《DAZNすげえな、えげつないや》
1月21日、Twitterでつぶやいた伊集院光。
『DAZN(ダゾーン)』とは、スポーツ専門の定額制動画配信サービス。サッカー日本代表戦の全試合が観られるのはDAZNだけで、アウェー戦すべての独占ライブ配信を行なっている。
そのDAZNについて、どうやら値上げするらしい、という情報が漏れたのが1月21日のこと。スポーツ観戦全般が好きと公言する伊集院は続けて、
《他社をやっつけて、独占状態に近くなったら値上げは、もう王道のやり方なのだろう。これがうまくいかなくて、撤退なんてことになったら、焼け野原だ》
とも、つぶやいた。
1月25日には、DAZNから値上げについての正式発表があった。月額料金が現行の1925円から3000円へと約55%のアップ。「今までの5年間は投資期間だった」と同社の日本法人である山田学副社長はコメントした。
ネット上では「サッカーしか見ないのに3000円は高すぎる」「殿様商売だ」などの悲鳴の声が上がった。
値上げはITサービスの常套手段
「赤字覚悟でユーザーを増やす施策を行ってきて、ある程度のユーザー数を確保できたので、値上げに踏み切ったと思われます」
と、ITジャーナリストの三上洋さんは見解を示す。
「安い価格、もしくは無料でユーザーを集めておいて、集まってから値上げや有料化するのはITサービスの常套手段です。Amazonプライムの会員費用も、シェアが小さい国では安く、シェアが大きい国では高くなっています」(三上さん)
『Amazonプライム』は、2019年に年会費を3900円から4900円に値上げした。この際に会員数などに影響がなかったか、アマゾンジャパンに聞いたところ、
「具体的な数字については公表しておりません。ただ、2007年のプログラム開始時は配送特典のみでしたが、以降、より多くのサービスと特典を追加してまいりました。会費改定後もお客様の日々の生活をより便利で豊かにするために、お買い物やエンターテイメントなどの多様な特典を提供しております」
と、胸を張る。たしかに、Prime Videoの会員特典対象コンテンツの視聴、広告なしで200万曲が聴き放題のAmazon Musicなど、利用特典は増えている。
ドコモは“今は”据え置きだが
一方で、DAZNについて三上さんはこうも指摘する。
「DAZNの日本の価格は、アメリカより高い。日本の物価を考えると、アメリカより高いのは納得しにくい部分はあリます。経営体制が代わって、日本での黒字化を急ぎたいという事情の可能性があるかもしれません」
また、ドコモユーザーの場合は価格が据え置きなど、キャリアによって価格差があることも三上さんは指摘。というのも、2020年9月30日までに『DAZN for docomo』を契約した人は、引き続き月額980円で利用できるようで、現地点でこの変更は発表されていない。
「ドコモとDAZNの契約が、一定期間で契約が縛られているため、値上げできないのではないでしょうか。これだけ価格差があるとドコモのユーザーが増えるので、ドコモにとっては悪い話ではないでしょうが、将来的にどうなるのかは不透明ですね」(三上さん)
『au』もDAZNをセットにしたパックを発表するなど、どこと契約するかという点も焦点に。
「好きなチームからDAZNに入会すれば、応援しているチームに配当があるので、チームのためなら納得できる」(サッカーファンのDAZNユーザー)
今回の値上げは適正価格とみるか“えげつない”とみるか、納得できるプランを見極める必要もありそうだ。