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 オミクロン株の猛威を受けて、これまで対象外となっていた5~11歳の子どもにもワクチン接種がスタート。早ければ2月末から解禁される見通しだが、保護者からは不安や戸惑いの声が聞こえてくる。そこで週刊女性は、子どもを持つパパ医師&ママ医師に緊急アンケート。親の立場で明かされた本音を通して、今知っておきたいワクチンの最新事情を解説します!

子どもにワクチン、大丈夫?

 コロナ第6波の猛威が止まらない。2月2日には全国の新規感染者数が初めて9万人を突破。新型コロナウイルスワクチンの接種対象となっていない12歳以下の子どもたちにも感染が広がっている。

 こうした状況を受けて、厚生労働省は5~11歳へのコロナワクチンの使用を新たに承認した。早ければ2月末から接種が開始される予定だ。

「ワクチン接種後は39度近い熱が出て、だるくて起き上がれないほど副反応がひどかった。それを幼い子どもに打たせて大丈夫なのかな」

 そう話すのは都内で暮らす30代女性。ひとり娘は先月で5歳になったばかり。夫は接種させることに乗り気だが、不安は尽きない。

 北海道在住の40代女性も8歳の長男にコロナワクチンを打たせたほうがいいのか、決めかねている。

「息子は極度の注射嫌い。無理に打たせるのはかわいそうかなと思うけれど、高齢の母も一緒に住んでいるから家庭内感染が怖くて……」

 このように悩みや葛藤を抱える保護者は少なくない。子どものコロナワクチン接種について、親としてどう考えればいいのだろうか。

 そこで週刊女性は判断するためのヒントとして、子どもを持つ親であり、医療のプロでもある医師たち290人に緊急アンケートを実施。「自分の子どもに新型コロナウイルスワクチンを接種させたいと思いますか?」と尋ねたところ、257人から回答を得た。

●パパ医師&ママ医師257人を調査!
「子どもに新型コロナワクチンを接種させたいと思いますか?」


はい:187人(パパ171人、ママ16人)

いいえ:70人(パパ60人、ママ10人)

※全国の子どものいる医師を対象に、2022年1月27日~29日にアンケートを実施

 全体の約7割を占める187人が「はい」と答え、子どもへのコロナワクチン接種に賛同多数という結果に。反対に「いいえ」と回答した人は70人にとどまった。

 医療を専門とするジャーナリスト・村上和巳さんが指摘する。

「国内では2回目までのワクチン接種率が大体8割ですから、順当な結果といえますね。ただ、医師を対象にしたアンケートなので、接種に賛同する割合がもう少し高くてもよさそうな気もしました」

「はい」「いいえ」回答の理由

 さらに、賛否の理由も尋ねてみた(回答は複数選択可)。「はい」と答えた人の中で最も多かったのは「感染を防ぐ効果がある」で65回答。

「感染防止効果が期待できるうえ、万が一感染しても、できれば軽い症状ですませたいから」(東京都の男性=52)などと、重症化リスクを下げられる効果に期待する声も多く、46回答が集まった。

 一方、「いいえ」と答えた人の中では「副反応・副作用が心配」が16回答で最多。「将来的な副作用が気がかり」(北海道の女性=47)といった声のほか、「長期的な安全性が確立されていない」(東京都の男性=39)などと安全性を懸念する意見も目立つ。

 実際のところ、コロナワクチンにはどの程度の効果が見込めるのだろうか?

