3月6日に放送スタートする、次回のスーパー戦隊シリーズの最新作のタイトルは『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。
第46作となる今回のモチーフとなっているのは、昔話の「桃太郎」。10年ぶりに名前に“ジャー”がつかないことも話題だが、ドンブラザーズの“ドン”は、おそらく桃太郎で川から桃が流れてくる「どんぶらこ」からきているのでは、とも言われている。
桃太郎と鬼がまさかの仲間
リーダー格の「ドンモモタロウ(レッド)」が、「イヌブラザー(ブラック)」「サルブラザー(ブルー)」「キジブラザー(ピンク)」「オニシスター(イエロー)」をお供に、敵と戦うという。
なぜ鬼モチーフのメンバーが最初から仲間なのか? 桃太郎たちと鬼が一緒に戦う相手「脳人(のうと)」とは? さらに、史上初となる男性がピンクをレギュラーとして担当すること(しかも33歳の既婚者という設定!)、変身後のキジとイヌはCGを駆使したものになる、などなど、放送前から気になる要素てんこもりだ。
発表の場となったオンライン会見では、本来の「ドンブラザーズ」が登場する前に『暴太郎戦隊ドンブリーズ』という似た名前で“丼物”をモチーフにした戦隊たちのPVが上映。頭に丼をつけ「食事処」と書かれた赤提灯を掲げ、「払ってやるぜ、どんぶり勘定でな!」と決めゼリフを放つヒーロー、「鉄火丼レッド」「天丼ブルー」「カツ丼イエロー」「海鮮丼ブラック」「牛丼ピンク」の“登場”に度肝を抜かれた取材記者たち。
続けて今度は、地球に充満する“悪の臭い”を断ちきる「香りの戦士たち」として、『暴太郎戦隊ドンフレグランス』のPVが上映。「オリエンタルノート(ブルー)」「フローラルノート(ピンク)」「ウッディノート(ブラウン)」の3人の戦士が「お前ら全員、匂ってやるぜ!」の決めゼリフとともに流し出された。
そんな手のこんだ“茶番PV”をフリに、ようやく登場した“ホンモノ”のドンブラザーズだった。
「この発表の仕方からも“ツッコんでもらえてなんぼ”というか、徹頭徹尾ボケ倒すという戦隊になるんだろうなということで、1年間どんな仕込みや仕掛けが待っているか、いきなり楽しみですね」
と、特撮作品に詳しいある雑誌編集者は言う。
「一見、ギャグ要素が強そうなところに驚きがあるかもしれませんが、戦隊シリーズのギャグは、初代の『秘密戦隊ゴレンジャー』から満載でした。90年代に宇宙暴走族との戦いを描いた『激走戦隊カーレンジャー』は、全体的にギャグ強めの作品でしたね。放送中の『機界戦隊ゼンカイジャー』や前作の『魔進戦隊キラメイジャー』もコメディ要素の比重が強めですし、新作もいい意味での悪ふざけ、気軽なコメディ路線の集大成になりそうな気もします」(同)
多様化の時代、ピンクの男性戦士
スーパー戦隊シリーズは前作が45作目となり、50周年を迎えた仮面ライダーとのセットで両シリーズの歴代ヒーローが大挙して出演する映画『スーパーヒーロー戦記』が公開されるなど、盛り上がりを見せた。
これまでは、恐竜や忍者、乗り物や動物などさまざまなモチーフが採用されてきたが、今回のドンブラザーズについてはどう思うのだろうか。前出の編集者が言う。
「ジュラシックパークからの恐竜、ニンジャ・タートルズの忍者、そしてハリー・ポッターからの魔法など、そのときどきの流行をうまく取り入れるのが戦隊モチーフのいいところです。そういう意味で、“いま桃太郎ブームなのか”と言われたら、それはわかりませんが、“鬼退治”という意味では『鬼滅の刃』の影響があるかもしれませんね。ただ、鬼は味方のイエローにいるという(笑)。
とはいえ、わかりやすさと普遍性は抜群ですね。仮面ライダーでは、佐藤健主演の『仮面ライダー電王』に桃太郎要素があり大人気作となりました。電王には浦島太郎や金太郎モチーフもあったので、ドンブラザーズにも、そういった要素を持った追加戦士の登場などあるかもしれませんね」
スーパー戦隊シリーズは子どもだけでなく一緒に見る親や、大人のファンもたくさんいる。また制作側にとっては、関連するおもちゃを買ってくれる保護者ウケも大事なポイントとなる。
「ストーリーがマンネリと言われることもときにはありますが、ちびっ子ファンのためには、わかりやすさがカギですよね。また時代に合わせて変身後のCG導入や、多様化の時代に相応しく、ピンク担当の男性戦士なども今回のポイントかもしれません。
かつて『電子戦隊デンジマン』に登場した敵のヘドリアン女王が、次の作品である『太陽戦隊サンバルカン』に同じ役で登場したことがありましたが、今回も、現在放送中の『ゼンカイジャー』の主役が、同じ名前だけど“別人”という設定で登場することが発表されていて、ふたつの作品の世界線がどう関わってくるのか気になります」(映像関係者)
謎の丼物ヒーロー『ドンブリーズ』や、香りの戦士『ドンフレグランス』の、まさかの登場だってあり得るかもしれない!?
〈取材・文/渋谷恭太郎〉