「出演を決めた理由は、今はとても明るいドラマが大切だと思ったからです。ゲストハウスにさまざまな悩みを持った方が来ては、ヒントを得てすっきりして帰られる。その空間があまりにも温かく描かれているので、視聴者の方にも元気になってもらえたらうれしいです」
実生活と距離感が近い
連続ドラマ『真夜中にハロー!』(テレビ東京系毎週木曜深夜0時30分~)に主演する菊池桃子。菊池扮するマリコは「ハロー!プロジェクト」の大ファンで、しっかり者の娘・ミサキ(大原優乃)とゲストハウスを営む。そこを訪れる人生に悩みを抱えた宿泊客の前に“ハロプロ”のメンバーが現れ、エールを送るという内容だ。
「マリコさんは同じ53歳の設定で、のんきに見えるけどいろいろなことを学び、達観した人生経験をしたうえでの、のんきさは(自分と)共通していると思います。ミサキとの会話シーンは母娘ならではの遠慮のない距離感が実生活と近いです」
1984年にデビューしアイドルとして人気を博した菊池が、アイドル好きを演じるのも興味深い。
「キラキラと輝いているハロプロのパフォーマンスを目の前で見させていただくと、とっても元気になり自然と笑顔になって心が高揚します。そういう存在がアイドルだと認識して勉強させてもらっているので、過去の私自身も同じだったらいいなと感じています。
私自身は幼いころからアイドルを目指したわけではなく、スカウトされて芸能界に入りました。彼女たちのまぶしさと力強さに触れて、スタート当初の私は熱量が少し足りていなかったかもしれません。35年以上、芸能界で仕事をさせていただくなかで責任感やプロ意識が徐々に芽生えていったと思います」
新旧問わずアイドルとして共通する悩みとは?
「両親との約束で大学まで進学しましたが、学業とアイドルとの両立は大変でした。そういう大変さはハロプロメンバーもあると思います」
子育てが一段楽、自分の人生を軸に
25歳の長男、成人した長女の2人の母親でもある。
「アイドル時代を経て、母親になり子ども中心の生活でかなり忙しくしていましたが昨年10月に娘が20歳になりました。まだ大学生で、社会人になるまでは肩の荷が下りるということはないと思っていましたが、成人を迎えたとたんに私のなかにやり遂げた思いが芽生えました。ふたりの子どもたちは自分の好きなことを栄養にして親とは違った自分の道を探していくと思います。いつまでも子どもにつきっきりのお母さんは私がイメージしたものとは違うので、ここからは親子というより人間同士と家族で話しています。
子どもが成人したことは私にとって大きなことで今回のドラマをお引き受けした理由のひとつです。これからは自分の人生を見つめる時間を大切にしようと思います」
そのひとつが小学生のころから好きだった考古学の勉強だ。
「学校の先生の影響で歴史や古代史の本を読むようになりました。そのなかでいちばん好きになったのが縄文時代です。全国を回って発掘調査をしたいと思っていますし、ドラマの仕事が終わったら論文も読みたいです。アイドルになっていなかったら考古学者になりたかったです」
自宅で土偶トレーナーを愛用するなど縄文への思いは熱い。
「縄文時代は長くて研究者によっては1万5000年もしくは1万7000年ともいわれています。(メソポタミア、エジプト、インダス、中国の)4大文明よりも古い可能性があり、いまだにわからないことだらけ。発見されていない文字が見つかったら世界が震撼するレベルです。縄文時代はまだ階級制度がなかったといわれています。助け合いの精神や平和的な暮らしぶり。出土品の芸術性も高く、意外と文明が進んでいて当時の文字も発見されるかもというロマンがあって大好きです」
一昨年夏に「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録され“封印”を解いた。
「アイドル時代を含めてちょっと変わった人だと思われるかもと話していなかったので、世界遺産に登録されたことはとてもうれしかったです」
考古学以外にもやりたいことに歌を挙げた。
「自分の過去の曲をピアノで弾きながら歌うことにハマっていて、ストレス解消になっています。人生100年時代といわれるなかで50代はまだ若いので、自分が楽しみたいことをやりたいと思います」
最近、海外で人気のシティポップのひとり“歌手・菊池桃子”が復活する日も近いかも。
テンションがあがる髪型
マリコのお団子ヘアは遮光器土偶のシルエットと酷似している。「好きな縄文土器1位が遮光器なので、この髪型にするとテンションがあがります。ちなみに2位はみみずく土偶です」
健康法はジョギング
「よく食べてよく寝ること以外でやっていることは日ごろからジョギングをしています。ドラマの仕事が始まって体力温存のため走らなかったら、かえって調子が悪くなって、ロケの合間に少し走ってみたら気持ちよかったです」