西田彩容疑者(フェイスブックより)

「西田さんは一昨年の12月、一戸建ての借家へ子どもさん4人を連れて引っ越してきたんじゃ。上の男児は中1と小5のヤンチャ盛りやから、叱ってる姿は見たことあった。けども、まさかあんな酷い虐待をしていたなんて……」

 近所の住民は険しい顔つきでそう話した。

 9日、岡山県警捜査一課と岡山西署は、岡山市南区の内装工・船橋誠二容疑者(38)と同市北区の無職・西田彩容疑者(34)を強要の疑いで逮捕した。2人は共謀して、西田容疑者の次女・真愛(まお)ちゃん(当時5)を繰り返し虐待した疑いがもたれている。

 真愛ちゃんは去年9月、虐待を受けて病院に搬送されたが、脳死状態で意識不明に。その後、今年1月に低酸素脳症で死亡した。

5歳女児への想像を絶する虐待

 地元紙の社会部記者がこう説明する。

「船橋容疑者は西田容疑者の内縁関係にあり、船橋容疑者が主犯で、西田容疑者が共犯と目されています。彼らは去年9月10日から23日まで少なくとも5回は椅子の上に置いた両手鍋の上に5時間前後、立たせ続けるという前代未聞の虐待をしていた。真愛ちゃんの髪の毛を引っ張ったり、殴ったりしたり、なかには布団にぐるぐる巻きにして息ができないようにしたこともあった。しかも、その行為を室内カメラで録画していた」

 警察の取り調べに船橋容疑者は、

「私が暴力を振るった。虐待行為をしたことは間違いありません」

 などと容疑を認めている。一方、西田容疑者は、

「私がやったことではない。共犯はおかしい」

 などと容疑を否定している。

 西田容疑者の印象について、

「SNSの写真は派手な顔してるけど、実際はいつもスッピン、髪はベリーショートでいつもキャップかニット帽を被っていた。服装もTシャツにジーンズといった地味な感じでしたよ。でも、気さくで性格は明るいお母さんやった。ただ、仕事をしよる感じには見えなかった。どうやって食べていたのかが不思議」(近所の住民)

 西田容疑者は、生活保護を受けていたという話も出ている。

西田彩容疑者(フェイスブックより)

船橋誠二容疑者には妻子がいた

 一方、船橋容疑者について、小学校の同級生はこう話す。

「不良というのではなくて、明るくて、子どもらしいいたずらをやる子だった。女子のスカートめくりをやって、先生に殴られていました。でも、人気者で友だちは多かったし、異性にも人気はありました。あんな酷いことをするなんて信じられない」

 中学生になると、勉強の成績は普通だったがスポーツ万能で運動会などで目立つ存在だったという。

「陸上部に入っていてね。1つ上の陸上部の先輩と付き合っていて、一緒に仲よく下校していた。成人式のとき、ほかの友人が“誠二はその先輩と結婚して、もう子どももいるよ”と聞きました」(中学校の同級生)

 取材を進めると、船橋容疑者には妻はもちろん、3人の子どもまでいた。ひとりの子はすでに成人、もう2人はまだ小学校低学年だという。つまり、船橋容疑者と西田容疑者とは不倫関係にあった。

 今回、船橋容疑者の妻に話を聞くことができた。彼女は、涙を浮かべてこう懺悔した。

「本当に申し訳ありません。でも、どうしてこんなことになってしまったのか、私もまったくわけがわからなくて……」

船橋誠二容疑者と妻子が暮らしていた自宅

 不倫相手がいるのではないかと、薄々感じていたとも。

「妻なら、なんとなくですが、わかりますよ。でも、毎月、毎月、きちんとうちにはお金を入れていましたし、相手のほうへお金を持ち出すようなことはしていませんでしたから。また、うちでは子どもを虐待することなんてなかったし、子どもにとっては、いいパパでした。家庭的にも、仕事的にも何も問題はありませんでした」

 いまとなってはすでに遅いが、後悔もあるという。

「不倫のことを、主人を問い詰めるべきだった、追い込むべきだったのかなと思っています」

 今後の船橋容疑者との関係については、

「いまのところ、何も考えられないんです。まったく……。すいません」

 泣き腫らした目をした船橋容疑者の妻は、憔悴しきっていた。

 亡くなった真愛ちゃんはもちろん、真愛ちゃんの兄姉、そして船橋容疑者の子ども3人もまた、両容疑者の被害者である。