2021年を振り返ると、ドラマ界ではNHK大河ドラマ『青天を衝け』や『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)、映画界では『るろうに剣心 最終章 The Final』や『東京リベンジャーズ』などの作品が世間をにぎわせた。
小栗旬や佐藤健といった2010年前後から第一線を走り続けるトップ俳優に加えて、2021年は20代の若手俳優も存在感を増した印象だ。
男性俳優の活躍度を調査
そこで、39歳以下の男性俳優を対象に、今回は2021年に出演したドラマや映画の視聴率や興行収入が成功を収めたかを調査。その成功度合いをドラマと映画ごとにS・A・B・C・Dで評価し、総合の順位を導き出した。
バラエティー番組や音楽活動などのデータは考慮せず、あくまでも“俳優”として活躍した人物はいったい誰なのか。さっそく見ていこう。
《評価方法》
・調査対象者
2021年12月31日時点で39歳以下の男性俳優
・調査対象作品
ドラマ/2021年1月1日から12月31日までに放送された作品。主演作があるか、主要キャストで出演しているか、関東地方での視聴率といった基準をもとに評価(ゲスト出演などは除く)。
映画/2021年1月1日から12月31日までに公開された作品。主演作があるか、主要キャストで出演しているか、2021年内の興行収入といった基準をもとに評価。
【人気俳優通信簿】
1位 吉沢亮(27)ドラマ「S」映画「A」
2位 小栗旬(39)ドラマ「S」映画「B」
2位 菅田将暉(28)ドラマ「B」映画「S」
2位 北村匠海(24)ドラマ「B」映画「S」
5位 鈴木亮平(38)ドラマ「S」映画「C」
5位 田中圭(37)ドラマ「B」映画「A」
5位 山田裕貴(31)ドラマ「A」映画「B」
8位 綾野剛(39)ドラマ「A」映画「C」
8位 柳楽優弥(31)ドラマ「B」映画「B」
8位 成田凌(28)ドラマ「B」映画「B」
8位 岡田健史(22)ドラマ「B」映画「B」
12位 藤原竜也(39)ドラマ「B」映画「C」
12位 松山ケンイチ(36)ドラマ「B」映画「C」
12位 松坂桃李(33)ドラマ「C」映画「B」
12位 佐藤健(32)ドラマ「―」映画「S」
12位 林遣都(31)ドラマ「B」映画「C」
12位 坂口健太郎(30)ドラマ「B」映画「C」
12位 鈴木伸之(29)ドラマ「B」映画「C」
12位 磯村勇斗(29)ドラマ「C」映画「B」
12位 神木隆之介(28)ドラマ「D」映画「A」
12位 間宮祥太朗(28)ドラマ「B」映画「C」
12位 杉野遥亮(26)ドラマ「B」映画「C」
12位 松村北斗(26)ドラマ「B」映画「C」
12位 新田真剣佑(25)ドラマ「C」映画「B」
12位 中川大志(23)ドラマ「B」映画「C」
12位 眞栄田郷敦(21)ドラマ「B」映画「C」
ドラマも映画絶好調な吉沢亮が首位
2021年に最も成果を上げた男性俳優は、現在27歳の吉沢亮だ。ドラマでは、NHK大河ドラマ『青天を衝け』にて「日本資本主義の父」と呼ばれた渋沢栄一の生涯を熱演。2月の放送初回の平均世帯視聴率は20.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区、以下同)を記録、また全41話の期間平均視聴率14.1%という数字を残している。
一方、映画は主演作こそなかったものの、主要キャスト・マイキー役を演じた『東京リベンジャーズ』が興行収入42億円を突破する大ヒット。さらには、声優を務めた『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』も30億円越えを記録するなど、出演作品自体は少ないながら確実に結果を残した一年だった。
吉沢に次ぐ活躍を見せたのは、小栗旬(39)、菅田将暉(28)、北村匠海(24)の3人だ。小栗は、ドラマ『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)で主演。11月14日放送の第5話の平均世帯視聴率が16.9%、12月の最終話も16.6%を記録するなど高い数字をキープした。映画では主演作の公開はなかったが、ハリウッド進出作品の『ゴジラvsコング』が約19億円、助演を務めた『キャラクター』が約16億円を記録している。
菅田将暉、北村匠海も主演で大活躍!
