《私は濃厚接触者になりました。(保健所はパンク状態なので、自主判断)ちなみに全くの無症状です。PCR検査も陰性だったところで10日間の自宅待機。検査する意味もわかりません。とにかくルールはルール。なので休みます》
1月25日、ダウンタウンの松本人志が自身のツイッターを更新し、新型コロナウイルスの“濃厚接触者”になったことを報告。コロナ対策として定められた“ルール”にチクリとしながらも、10日間の自宅待機を実践していることを明かした。
同日の東京都の新規感染者数が1万2813人と、依然として猛威をふるい続けているオミクロン株。コロナ対策の“肝”とされるまん延防止等重点措置も、27日には新たに18道府県の適用が追加されて34都道府県が対象となる。
厚生労働省によると、オミクロン株における濃厚接触者に指定された場合の待機期間は、エッセンシャルワーカーを除いて「最終曝露日(陽性者との接触等)から10日間」。“無症状でPCR検査も陰性だった”という松本だが、職業は漫才師だけに“ルール”に従っているようだ。
1月23日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、《アカン、この話したら腹立ってくんねん》と“まん防”を含めた政府のコロナ対策に怒りを隠さなかった松本。
《(新規感染者は)増えているんでしょうけど、濃厚接触者で休んでいる人がけっこう多いから、これをやめたらいい。こんなに休まなくていい。そんなもん(濃厚接触者の自宅待機10日間は)、海外ではないから。(略)濃厚接触者でも、検査で陰性だって言ってるのに10日間家にいるって。これはおかしいですよ》
アメリカでは感染者であっても無症状、また症状が回復している場合は隔離期間を10日間から5日間に短縮することを昨年末に決定。また濃厚接触者であってもワクチン摂取していれば、10日間のマスク着用を前提に隔離不要としている。
その定義に照らすと、松本は10日間も仕事から離れる必要はないとされる。
オミクロンは「単なる風邪」
同じくコロナ対策に不満を爆発させたのが、1月22日放送の『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)に出演したビートたけしだ。のっけから《(オミクロン株は)大したことないって言えばいいんだよね。単なる風邪だと思えばどうってことないじゃん》と持論を主張。同局の安住紳一郎アナを慌てさせると、
《何年もやられるとまん延防止という言葉自体に何の反応もなくて、お酒飲みに行くやつは普通に行ってるよ。全然影響ない感じ。だって若い人なんて全然気にしないで酒飲んでて、(感染)人数増えるに決まってるじゃん》
まん防の効果にも疑問を投じたたけし。一方で《重症化する人は自覚があるんだから、(その人たちは)一生懸命サポートしてやればいい》と、重症の恐れがある感染者への対応策を講じてみせたのだった。
ここにきて、相次いだ大物芸人らによる苦言。その背景に「各局の番組制作の現場があると思います」と、情報番組に携わる制作会社ディレクター。
「毎日のようにスタッフの元に“○○さんが陽性です、濃厚接触です”と連絡が入っては代役を手配したり、構成や企画にも変更が生じるのはもはや日常の光景。現場に入らないとその日の撮影スケジュールや対応がわからない、というのもザラです。
それに空調設備は整っているとはいえ、“密室”になりやすいスタジオで陽性者が出たら、特に本番時にマスクを外す出演者は濃厚接触者に特定されやすいのだと思います」
コロナ禍でテレビ界は疲弊
芸能人のコロナ感染ニュースとともに、番組の撮影ストップや感染者や濃厚接触者の代役起用などが連日報じられている。
「制作会社にとって、“人手が足りないから番組が作れません”は仕事を失うのと同じこと。芸人さんやタレントさんも代役を立てられたら、その分のギャラが支払われないかもしれません。しかも無症状、濃厚接触だけであれば自宅でじっとしていられないでしょう。
松本さんとたけしさんは、この2年間のテレビ界の現状を目の当たりにしているから声を上げたのでは? 何もコロナで疲弊しているのは飲食店だけではなく、様々な業種、企業が補償も、保証もなくルールに従っているんですから」(同・ディレクター)
1月24日、経団連の十倉雅和会長は世界各国の工夫に習って《社会経済活動を回していくべき》と、濃厚接触者の10日間待機のルールの早期改善を政府に要請した。
国民にこれまで要請ばかりしてきた政府。得意の「聞く力」を持つ岸田文雄首相は、影響力ある大物芸人らの“要請”も聞くのだろうか。