私ヤス子47歳、絶賛婚活中。仕事、プライベート問わず会う人たちに「いい人紹介してください」というのが口癖だ。
既婚者が合コンで“トモダチ”探し
その日も編集者Yと打ち合わせを終えたあと、いつものセリフを吐いてみると……「ヤス子向けの出会いはないけど、最近、既婚者の合コンが流行ってるらしいよ」という驚きの情報が。
なに!? ちゃんとパートナーがいるのに、さらに出会いを求めるなんて欲張りな!
ぼっち歴5年の私は若干イラリとしつつも、どんな人々が集まっているのか見てみたい衝動にかられた。
ちなみにYが教えてくれた合コン案件は《ランチディスコ会、見た目年齢50代くらいまでの男女既婚者募集》
……「見た目年齢」ってなに? 年齢不詳の“自称・50代既婚者”とか怪しすぎ……と華麗にスルーした。さぁ、他の出会いを検索!
すると「高収入男性限定」や「お酒好き限定」「アラ還限定」など、既婚者向けの合コンってこんなにあるのか、と驚くほどにヒットした。
迷った末“既婚者のトモダチ探し”を銘打つ既婚者限定出会い系サイト大手の「銀座・40代ハイスペ男性が集まる会」をセレクト。
日程が迫っていたこともあり、女性参加料の1500円が無料になっていて地味にうれしい。すかさず参加ボタンをポチっとして、いざ参戦!
“既婚者合コン”会場に潜入
会場は銀座コリドー街そばの、隠れ家風ワインバル。開始時間が16時半から約2時間ということで、店のアイドルタイム(混みあうまでの空き時間)を利用しているのだろう。38歳~59歳までの年齢制限はあるが、既婚、独身の確認はない。
今回のヤス子の設定キャラは“夫はバー経営者で、夜の時間帯が暇なマダム。子どもナシ。生活時間帯が合わないため、しばらくご無沙汰状態”。なるべく男が食いつきそうなワードで固めてみた。
さて、開始時間。女性はカーテンで仕切られた個室のような席に座り、男性側が動いて順に回ってくる回転寿司方式だ。
人数は男女ともに20人ぐらいか。今回、来ていた男性は、単身赴任者が7割だった。ほぼ都内在住だったが、なかには群馬から来たというツワモノ男性も。
男性と話せる時間は15分ずつ。自己紹介を簡単にすませ、パートナーの職業や子どもの話など家庭事情をお互いに探っていく。かんたんなワンプレートのつまみが出され、ドリンクは飲み放題だ。
中盤に差し掛かると酔いもまわってきたせいか、「ヤス子さんはSMが好きそうですね」と、性癖の確認かと思うような質問や、配偶者との夜の営みについての会話も増えてきた。
何度目かの男性チェンジ後、目の前に座ったのは、爽やかな雰囲気が好印象の38歳。こんな感じのいい人も既婚者合コンに来るんだなぁと思いつつ、参加経験を尋ねると「4回目です」(おい、常連やん)。
現在、仕事の関係で単身赴任中の彼。妻と子は仙台在住なので、ポッカリ時間が空いたときなどに既婚者合コンに参加しているという。
驚きの“お持ち帰り”テク
ちなみに男性の会費は1万円だ。安くはない会費を払って4回も参加しているということは、それなりにイイコトがあった?
「既婚者合コンで出会った女性とは、まぁ過去3回とも……」
と答える彼。“すっごーい、百発百中ですね。いよっワンナイト兄さん!”と持ち上げ(?)ながら、その必勝テクを尋ねる。
「合コンの場はあくまで出会いの場、顔合わせです。ひととおり会場の女性と会話をしたら閉会後が勝負。男は会場を先に出て、女性を2次会に誘うんです。それもマンツーではなく、なるべく大勢で。2次会でさりげなくお目当ての女性に近づき、別日に会う約束をすればワンナイト確定ですよ」
なるほど! いきなりサシ飲みだと女性も警戒するけど、大勢でなら仲良くなりやすいというワケですね☆
2次会では同性同士も仲良くなって、LINE交換をして“既婚者合コン仲間”になることもあるそう。みんな貪欲~。
合コンに行く理由
しかし、なぜこんなに既婚者合コンが盛り上がっているのだろうか?
参加者らは配偶者に不満があるわけでもなく、家庭は大切にしている。2次会での会話のなかで出た男性陣の参加の理由は、
「一緒に食事に行く人を探している。日常にときめきがほしい」(単身赴任)
「休日にせっかくひとりで外出したから、まっすぐ家に帰るのはもったいないし」(家族と同居・男性)
など。全員オブラートに包んではいたが、最終目的は“ときめき”という名の肉体関係だろう。
アプリでマッチする相手をせこせこ探すより、空いた時間にスグ会えるうえ、お互い既婚者だから話が早く、割り切れる。
女性側にしてみても、母親や妻の立場を忘れ、女に戻れる場だ。男性からちやほやされて、タダ飯タダ酒を楽しめる場――。
出会いからワンナイトまで素早く進み、気軽にドキドキ感を楽しめる既婚者同士の合コンは、いわば“大人の相席屋”なのだろう。
“不倫は悪!”と叩かれる今日この頃。でも、既婚者合コンは事実、盛り上がっていた。
好奇心は満たされたものの、結婚への夢は少し萎えた……ヤス子47歳、それでも婚活しまーす!《完》
(取材・文/安川ヤス子)