昨年11月の就任会見以来、バラエティー番組に引っ張りだことなったプロ野球・日本ハムファイターズの新庄剛志監督(49)。特に就任直後は無双状態の人気ぶりだった。
新庄剛志、メディアに引っ張りだこ
なにせ、会見での派手で奇抜なファッションを批判した清原和博が炎上してしまったほど。
まぁ、これは典型的な「おまいう(お前が言うな)」案件とはいえ、ここへきて「騒ぎすぎ」「見ていて疲れる」といった声も飛び出している。ただ、これは仕方ない。彼はそもそも、芸能人として面白いわけではないのだ。
もちろん、野球人としては抜群に面白い。阪神時代、野村克也監督に乗せられて、投手との二刀流に挑戦したり、敬遠球を打ってサヨナラヒットにしたり。「宇宙人」とまで呼ばれたその意外性は大リーグでも発揮された。帰国後には、北海道に移転した日ハムの躍進にも貢献したし、走者追い越しで本塁打を取り消されるという珍プレーも記録している。
が、筆者は昔から、彼がバラエティー番組に出ていると、ぞわぞわしてしまう。なんというか、こっちまで落ち着かず、はっきり言えば、こっぱずかしくなるのだ。
今から28年前『第II章~True Love~』で歌手デビューしたときもそうだ。筆者は当時「大仰なタイトルが空回り。打撃と同じ!?」と皮肉らせてもらった。とはいえ、最近、カラオケをやっている動画を見たら、少しうまくなっていた。なんでも、苦手な歌を克服するため、ボイストレーニングにも通ったらしい。そう、彼は努力家なのだ。
また、日ハム時代、ある芸能記者がその夜遊びぶりを記事にしようとキャンプ地で聞き込みしたときのこと。キャバ嬢たちからは「あれだけ紳士な選手はいない」という評判が返ってきたという。そう、彼はすごくマジメな人でもあるのだ。
筆者が感じる「こっぱずかしさ」の原因は、実はこのあたりにあるのだろう。マジメな人が面白いことをやろうと努力しているぎこちなさ。
しかも、メディアは彼をあくまで「面白い人」として扱うので、そのぎこちなさについてはあまりいじろうとしない。そこにぞわぞわしてしまうのである。
自分のことをよくわかっている新庄
ちなみに、1月9日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)では、監督就任以来の自分を「どんだけ俺、メディアに出たか」とあきれぎみに振り返っていた。さらに、
「マネージャーには怒りましたよ、仕事入れすぎだろうと。ちょっとみんな飽きてると。それが不安なのよ」
と、苦笑い。本人もうすうす、無理をして場違いなことをしていることに気づいているのだろう。
2月になり、キャンプが始まれば、野球に専念できるようになるはずだが、ここでも不安材料はある。彼は23歳のとき、練習方法などをめぐって当時の首脳陣と対立。
「自分には野球に対するセンスと能力がないので、野球をやめます」
と宣言した。2日後に撤回したものの、その再現を心配する人もいる。努力が実らず、チームが低迷した場合「監督のセンスと能力がないので、監督をやめます」などと大マジメに言い出しかねない、というわけだ。
そうならないよう、監督、いや、ビッグボスを全うしてほしいものだが、この「ビッグボス」というのもなんだかこっぱずかしい。
ただ、清原の「番長」同様、新庄にしか似合わない愛称なのも確かだ。しかも、こちらは本人によるネーミング。案外、自分のことをよくわかっているのかもしれない。