いよいよ“カリスマ”の本領発揮か。
YouTubeのチャンネル登録者465万人を誇る、人気ユーチューバー・ヒカルが1月14日に自身の動画チャンネルを更新。その中で2022年の目標を語るにあたって、《テレビにも進出しようと思っとって、実は》とテレビ出演への野望をのぞかせた。
「これまでヒカルがテレビ出演したのは、意外にもドラマ出演(『残酷な観客達』2017年、日本テレビ系)で、同じくユーチューバーのラファエルらと一緒に出演。また昨年7月にも『サレタガワのブルー』(毎日放送)最終話にも出演しましたが、『残酷な〜』同様に深夜ドラマともあってあまり話題になりませんでしたね」(ウェブニュースメディア編集者)
今回、ヒカルが出演を目論むのはまさかドラマではないだろう。テレビ進出の理由を次のように答えていた。
《テレビで有名になりたいというよりも、テレビを広告として使いたいという気持ちが今芽生えとって。テレビに出ることでしか手に入らない層が100%おるやんか。テレビで活躍することで、いい出方をすれば、月に1回でも相当話題性もあると思うし、いいなと思っとって》
視聴者に自分を売り込むとなるとトーク番組か、それともバラエティー番組か。新たなビジネスを考えているのか、これまでYouTubeを視聴したことがない世代を“市場開拓”したい思惑があるようだ。
ユーチューバーにすがるテレビ
ネット界隈では誰もが知るトップユーチューバーの1人で、さらに元雨上がり決死隊の宮迫博之、また元NEWSの手越祐也ら“芸能人”ともコラボして渡り合ってきたヒカル。それだけに実際、テレビ局からオファーもきているという。
「確かにユーチューバーは業界のトレンドではありました」とは広告代理店営業スタッフ。各テレビ局が視聴者層の若返りを図る昨今、白羽の矢が立ったのが彼ら。
「他にもティックトッカーやインスタグラマーら、いわゆる若者の支持を集める“インフルエンサー”など、ネット界のスターをキャスティングすることが視聴率を獲得するには手っ取り早いと思われたのです。
そこでクライアントには、“チャンネル登録者○万人”“フォロワー○万人”“再生回数○億回”といったインフルエンサーリストを用いて、ニーズにあったキャスティングを提案するのが常になっています」
この流れによって、多くのユーチューバーらがネットからテレビに進出。主にバラエティー番組で重宝されていたのだが、そのトレンドはここにきてトーンダウンしているとも。何が起きたのだろうか。
バラエティー番組制作に携わる放送作家は「やはり、テレビでは“素人”だったということ」と手厳しい。
「YouTubeやTikTokは制作スタッフはいたとしても、基本的には企画、出演するのは自分自身、はたまたグループだけで完結する個人競技のようなもの。片やテレビは大勢の出演者から成り立ち、制作側が作った台本に沿って進行し、さらに演者同士のアドリブによって番組はおもしろくなっていきます。
テレビの一線で活躍する百戦錬磨の人気芸人やタレントが“プロ”としたら、場数を踏んでいないユーチューバーは“素人”同然。編集ありきのYouTubeでバズり動画を作れたとしても、食うか食われるかのスタジオでは実力を発揮できずに終わる、“壁”に阻まれるユーチューバーが多い」
テレビに出たらただの一般人
例えば、2021年2月に『ネプリーグ』(フジテレビ系)に出演したユーチューバー集団『フィッシャーズ』。中学校の同級生で結成された息の合った7人組は、チャンネル登録者700万人超の人気グループだ。2020年8月に続いて2度目の出演となったが、
「放送終了後には、“観覧に来た素人レベル”“芸人からのパスをスルーしまくり”“やっぱりテレビ出たらただの一般人”などと、ネット上では辛辣な声が向けられました。芸人でも予測不可能なホリケン(堀内健)さんではありますが(苦笑)、他の出演者とも噛み合わない、アドリブに対応できない姿が露呈されたのです。
フィッシャーズを知らない視聴者にとっては“この人たちは誰?”となった上に、テレビでYouTubeチャンネルをPRするどころか逆効果だったのでは?」(前出・ウェブニュースメディア編集者)
またインフルエンサーにとっても、テレビは鬼門のようだ。TikTokのフォロワーが100万人を超える、“Z世代”のカリスマ的存在とされる女性インフルエンサーが情報バラエティー番組にゲスト出演した時のことーー。制作会社スタッフが当時を語る。
「インフルエンサーが多数所属する事務所からの“推し”だと聞きましたが、確かに収録時もニコニコして可愛らしいんですが、V(VTR)が明けてコメントを求められても“めっちゃおもしろかったです”“めっちゃ食べたいです”と一言ばかり。MCが“こういうの流行っているの?”と振っても、“はい、流行ってます”と二コッ(苦笑)。
オンエアでは案の定、出演シーンは自己紹介を含めて3回ほど。これがベッキーさんやこじるり(小島瑠璃子)さんだったら“10”は返ってきますよ」
とまあ、テレビですっかり「おもしろくない」烙印を押されつつあるユーチューバーたち。しかも、期待した視聴率をとってみても「思ったほど伸びない」(同・制作会社スタッフ)と話すように、やはり“畑違い”ということか。
俺はテレビで通用する
それでも冒頭の動画で《俺を知ってもらうツールと考えたら、テレビは最強》としつつ、
《テレビで通用する可能性があると思うわけ、俺って。トークもある程度いけるし、ユーチューバーとして有名だし、プラス俺、実業家としての実績もあるから。しかもNGないやん、俺。爆弾発言オッケー、炎上オッケーやから。で、見た目がかっこよくなっとけば、かなりの需要があると思ったわけ。プラスアルファで宮迫さんがきっかけで、芸能人の人ともトークしやすくなっとるわけ》
と、自分語りをしてはテレビ進出に自信をのぞかせるヒカル。「その自信が吉と出るか、凶と出るか」とは前出の放送作家。
「今もテレビからお呼びがかかるヒカキンやフワちゃんですが、彼らは制作側の意図を汲み取って期待に応えようと一所懸命です。スタッフに偉ぶる態度をとることもなく、出演者からも好かれているんですよ。
たしかに他のユーチューバーとは雰囲気が違いそうなヒカルですが、もしも過信して、テレビのオファーに“出てやる”“利用してやる”という上から目線の気持ちでいるのならば思わぬしっぺ返しを食らうかもしれません」
ヒカルがテレビ進出の心得を教わるのは宮迫に手越、か……。