の資金がありません!』の主題歌『Happy!』とのつながりができたり。本当に縁なんだなと思います」
つらい訃報を聞くと、自分が今生きていることは当たり前ではなく、奇跡。改めてそう感じるという。
「同時に“何を残せるかな”と思いました。明日死んでも悔いはない、そんなふうに生きないといけないと思います。肩書などにしばられ、一生そこにはまって生きるより、ひとりの命を助けられるような歌を歌っていかないといけない。そんな使命感を強く感じています」
これからも氷川は“命”を輝かせる――。
心の底から「この歌を歌いたい」
「2月1日に新曲『群青の弦』をリリースします」
'22年の幕開けは、氷川節が冴えわたる演歌から。
「日本のお正月といえばこの曲という『春の海』。ご存じですよね? テン、テレレレレレレ♪ っていう。箏と尺八の。この『春の海』を作曲した宮城道雄さんのことを歌った作品です」
宮城道雄(1894〜1956)は生後200日くらいのときに眼病を患い、4歳のころに母と離別。祖母に育てられる中、8歳のころには完全に失明。しかし、それが転機となって箏曲師・作曲家の道を歩み、大きな功績を残した人物だ。
「そんなハンディがあるにもかかわらず、あれだけの名曲を作られて。目が見えないからこそ、いろんなことを想像し、耳で感じながら『春の海』を書かれたそうです」
心の慰めは音楽であり、季節の移り変わりを知るすべは春夏秋冬の音。そんな盲目の箏曲師を歌い上げる。
「持って生まれた苦難をすごく感じるというか。どんなハンディがあっても、どんなつらいことがあっても生き抜いて、何かを創り出していく。そんな生き方におこがましいんですけど、自分を重ね合わせられる気がして。心の底から、この歌を歌いたい。そう思いました」
演歌とポップスどっちもいいと伝えたい
実はこの楽曲、5年前にすでに完成していたが、ずっと温めていたのだという。
「5年前の自分では、この曲は表現できなかったと思うんです。
30代の自分は“まだまだ、とにかく頑張らないといけない”という意識で走り続けていたような気がします。いわば、イケイケドンドンだった。
でも40代を迎え、自分に無理なく歌う流れを作り出せてきて。今の自分であれば『群青の弦』を説得力をもって届けられる。今、歌う意味をすごく感じました」
並々ならぬ思い入れと意気込みが伝わってくる。
「今回の『群青の弦』は袴で歌おうと思っています。長い髪は結わえて、凛とした感じに。やっぱり歌い手は役者さんと一緒で、曲によってお芝居して、歌の主人公になりきるものだと思っているから」
昨年リリースした『南風』のやさしさ、『Happy!』のキャッチーさ、ポップスアルバム『You are you』のアート性。それらとはまた異なる方向性でのアプローチ。
「『群青の弦』、ぜひ多くの方に聴いてもらって“演歌ってすごく染みるね”と思ってもらえたら。昨年とは、また全然違った世界観の音楽ですけど、“どっちもいい”っていうことを伝えていけたら。何より、常に新たないろんなものに変化しながら、音楽をやっていきたいと思っています」
'22年にしたいこと
週刊女性読者に新年のご挨拶をお願いします! ブラックボードを手渡すと少しだけ考え、サラサラと書きしたためてくれた。
「'22年は寅年だから、虎も描かないとね。あと、お正月らしく鏡餅も。文字だけじゃ寂しいでしょ?」
'22年は2月1日に『群青の弦』を発売、翌2月2日にはデビュー満22年を迎える。夏には明治座(東京)、新歌舞伎座(大阪)、御園座(名古屋)、博多座(福岡)の4大劇場公演も。
「今回のお芝居は趣向を変えようかな、と思っています。楽しみにしていてください。そして9月には45歳に。自分の人生もしっかり見つめ、生きることをまた深く考えていきたいですね」
'22年、できれば海外に足を運びたいと話す。
「コロナ禍が落ち着いてくれれば、ですけど。オンとオフをしっかり切り替えられると、いい循環が作れる。毎日充実した時間を過ごし、見る人が楽しくなれるようなショー作りをしていきたいです。幅広い世代の方たちに“見たい”と思ってもらえるような、いつでもキラキラしてる状態でいたいなと思います!」