『ロンドンブーツ1号2号』の田村淳と田村亮

 今春の番組改編の大きな特徴として、放送時間が変更になるバラエティー番組の増加が挙げられる。

「コロナ禍で海外や地方ロケがやりづらくなるなど、撮影に制限が出た影響もあると思いますが、昨年始まった新番組は日テレ系の『オモウマい店』以外、視聴率が伸びずに苦戦しています。そこで、既存の番組の放送時間を調整することでテコ入れしたいのでしょう」(制作会社関係者)

時間短縮しやすい番組

 テレビ朝日はオードリー若林正恭と弘中綾香アナが司会を務める『激レアさんを連れてきた。』とロンドンブーツ1号2号の冠番組『ロンドンハーツ』をこれまでの1時間から30分に短縮する。

「若い世代はYouTubeやショート動画アプリのTikTokに慣れ親しんでいるため、短い動画が視聴されやすい傾向があります。配信での再生回数を意識しての時間短縮ではないでしょうか」(放送作家)

 エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは、番組構成も関係していると指摘する。

「『激レアさん』は毎週2~3組が登場。『ロンハー』も企画が2本立てだったり、30分に短縮しやすい構成というのも大きいと思います。また両番組はスタジオ収録がメインのため、ロケ番組よりも時間短縮の融通が利きやすい」

 テレビ朝日は、20分番組を3本放送する深夜のバラエティーゾーン『バラバラ大作戦』を'20年秋から開始。

「ネットテレビ局ABEMAや、見逃し配信サービスTVerでの視聴を意識してスタート。スマホでの視聴が当たり前の'90年代後半から'00年代生まれの“Z世代”から支持を受けています。『激レアさん』と『ロンハー』の時間短縮から、“未来のお客さま”ともいえるZ世代を取り込みたい思いが伝わってきますね」(テレビ誌編集者)

視聴者の習慣が変わった

 反対にテレビ朝日系のくりぃむしちゅーの冠番組『くりぃむナンタラ』とバイきんぐ小峠英二が司会を務める『電脳ワールドワイ動ショー』は30分から1時間に倍増。TBS系の『バナナマンのせっかくグルメ!!』は1時間から1時間半に拡大する。

「時間が拡大しても飽きさせないMCの実力があり、リアルタイム視聴率が期待できる番組は放送時間を延ばすなど、各局いろいろ試している印象はありますね」(前出・制作会社関係者)

 日本テレビ系の『月曜から夜ふかし』や、かまいたちMCの『超無敵クラス』、TBS系の『週刊さんまとマツコ』など放送枠が移動する番組も多いが、前出の大塚さんはこのように分析する。

『くりぃむしちゅー』は冠番組の放送時間が拡大し、上田晋也は新番組も始まる

「以前は習慣で視聴する人が多かったため、ゴールデン帯への昇格も含めて枠移動はリスクが大きいといわれていました。しかし、録画や見逃し配信で視聴する人が増えたことで、人気番組は放送枠に関係なく視聴してもらえる。そのため、局としても枠移動をしやすくなったのでしょう」

 テレビ朝日に『激レアさん』と『ロンハー』の放送時間が短縮されることについて問い合わせるも、

「現時点で4月改編についてお答えできることはありません」との回答にとどまった。

 近年、若者のテレビ離れが叫ばれているが、新しい試みでZ世代を取り込むことはできるか。