ドラマ『となりのチカラ』での役同様に2児を育てる働く母・上戸彩。仕事と子育ての両立。正解のないテーマを体現中の思いとは。
「“いい人やっかい”なチカラ君が旦那さんだったら嫌ですね。隣人にはいい人が身内にはいい人になってくれないし、後回しにされるのは寂しいです」
木曜ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系木曜夜9時~)で主人公チカラの妻、灯(あかり)を演じる上戸彩。
灯は12歳の娘と10歳の息子のふたりの子育てとアパレル店長としても忙しいワーキングママ。困っている人を放っておけず首を突っ込んでしまう夫を諫め、家族のことには無頓着な様子にイラっとさせられる。妻役といえば『半沢直樹』の印象が強い。
松本潤とは高1から高3まで一緒
「今回はリアリティーがあると思います。笑顔でいい奥さんを演じようともしていないし、灯自身も余裕がないなかでチカラ君に振り回されている。あまり笑うシーンもないし、ガミガミと怒ってヒステリーになってしまう。そういう妻を視聴者の方はどう見るのか。共感してもらえる部分があったらうれしいですね」
『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』などを手掛けた遊川和彦が脚本・演出を担当する。
「遊川さんが求める灯にハマるのに必死です。(クランクイン前の)本読みのときに自分が思う灯を演じたら“優しすぎる、もっと冷たく読んでください”と。自分なりの冷たさで読んでみたら“声のトーンを低くするのではなく声は張り気味で語尾をなるべく伸ばさずにズバズバと言ってほしい”と言われて。
最初はてこずりましたが、撮影で動きをつけたら言い回しもできるようになって、それからはしっくりしました。自分流ではなく(役に)どうハマっていくか。常に緊張感があり、常に満点がほしいという気持ちで演じています」
チカラ役で主演する松本潤(38)は高校の先輩で、ドラマ初共演になる。
「私は感覚で芝居するので常に新鮮さを求めて毎回違うことをしたくなっちゃうタイプ。でも松本さんは頭で考えて毎回、同じ芝居ができる方。しかも演出やスタッフみんなが求めるものを全部に頭に入れたうえで芝居されるのですごいなと思います。
高校のときは1年生から3年生まで同じ教室で、ホームルームも昼食も一緒に過ごしていました。松本さんは先輩も後輩もなく仲よく過ごそうと全員をまとめていました。
そういうリーダーシップはドラマの現場でもあります。
みんなの悩みに自分がどう動けば解決できるのかを常に考えている。どういう映像が撮りたいのか。どうしたいのか(スタッフ、キャストに)声をかけています。私に関しては1話の玄関で怒るシーンを撮影したときに“もっと大きい声は出ないの?”と突っ込まれました。
気づいたことは何でも吐き出してくれるので、そのことに応じていればできていると信じて身をゆだねています。松本さんが遊川さんに“この子は褒めないでください。クリアできると違う芝居になっちゃうので”と言ってからは褒めてもらえなくなりました(笑)」
すべてが新しかった10代
自身はふたりの子どもを持つ働く母。そのスタンスは?
「両親が共働きでさみしかったので自分の子どもにはそうしたくないと一緒にいる時間を増やしてみたりしました。仕事で家にいられる時間が減ると子どもといる時間が貴重で、ちゃんと向き合おうと意識します。生活のメリハリって大事だなって思いました」
仕事と育児を両立するための試行錯誤。共感は多いはず。実生活では6歳の娘と2歳の息子の母。ドラマで小学生の母をひと足早く体験している。
「長女役の英怜奈ちゃんがめちゃくちゃいい子。自分の娘が英怜奈ちゃんみたいになってほしいと思いながら撮影しています。立ち居振る舞い、声、しゃべり方すべてがかわいいし、顔もタイプで全部好き!
高太郎(役名)はどこかスイッチが入ると大人の声が聞こえなくなっちゃうのがかわいい。恥ずかしさとカッコつけたい年齢もあって、返事はいいけど、照れが芝居を邪魔しちゃうみたいです。撮影していないセリフを突然言ってみたりすると、ちゃんと返してくれるのはすごいと思うし、面白い男の子ですよ」
『全日本国民的美少女コンテスト』をきっかけに12歳で芸能界入り。10代から大活躍で『3年B組金八先生』『さとうきび畑の唄』(いずれもTBS系)の話題作に出演。主演した連ドラ『エースをねらえ!』(テレ朝系)は好視聴率をマークした。
「テレ朝の連ドラで育ててもらったところもあるので今回そのときのスタッフさんと一緒に仕事ができてうれしですし、懐かしい気持ちになりました。当時は夜中の3時、4時に撮影が終わって寝ている時間もほぼなかった。シーンの合間には3つぐらい取材をこなした。10代はすべてが新しくて忙しかったけど覚えていることは多いです」