「アルファ株やデルタ株に比べると、現在蔓延しているオミクロン株に対するワクチンの効果は感染予防、発症予防という点で、やや劣るのは確かです。発症予防は6~7割ぐらい。とはいえ重症化予防の効果は9割ほどありますし、高齢者や基礎疾患のある人にとって欠かすことのできないワクチンであることは間違いない」

 安全性についてはどうか? 村上さんが続ける。

「モデルナ製ワクチンを接種した若い男性の中に心筋炎を発症する人が現れ、問題になりました。しかし、5~11歳の子どもが接種するのはファイザー製のワクチンだけです。

 また、すでに5~11歳に接種をしているアメリカでは、コロナワクチン接種後に心筋炎を発症した人は非常に少ない。おそらくワクチンの投与量を大人の3分の1に減らしているからでしょう。発症した人も、すでに全員が回復しています」

 今回のワクチンも大人の3分の1に減らした量が投与されるため、副反応の現れ方も大人とは変わってくるという。

「子どもの場合、副反応で発熱する割合が臨床試験では10%を切っています。倦怠感を感じる割合は4割ほど。大人と変わらないのは『局所反応』といって、注射を打ったところが痛んだり腫れたりする副反応。大人と同じぐらいの割合で起きるでしょうが、1日か2日で治まります」(村上さん)

重症化しても打つ手なしの現状

 子どものコロナワクチン接種の賛否に「いいえ」と答えた人の中には、「子どもは重症化しないから」と回答した人が目につく。「重症化しない小児に、重症化予防が主な目的のワクチンを打つ意義がどこまであるのか」(神奈川県の男性=37)という声も聞こえてくる。

 一方、「重症化しないといっても、海外では実際に亡くなったケースもある。心配だから自分の子には接種させたい」(埼玉県の女性=46)と回答する人もいて、判断に迷うところだ。

「重症化しにくい子どもへの接種を急ぐより、高齢者や基礎疾患がある人のブースター接種に力を注いだほうがいいという意見もあります。ただ、一定割合で重症化する子どももいます。

 特に気をつけたいのは基礎疾患がある場合。ぜんそくや糖尿病、がんの治療や臓器移植を受けたケースなどです。肥満も基礎疾患の1つ。肥満度を判定する『ボディマス指数』(BMI)で30以上が肥満と定義されています。身長から100を引き、それに17を足した数字がBMI30の体重。それ以上あるという人は要注意です」

 村上さんによれば、基礎疾患がある人は、体内で常に炎症が起きている状態だという。そこへコロナ感染すると免疫がウイルスを撃退しようと反応、さらなる炎症を引き起こし重症化してしまう。

「昨年から重症化を防ぐコロナ治療薬『モルヌピラビル』が国内で使用され始めましたが、対象年齢は18歳以上。つまり基礎疾患のある18歳未満は重症化予防に関して、現状では打つ手がないのです」

 5~11歳のコロナワクチン接種にあたり日本小児科学会は提言を発表、「今後、感染者数が増えると中等症や重症が増えることが予想される」として、ワクチン接種には意義があると話した。

 村上さんが強調して言う。

「不安に思う親御さんがいる以上、絶対に打つべきとは言えません。それでも基礎疾患のある子どもや、重症化リスクのある家族が同居している場合は、私は待ったなしでワクチンを接種したほうがいいと思います。

 実は先日、ファイザーがオミクロン株専用ワクチンの臨床試験を開始しました。早ければ夏前には登場するので、それを待つという手もある。もちろん、接種できるようになるまで感染予防を徹底することが必要です」

 アンケートの中には、「未接種のままでは修学旅行に行けないなど、子どもの行動が制限されそうだから接種させます」(神奈川県の女性=54)という回答もあった。子どものワクチン接種をめぐっては医学的な側面だけではとらえきれない問題もある。

「保育園や幼稚園で、クラスターの発生や休園が相次いでいます。子ども同士で触れ合って、遊んで、人間関係を通じて学ぶことが目的の場所ですから、リモートというわけにはいきません。大人も休園に合わせて仕事を休まざるをえず、収入が減る人もいるでしょう。

 人格が形成される大事な時期に、感染拡大のため子どもたちの行動範囲が狭められてしまう弊害は大きい。重症化はしなくてもこの観点からワクチン接種をするという考え方もあります。子どものワクチン接種をめぐっては、そうした社会的影響も含めて考えていく必要があると思います」(村上さん)