モグライダー 撮影/北村史成

 昨年12月に行われた『Mー1グランプリ』。錦鯉の優勝で幕を閉じたが、大きな爪痕を残したのは“さそり座の女”ネタで歴代トップバッター最高得点(637点)を獲得したモグライダー。コンビ結成13年目にして、決勝は初進出だった2人。ボケのともしげは丸刈り頭&赤ジャケット&半ズボン姿のオドオドキャラ。そこへ的確にツッコむのが、ややガラの悪い武田真治のようなビジュアルの芝。その素顔とは?

『Mー1』一番手は得だった

――1組目は番組の基準点になるため、高得点が出にくい。なかなか火がつかない年もある中で、モグライダーのネタで一気に場が温まりましたね?

「1組目なので実際やっている最中は、受けてるのかどうかもわからなくて。審査員の点数がめくれたとき、1人目の巨人師匠が91点で。そこで“よかったのかな?”とちょっと思いました

――“出番がもっと後だったら”と思う気持ちは?

ともしげ(以下、と)「うーん」

“何番目に出るのがよかった?”って聞かれたら、一番手で出るのがいちばん僕らとしては得したような気もしていて

「確かにね」

「暫定席から脱落したときに“もう1本やりたかったな”とはもちろん思いましたが、やり切った。実は決勝前の数日間、ずっと錦鯉さんと一緒の現場で。久しぶりにあれだけバッキバキになっている2人を見て“持っていかれるとしたら錦鯉さんだな”と思ってはいました

「確かにね。(長谷川)雅紀さん、この1年ですごくうまくなったというか。なんかオドオドしなくなったというか」

「どの口が言ってるわけ!?(笑)。あと、漫才の日本一を決めるとなったときに、やっぱり“格”みたいなものが要るイメージがあって。なんぼ受けても、なんぼ斬新でも、全員が納得しないとダメというか。生意気ながら、錦鯉さんはそれに値していたし、僕らはその格がまだ足りていないと思えたので、スッキリとした気持ちです

「まだまだやれる、伸びしろはあると思えましたね」

コンビ解散の繰り返し、お笑いから離れた過去も

――放送後、反響は?

「そうですね。多くの人に褒めてもらえたし、ツイッターのフォロワーは1万5000人くらい増えました

「美川憲一さんのYouTubeにも出演させていただけて。いつかお会いできたらいいなと思っていましたが、すぐに時間をとってくださって」

美川さん、僕らのネタを一緒にやってくださって。すごかったです。テンパって、僕らのほうが間違えまくってしまって

「決勝後、人生変わった感はデカいですね。ずーっとテレビで見ていたスターに会えていて」

「そして、そのスターの方が僕らのことを知ってくださっている。その状況がもうワケがわからないですね

――そんな2人の出会いは?

「そもそも僕はコンビを組んでも、1年半ぐらいしか持たなかった。以前はボケ側でしたが、漫才をやってる自分がどうも合ってない感じがしていて。受けないし、相方もやめるし。そのたびに誰かが誘ってくれる感じで4、5組やりましたね」

「芝くん、めっちゃツッコむイメージだと思うんですが、出会ったころはめっちゃボケで。(千鳥の)大悟さんっぽかった。髪もこんなリーゼントじゃなくて、素朴な少年だったんですよ(笑)」

「そうですね。そんな状態がずっと続き、23歳くらいのときに1回お笑いから離れて。でも“まだやってないことがある”と思い直して。“自分に合った相方を探す”という超・基本的なことを初めてやろうと決めて、ライブの見学に行ったんです。そのとき、ともしげは別の相方さんと漫才をやっていて」

「僕も10組くらい解散してまして。マックス2年くらいしか続かなかった」

「別の回を見に行ったらもう解散してて、ともしげは客席にいて。“あ、前回出てた人だな”くらいだったんですが」

「そのライブの主催の方が“2人とも相方を探してるなら、この後飲みに行こう”と誘ってくださって。本当に運がよかった」

「なんか、見捨てられてもおかしくない中、誰かが気にかけてくれることが多くて。僕は“いちばんのおバカさん”を探していたんですが(笑)、ともしげに会って、この相方に合う自分を作り直した感じです。お互い、本当に人に恵まれました

「そうですね。(所属する)マセキ芸能社に入ったのも、三四郎の小宮(浩信)くんの紹介ですし」

バイト先には今も籍を置いている

――知名度もアップし、あちこちの番組に呼ばれる多忙な日々。さぞ、収入も?

「今のところまだ変化がなくて。まだ全然、浮かれもしないです」

「だいたい2〜3か月後に変わるって聞きますが、なんならバイトしてたときのほうが安定してお金もらってたので。今、すごく不安です。僕はカラオケ屋さんで10年くらいやっていて。アルバイト採用もできるから、芸人仲間をたくさん入れたんですけど“もう戻って来ないでください”って言われてますね。やっぱり『Mー1』に行ったのにバイトしてたら、夢を壊すことになるだろうし」

「本当に戻ってきてほしくないのかも(笑)。僕は掃除屋さんのバイトを。それこそ『Mー1』前日もやってました。籍はまだ置いてます」

モグライダー 撮影/北村史成

――モグライダーとしての、今後の野望や目標は?

お茶の間のスターになりたいですね。まだ両親にもお笑いを反対されているので。ゴールデンの番組にちゃんと出られるようになったら、心配させなくなると思いますし」

「僕ら今まで、ざっくりと冠番組が欲しいとか、そんなことを思いながらやってきましたけど、そんなおこがましいことではなく。たとえ小さくてもいいから、僕らのホームといえるような、さらに学べるような場所を得ることができればと思います

 いつ見捨てられてもおかしくない中、期待に応えられずに10年以上やってきたから。やっと『Mー1』でひとつ返せたような気がしていて。これをきっかけに、たまっている分を全部返していかないと、と思っています」

 長い潜伏期間をへて、まぶしい光の差す場所へ――。

【芸能界で会いたい人は?】

「飯島直子さんですね。めちゃめちゃ好きで」

「僕は鈴木杏樹さんが好きで。前説をやってたときに、話しかけていただいたことあるんです。宝物のような思い出ですね」

「確かに。前説のときに声をかけてくれた方はすごく覚えています。1度、福山雅治さんが僕らの前説を見てくれたときに、スタッフさんに“彼らの名前は何ですか?”と聞いてくれたうえに、わざわざ僕らのところに来て握手をしてくださったことがあって。そりゃ、好きになりますって!」

「だからもう1度、福山雅治さんにお会いしたいです」

モグライダー・ともしげ(ボケ)
'82年5月31日生まれ、埼玉県出身。同棲中のフィアンセへの婚約指輪をアマゾンで購入

モグライダー・芝大輔(ツッコミ)
'83年7月25日生まれ、愛媛県出身。既婚。2歳児のパパ

※1月25日発売の『週刊女性』2月8日号でコンビの結成年数に誤りがありました。
正しくは本記事のとおり「結成13年目」です。お詫びし、訂正させていただきます。