テレビアニメ第2期『鬼滅の刃 遊郭編』(フジテレビ系)の最終回となる第11話「何度生まれ変わっても」が2月13日午後11時15分から45分拡大版で放送され、世帯平均視聴率9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。
約32分間の本編がCMなしで放送されるなど大反響を呼び、ネットでは「#鬼滅の刃遊郭編最終話」がトレンド入りすることに。
ファン感激の『鬼滅の刃』遊郭編最終話
「『鬼滅の刃』は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼と化した妹の禰豆子を人間に戻すために旅に出るというストーリーです。
原作は、2016~20年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、テレビアニメ『鬼滅の刃竈門炭治郎 立志編』が2019年4~9月に放送。
2020年10月に劇場版『鬼滅の刃無限列車編』が公開されました。『遊郭編』はその続きとして2021年12月にスタートし、先日の最終回を迎え多くのファンを魅了しました」(アニメ雑誌デスク)
また番組の最後では、アニメ第3期となる『刀鍛冶の里編』のテレビアニメ化決定の発表があった。放送日は未定だが、主要キャラクターの霞柱・時透無一郎(ときとう むいちろう)と恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)のティザービジュアルも公開された。
ところがこの発表を受け、一部ファンの間から『刀鍛冶の里編』の甘露寺の入浴シーンに対し否定的な意見がネット上に上がっているとの報道がなされたのだ。
《蜜璃ちゃんの温泉のとこカットしてほしい。「じゃあ、見るなよ!」と言われるけど私は、非常に嫌です。女性を侮辱してる》
《単刀直入に言わせてもらうと蜜璃ちゃんの入浴シーン全カットでお願いします。あのシーンは、「女性蔑視」になりかねない。同じ女性としてとても許し難い》
といったように、原作にある甘露寺蜜璃の入浴シーンが女性蔑視にあたるため、アニメではカットして欲しいというものだ。
この報道に対し、原作ファンが猛烈に反応し、
「あれのどこが女性蔑視なのか分からない。カット絶対しないで欲しい」
「深夜アニメなんだし、嫌なら見なければいいだけ。原作を否定するな。自分が気に入らないからって作品を捻じ曲げようとする方がおかしい」
「原作に忠実にやってるならよいではないの。そのキャラのアイデンティティだよ」
「炭治郎や玄弥の入浴シーンだってあるのにそれは問題視しないで甘露寺にだけ反応してる時点で性差別」
と反発の声があがっている。
実際、原作がそのままアニメ化されたと想定して、特別過激な性描写になるのだろうか。
原作者が魂を込めた作品
BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送基準でも性表現について「過度に刺激的であってはならない」といった文言があるが、漫画誌編集者はこう話す。
「原作者の吾峠 呼世晴(ごとうげ こよはる)氏は『週刊文春』の記事などで女性であるとされています。となると、当該シーンを女性蔑視のつもりで描いたとは思えません。
吾峠氏は『週刊少年ジャンプ』のインタビューで、キャラクターの登場のさせ方について“印象に残ること、特徴があること”に気をつけて、“そのキャラクターの生い立ちや人格などに基づいたセリフを言わせる”ようにしていると語っていました。
安直なお色気でヒキを狙うような手法は取らないのではないでしょうか」
またコミックス最終23巻のあとがきでは、
「何百年も前の出来事も、その時は今でした。今の出来事もまた何十年何百年経つと昔話です。
おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんにもみんなと同じ子供の時があり、その時と今は繋がっています。
そしてまた自分も、大きな流れの中で同じように、苦しいことつらいことを乗り越えて歳を重ねていきます。
もうだめだ、と思った瞬間こそが道を踏み外さないように踏ん張る時です。困難な状況や苦しい境遇に負けないで欲しいです」
と記している。
『鬼滅の刃』を見ていても、人間という生き物のリアルを丁寧に映し出し、物語ひとつひとつに強いメッセージを込めていたことが分かる。
刀で鬼の首を切るシーンや血の描写などこれまでにも、その放送に物議を醸してきた『鬼滅の刃』。深夜帯の放送は子どものいる家族への配慮とも言えるだろう。
故に、原作者が魂を込めて描いた作品の一部を切り取って、「女性蔑視」と決めつけ排斥しようとするのはいささか性急すぎるのではないだろうか。