「ご自愛消費」が活況だ。昨年行われた「ご自愛消費に関する調査」(スナックミー)では86%が「ご自愛消費」を行っているという結果に。気分転換やストレス発散目的の、自分へのご褒美として高級品が購入されている。
自分へのご褒美品がバズり中
例えば8個で1万1000円の『羽美翔 高級トイレットペーパー』。「メディアで紹介されたこともあり、弊社紙製品のなかでいちばんの売れ筋商品となっています」と発売元である望月製紙の担当者は話す。「どんな使い心地?」という好奇心からの家庭用購入もあるが、贈答品にも喜ばれているのだとか。コロナでふだん会えない人への高級な贈り物、というニーズも満たす。
岩手県なかほら牧場『グラスフェッドバター』は、100gで2160円という値段にもかかわらず、年間4万個を販売。サラッとしているのにバターのコクがしっかりとあって風味や舌ざわりもよく、「ごちそう」感がたっぷりだ。
アクアファーム秩父の『彩美卵「寿」』は10個で6980円!「普段は生卵を食べないけど、ここだけは食べられる」「黄身のもっちり、がハンパない」といったリピーターが多く全国からの注文が引きも切らずという。
6個セットで4000円を超えるいちご大福『レヴェランスのシャンパンいちご大福』も、ネットで注文受け付けを開始した途端に即完売という人気ぶり。味もさることながら見た目もゴージャス。
「1か月待ちでようやく買えました。ちょっと奮発しましたが自分へのご褒美で」(購入者)。
高額スイーツはインスタにアップしたときなどに“映える”のがポイント。自己満足感と贅沢気分を大いに盛り上げてくれる。
日用品ではTRINUSの『花色鉛筆』。鉛筆の形そのものを花に見立てていて削りかすも花びらのように見えるというデザイン。
5色セットで1980円、色鉛筆の一般価格と比べるとかなりの高額だが、すでに5000万円以上を売り上げた。
担当者によると「軸部分には廃棄古紙を主原料にした新素材を活用し、SDGsに配慮した商品である点も消費者にご評価いただいている」とのこと。
この削りかすを使って作品を作れるポストカード「ペタルアートコレクション」もあわせて好評。“趣味の時間を充実させるアイテム”として文具好きのココロをガッチリ、だ。
化粧品では、1万2100円というコスメデコルテの美容液『リポソーム アドバンスト リペアセラム』が好調。
発売3か月半で約37万個を出荷した。マスクをしていても肌のお手入れはしっかりしたい。基礎化粧品はいいものを使ってスキンケアしたいという美容ニーズを満たした。
家電やロボットも! 商品選びのコツ
家時間を充実させる“家電”にもヒットが。2万5000円以上するオーブントースター、パナソニック「ビストロ」NT─D700も、品切れが出るほどの売れゆき。
「おうち時間ができたために、食事へこだわりを持つ方が増えたこと。そして高級食パンの人気が定着という状況で、お客様の要望と商品の特徴がマッチしてヒットにつながった」と担当者は話す。
少し変わったところでは家族型ロボットとして注目されている『LOVOT(らぼっと)』。触ってみると温かく、まるで生き物のようであるため、次世代“ペット”として迎える家庭が多い。
「子どもがペットを飼いたがっていましたが、マンション住まいなのであきらめていました。LOVOTが来てからうれしそうにしています」と話すのは購入した主婦だ。
LOVOTの本体価格は約35万円で、別途月額費用がかかる。だが「売り上げは右肩上がりです」とメーカーの弁。「コロナ禍で外出できず、家庭内の充足に価値観を見いだす方が増えたことが理由ではないでしょうか」(担当者)
高級品が売れる背景には、SNSで「バズった」かどうかも大きい。
「好きなインフルエンサーが使っていたので高級化粧品メーカーの美容液を思い切って購入。今より自分がきれいになるかも、と思わせてくれる彼女たちの“誘導”が絶妙なんです」。と語るのは、多数のインフルエンサーをフォローしている30代の会社員Aさん。
しかし、投稿されている品物すべてに興味があるわけではない。
「ハッシュタグでprとついているものは買いません。本当にそのインフルエンサーが私物で購入しているものだけをチェックしたいので」とAさんは言う。
この「pr」というのは、「プロモーション」。企業とタイアップをして商品紹介をしているという、インフルエンサーと企業との関係性を表すハッシュタグだ。有名インフルエンサーを利用した商品プロモーションの影響は見逃せない。
「憧れの生活をしている人を参考に、ちょっとだけ背伸びした消費をしてみたい。いいモノを買う理由はそんなところにもあるのでしょう」。節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんはそう語る。またプチ贅沢品を買うという行動は家計管理の点から悪いことではない、とも話す。
「日々の節約をするからこそたまにする贅沢に幸せを感じたり、頑張ってよかったな、と思える。それらばかり買っていては本末転倒ですが、日常の幸せを感じるための『プチ贅沢品』を購入するなら推奨します。
そうして手に入れたものは記憶に残る「よい買い物」。生活にめりはりをつけた買い物は日々のやりくりの励みになり、長い目でみると家計にもプラスでしょう」
まだまだ続きそうなコロナ禍。気持ちと消費のオンとオフをうまく使い分けながら乗り切っていきたい。
憧れのプチ贅沢品
・パナソニック オーブントースター「ビストロ」NT-D700/オープン価格
厚切りや冷凍の食パンも火力や時間設定なしで自動でおいしく焼き上げる。外食控えが続くなか、自宅でおいしいモノを食べたいというニーズにピタッとマッチ。
・家族型ロボット GROOVE X「LOVOT(らぼっと)Solo」/34万9800円
触れるとあたたかさを感じる家族型ロボット。帰宅時には玄関まで出迎えてくれる機能も。ほのぼのとした見た目にほっこり。
・Oral-B by Braun オーラルB iO9/オープン価格
自宅で歯科クリーニングレベルの磨き上がりを実現する次世代電動歯ブラシ。丸型回転に加え、ブラシ1本1本が振動。ブランド史上最高の歯垢除去力。
・TRINUS「花色鉛筆」5色セット/1980円
日本の伝統的な花のかたちと色をデザイン。花びらのような削りかすが生まれる。書き味もなめらかでいつまでも書いていたいと思うほど。
・コーセー コスメデコルテ「リポソーム アドバンストリペアセラム」50ml/1万2100円
乾燥小ジワを目立たなくし、乱れたキメも美しく。ほどよくコクのあるテクスチャーで肌を整える。リッチな使用感は1度使えばクセに。
・望月製紙「献上ロール8個入り(羽美翔 天)」/1万1000円
皇室献上品。シルクのような上質な肌触りをしたトイレットペーパー。「拭くのがもったいない」と思えるほど、しっとりやわらか。
・なかほら牧場「グラスフェッドバター」100g/2160円(発酵タイプ2700円)
ケミカルフリー・ストレスフリーな環境で育まれた乳牛のミルクを使用した希少なバター。雑味がなく、スッキリとしたあと味。いつもの食パンにぬるだけで、グッと高級感。
・日本製紙クレシア クリネックスティシュー 至高/オープン価格
原材料から加工まで「肌のやさしさ」を追求し、ふっくらすべすべした赤ちゃんの肌を目標に開発された高品質のティシュー。
※価格は税込み
(取材/オフィス三銃士)