菅田はドラマと映画の両方で主演を張り、成果を上げた。ドラマは、21年4月期の『コントが始まる』(日本テレビ系)で主演。初回が8.9%、最終話は7.6%と視聴率こそ高くはなかったものの、F1層(20~34歳の女性)の視聴率やTVerでの見逃し配信は好調に推移した。
特筆すべきは映画での活躍ぶりだ。『花束みたいな恋をした』は約38億円、『キャラクター』は約16億円と、10億円超えの主演作を1年に2本も送り出した。
このほかにも、山田洋次監督作品の『キネマの神様』やスリラー作品『CUBE 一度入ったら、最後』など、多彩な分野の作品で主演を務めた1年だった。2021年11月には小松菜奈との結婚も発表し、演じる役柄にさらなる変化はみられるのか、今後の作品にも注目が集まる。
20代前半で唯一上位入りを果たした北村匠海は、興行収入42億円を突破した映画『東京リベンジャーズ』で主演。連続ドラマの主演はなかったが、どちらも平均視聴率が10%を超えたヒットドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)と『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)に主要キャストとして出演するなど、活躍の場を広げた1年に。層が厚くなる20代若手俳優のなかでも頭一つ抜け出る存在になりつつある。
鈴木亮平や田中圭も休む暇なく出演
5位タイ以下の顔ぶれをみると、いくつかのグループに分けることができる。まず1つ目は、19時から22時台までのゴールデンタイムの連続ドラマで主役を張る、いわゆるこれまでの男性俳優シーンをけん引してきた面々だ。
鈴木亮平(38)は、2021年4月クールに『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)、7月クールには『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』と2期連続で主演。前者は恋愛ドラマ、後者は医療系とその振れ幅も話題に。『TOKYO MER~走る緊急救命室~』は最終回の世帯平均視聴率が19.5%という高い数字を残している。
田中圭(37)は、ドラマは『らせんの迷宮〜DNA科学捜査〜』(テレビ東京系)にて主演し、『ナイト・ドクター』では2番手。映画でも興行収入が10億円を超えた『あなたの番です 劇場版』で主演し、約16億円の『そして、バトンは渡された』では助演と、主演と助演とバランスよく出演している印象だ。
2021年は酒ぐせにまつわるニュースも飛び交ったが、役者としては安定感のある働きぶりだったようだ。このほか、綾野剛(39)、藤原竜也(39)も上位に入っている。
なお2021年は、ジャニーズ事務所の俳優では櫻井翔(39)、大倉忠義(36)、亀梨和也(35)らがゴールデンタイムの民放テレビ局制作連続ドラマで主演を務めたが、いずれも映画の公開がなかったため(ライブ映画作品は対象外)、上位には入らなかった。
一方、人気シリーズの『るろうに剣心 最終章 The Final』(約43億円)と『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(約24億円)、さらには声優として参加した『竜とそばかすの姫』(約65億円)など、映画でのヒットを連発した佐藤健は、ドラマ出演がなかった。
5位タイ以下の2つ目のグループは、脇役でキャリアを積んできた30歳前後の俳優だ。この数年、高橋一生、田中圭、中村倫也など脇役を経て、ブレイクするケースが相次いでいるが、2021年もその注目株が複数現れている。
山田裕貴は3期連続でゴールデンタイム
その筆頭の一人が山田裕貴(31)だ。彼は1月期に『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』(フジテレビ系)、4月期に『特捜9 season4』(テレビ朝日系)、7月期には『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ系)と3期連続でゴールデンタイムの連ドラに出演。
さらに1月期はNHK「よるドラ」枠の『ここは今から倫理です。』で主演を務めるなど、まさに“見ない週はない”ほどの精力的な活動を見せた。加えて、山田は大ヒット作『リベンジャーズ』など、映画でも存在感を見せている。
12月27日に放送されたスペシャルドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)では、志村けん役を演じ、こちらも高評価。お茶の間への浸透度もさらに高まっており、2022年はさらなる活躍が予想される。
柳楽優弥(31)、鈴木伸之(29)、磯村勇斗(29)らもこの枠の注目俳優といっていいだろう。
柳楽は2020年頃まで助演が多かったが、2021年は主役クラスへジャンプアップ。ドラマは『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日本テレビ系)で7年ぶりに連ドラ主演を果たし、映画では『HOKUSAI』やNetflixにて配信の『浅草キッド』など実に4作で主演を務めている。
鈴木はドラマが5作、映画が2作、磯村はドラマが9作、映画が4作に出演。鈴木は深夜ドラマ『お茶にごす。』(テレビ東京系)で、磯村はWOWOWオリジナルドラマ『演じ屋』で、それぞれ連ドラ初主演を達成しており、ともに2022年はさらに飛躍しそうだ。
このほか、ドラマ『SUPER RICH』(フジテレビ系)で『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系、通称「チェリまほ」)以来の再共演をした赤楚衛二(27)と町田啓太(31)や、10月期のドラマ『最愛』(TBS系)で本格的なブレイクを果たしたためランキング外となった松下洸平(34)なども注目の存在と言えるだろう。
岡田健史、眞栄田郷敦ら20代の若手俳優も活躍
注目俳優の3つ目のグループは、ずばり若手だ。25歳前後、さらにはもっと若い俳優の活躍も目を引いた。
22歳の岡田健史は、ドラマでは『青天を衝け』『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)『桜の塔』(テレビ朝日系)、映画では『劇場版 奥様は、取り扱い注意』『そして、バトンは渡された』と、話題のヒット作に立て続けに出演。
所属事務所との所属契約解除を求める騒動もあったが、2022年には阿部サダヲとのW主演映画『死刑にいたる病』(22年5月公開)が控えるなど、その勢いはとどまるところを知らない。
この年代ではジャニーズ事務所の松村北斗(26)と杉野遥亮(26)、さらに岡田より若い21歳の眞栄田郷敦が、いずれも人気ドラマでヒロインの相手役を務めてブレイク。今後の飛躍が期待される。
ちなみに今回の調査で上位に入った吉沢、北村、山田、鈴木、磯村、間宮祥太朗(27)、杉野、眞栄田は、いずれも映画『東京リベンジャーズ』の出演者。2021年の若手男性俳優シーンにおいて、『東京リベンジャーズ』は最も重要な作品であったといえそうだ。