「デビュー戦」はそつなくこなした。
9日、情報番組『サンデーモーニング』(TBS)のスポーツコーナー『週刊御意見番』で元メジャーリーガーの上原浩治が新・御意見番として初登場。「喝」よりも「あっぱれ」多めで初回の放送を終えた。
前任の張本勲が昨年末で番組を卒業。世代交代となり、実に35歳も若返った。
張本にも喝!の過去
「地味なコメントに終始するんじゃないか」
歯に衣着せぬ物言いが売りの前任者のファンにとって、後任として報じられた当初は物足りなさを指摘する声もあった。しかし、上原を知る関係者はこう話す。
「もともと上原は思ったことを遠慮せずに言うタイプ。歯に衣着せぬ発言、という意味では昔から変わっていない。ただ言ってもいい相手かどうか、今言っても大丈夫かというTPOを察知する能力があり、したたかな一面もある。
それに加えて関西人ということもあってか、彼の発言は『愛のある厳しいツッコミ』と捉える人が多く、反感を買うことは少ない。今はちょっとした不用意な発言で揚げ足を取られることが多い時代だが、上原ならそれをかわせると、今回の抜擢に繋がっているのかもしれません」
上原には過去に御意見番としての“実績”がある。『週刊御意見番』コーナーにゲスト出演した際、張本と関口宏に「喝」をお見舞いしているのだ。
18年、巨人に復帰1年目の現役時代、メジャーリーグに関心の薄い張本に「張本さんに喝ですよ!1年間(番組を)見てきましたけど、全然メジャーのこと喋らないじゃないですか」とクレーム。
19年には、「上原けん…こうじさん」と名前を間違えた関口に「今のは喝です!」とツッコミを入れて笑いに変えた。これらの“事件”が上原の評価を上げたといわれている。
おおらかで親しみやすいキャラクター。マスコミへのリップサービスも欠かさない。しかし海を渡る前、上原はまるで“別人”だった。
ただの「日本から来た投手」
「プロ入りしてから巨人でプレーしていた頃は、マスコミに対しても冷ややかな対応で知られていました。プロ入り前は松坂大輔と並ぶドラフトの目玉。上原本人にメジャー志向が強く、実際にメジャー球団とNPB球団の争奪戦だったこともあり、上原の株はストップ高だった。結局は逆指名で巨人に入ったが、天狗になるのも無理はない。
とはいえ、上原より10歳以上年上の記者たちがまるで相手にされず、記者たちの間で評判は最悪。巨人軍という組織が余計にそうさせていたのかもしれませんが、巨人にいたって塩対応の選手ばかりじゃない。正直、当時の上原はマスコミからは煙たがられていました」(スポーツ紙記者)
ところが、上原に転機が訪れる。08年オフ、海外FA権を行使して挑戦したメジャーリーグ。オリオールズと2年1000万ドル+出来高で契約するも、1年目の中盤で故障。
2年目以降は中継ぎや抑えとしての起用が増え、レッドソックスではクローザーの座に定着。13年には73試合に登板、21セーブを挙げた。
「大リーグに移籍後、しばらくして上原を取材したとき、驚きました。巨人時代に醸し出してたマスコミへの警戒心は皆無。取っつきにくさもなくなっていたのです。移籍初年度は注目もされていましたが、ケガによる離脱も多く、米国で上原は『ただの日本から来た投手』という扱い。
巨人という温室から環境は一変した。現地メディアからの取材攻勢もなく、日本のメディアが取材に来て嬉しかったのでしょう。みるみる笑顔になって向こうから近づいてきた。そんな上原を想像していなかったのでビックリ。当時の巨人担当者の中では『上原はメジャーに行って人が変わった』という話題で持ちきりでした」(前出のスポーツ記者)
ここまでキャラ変すれば、上原にも「あっぱれ」をあげるしかない。