西岡竜司容疑者(本人のフェイスブックより、一部加工)

《この顔は…子泣きじじいダナ!!》

 そんなふざけたコメントをつけ、1歳に満たない乳児の変顔をフェイスブックに投稿して喜んでいたのは、次男に対する暴行の疑いで逮捕された大阪市東住吉区の会社員・西岡竜司容疑者(42)。

 大阪府警捜査1課と東住吉署の捜査によると、家族旅行中の昨年4月15〜16日ごろ、福岡市の宿泊先ホテルの部屋で、室内に備え付けられていた冷蔵・冷凍庫に当時生後約2か月だった次男を入れるなどの暴行を加えた疑い。冷凍室はマイナス18度に設定されていた。

 旅先でテンションが上がったのか、引き出し式の一体型冷蔵・冷凍庫の扉を開け、冷蔵室、冷凍室にそれぞれ次男を全身すっぽり入れた。冷凍室に入れたときは扉を閉め、閉じ込める場面も。家族しかいない密室での犯行だったが、容疑者自らがその様子を撮影していたため発覚した。

「昨年8月25日、大阪市のこども相談センター(児童相談所)から“虐待のおそれがある”との通報を受け捜査に着手した。容疑者のスマホやパソコン、データを保存していたハードディスクを押収して解析したところ、暴行の様子を撮影した動画や静止画が複数見つかった。冷凍庫の事件を含め次男への暴行容疑は全5件ある」(捜査関係者)

極寒責め、ヘリ攻撃…暴行容疑は5件

 昨年3月7日ごろ、自宅のテーブル天板上で約3分50秒間、次男に窒息のリスクを高めるうつ伏せの姿勢を取らせる暴行。

 同9日ごろ、自宅で授乳中の次男の両足などを複数回つかんだ上、手動のブロアー(落ち葉や埃などを吹き飛ばす送風器)のような器具を使い、顔に向けて複数回にわたり勢いよく空気を吹き付ける暴行。

 同12日ごろ、自宅でバウンサー(ゆりかごのようなベビーチェア)上で寝ている次男に対し、手などを複数回指で弾くなどの暴行。

 同26日ごろ、自宅のバウンサーに仰向けで横になっている次男の顔直近でラジコンヘリを旋回させ、さらにそのヘリを右手にぶつける暴行。

 ラジコンヘリによる暴行については、数日後に容疑者自らフェイスブックに投稿しており、真上を飛ぶヘリに手を伸ばす次男の姿とともに、

《なんだ、コイツ…風 ウゼェェェ》

 と次男の側から想像したコメントを付けている。

 一家を知る女性はこの投稿について呆れたように話す。

「もし操縦を誤ってラジコンヘリが落下し、目などを傷付けたらどうするのか。やっていいことと悪いことの区別がついていない。子ども好きで温厚そうな父親だと思っていたのでショックです」

 西岡容疑者は大阪府警の取り調べに対し、

「子どもがかわいいという気持ちから、意地悪をしたいと思ってやりました。暴行のつもりはありませんでした」

 などと5件すべてで事実関係を認めながら、一部否認するような供述をしている。

度を超えた“意地悪”

 大相撲の“かわいがり”のような感覚だったのか。若手力士に実力をつけさせるため体罰を伴う激しいぶつかり稽古をしたり、日常生活のしつけの一環として暴力を振るう行為が問題視されたのは記憶に新しい。

 関係者などによると、西岡容疑者は40代の妻と未就学の長男、次男の4人暮らし。約6年前に自宅を新築し、夫婦で引っ越してきた。近隣への挨拶はなかったという。

「もともと平屋建て住宅が2軒あった土地にいまの大きな自宅を建てたんですわ。若いのに立派な家を建ててすごいね〜と声をかけたら“がんばりました!”と笑顔で答えはった。感じのいい男性でしたよ」(近所に住む男性)

 自宅の大型ガレージには赤色の国産スポーツカーを収容。フェイスブックでたびたび愛車自慢しており、整備工場並のリフトジャッキを備える。

 近所に住む別の男性は、

「休日には車を洗車したり、ピカピカに磨きあげていた。表札に車の絵をデザインするほどのカーマニア」

 と評する。子どもを抱っこする姿を一度だけ見かけたという。

西岡竜司容疑者(本人のフェイスブックより、一部加工)

 一方、ごく近所でも、夫婦に子どもがいることや2人目の子どもが産まれたことを知らない住民も少なくなかった。容疑者の目は、近所付き合いよりもフェイスブックの向こう側にむけられたようだ。

遊び道具にされた乳児

 子どもが生まれるたび、《家族が増えました》と大きな自宅前に並んで撮影した写真を投稿。暴行の狭間にあたる昨年4月12日には《ついに笑い出しました》と次男の成長を喜ぶ様子がうかがえる。次男を冷凍室に入れた旅行ではいちご狩りも体験したようで、幸せそうな家族に見える。

 近所に住む女性は言う。

ラジコンヘリを次男の頭上で旋回させる場面を投稿(西岡竜司容疑者のフェイスブックより、一部加工)

「フェイスブックでの幸せ自慢に夢中になり、閲覧者を飽きさせないような工夫をしているうち度を越してしまったのではないか。生後約2か月の乳児を旅行に連れて行くのもどうかと思う。遊び道具にされた子どもがかわいそう。親として幼稚ですよ」

 フェイスブックでは、髪の毛が逆立った次男とパイナップルを並べて、

《同じ髪型やないか(笑)》

 と芸人のように誘い笑いをする投稿もあった。

 しかし、実生活では人を寄せ付けない雰囲気も醸し出していたという。

 近所に住む別の女性は、

「自宅周囲に3台も防犯カメラを設置して『作動中』と警告しています。たまたま容疑者宅前で子連れのママたちが立ち話をしていたら、あの家の人から“どいてくれ”と怒られたらしい。うるさく感じたのかもしれませんが、窓辺に『ミニオンズ』(米アニメ)の人形を並べていたので、それを見た子どもがはしゃぐのもわかる。ちょっと近づきがたいイメージはありましたね」

 昨年8月、妻と「次男の太ももが腫れている」と市内の病院を受診。次男は左足大腿骨と肋骨を骨折するなどしており、病院から連絡を受けた児相は昨年9月から長男と次男を一時保護している。

「暴行場面に母親がいたことはあったが、容疑者を注意している。また母親は、冷凍室に次男を入れたことは知らなかったとみられる。長男に対する暴行は確認されていない」(前出・捜査関係者)

 府警は、暴行に至った詳しい経緯や撮影の意図、骨折との関連などを調べている。

 生後約1〜2か月のときに極寒責め、ラジコンヘリ攻撃、送風器による空気砲、睡眠中に指で弾く妨害などを連発。

 近所の若い主婦は「うちの子もかわいいけどな、冷凍室に入れようなんて考えもつかへんわ」と呆れ果てていた。