東出昌大が所属していた芸能事務所『ユマニテ』を2月14日付で退所していたことが明らかになった。
退所にあたって所属事務所の出したコメントには“契約終了”とあったが、その内容と状況からみて、東出が“クビ”になったと感じる向きもある。『東出昌大についてお知らせいたします』というタイトルの付いた声明文には、唐田えりかとの不倫、そして元妻・杏との離婚後も支え続けてきたがゆえの、複雑な思いが込められている。
《昨年秋、東出の配慮に欠ける行動でその再生への道は頓挫いたしました。その時 私たちが感じたものは怒りというよりも、徒労感と虚しさでした。そして熟慮の末に、これ以上 共に歩くことはできないという結論に達しました》
“昨年秋”とは、『週刊文春』に報じられた「ロケ現場の広島にハーフ美女を呼びつけていた」ことであるが、この文面からは怒り以上の何かを読み手に感じさせる。
これまで、不祥事を起こして契約解除になった芸能人は数あれど、退所発表で事務所がここまで感情を顕にしたケースはほとんどない。
事情は異なるが、唯一思い出されるのは、中森明菜のケースだ。1999年11月、明菜が所属していたレコード会社『ガウスエンタテインメント』の斎藤至廣社長(当時)が記者会見を開き、前代未聞の“引退勧告”をしたことがある。
タレントに非情な事務所のレッテル
《これ以上の犠牲者を出してはいけません。中森明菜はこの業界に置いてはいけないタレントです》
そんな衝撃的な言葉を放ったのにはワケがある。自殺未遂に暴力沙汰、宿泊先のホテル代を滞納、仕事の予定をキャンセルするなど芸能界の問題児だった彼女を周囲の反対を押し切り、『ガウス』が“引き取る”かたちで契約したのが1998年1月。
中森明菜というアーティストの才能が埋もれてしまうのがあまりにも惜しい、と救済の手を差し伸べたのも束の間──宣伝担当者が新曲の宣伝のためにテレビ番組出演を決めても出たがらない、シングル『Trust Me』、アルバム『will』はレコーディングこそすれ、明菜がPVを撮るスケジュールを出さずに撮影ができないなど、トラブルが重なった。その後、連絡がとれなくなったことでついに、斎藤社長は怒りの会見を開くこととなった。
「当時は、“やはりあの明菜をマネジメントすることはできなかったか……”と周囲やマスコミも同情する流れがありましたが、本来はそのような会見を開くことが自身にとってネガティブに働くところも大きい。“タレントに非情な事務所”とのレッテルを貼られてもおかしくないからです。所属するほかのタレント、今後新しく入ってくるであろうタレントの卵たちにもいい影響は与えないでしょう」(芸能プロ関係者)
『ユマニテ』が東出に出した感情的な文書も、ネット上で大きな話題になった。もちろんそのなかには、同事務所にむけられた同情の声もあったが、
《東出昌大、退所の事務所コメントが話題「ブチ切れ通り越してる声明で草」「ここまで赤裸々に書くってなかなか」》(中日スポーツ)
《東出昌大 事務所からも絶縁通告…「ここまで書かれるなんて」と波紋》(女性自身)
と、ネットニュース上で大いに物議を醸すことに。
事務所社長があえて名前を出してコメントした“愛情”
「ここの社長は職人気質で女性スキャンダルが大嫌いだと聞きました。また所属俳優をとても大切にしているからこそ、裏切られた感が強かったんでしょうね。それに東出さんは不倫騒動に関しては反省していたようですが、ロケ現場に恋人を呼んだことに関してはなぜ非難されるのか理解できていなかったそうです」(芸能プロ関係者)
しかし、老舗芸能プロ幹部は『ユマニテ』のとった行動に対して、別の真意を受け取ったという。
「あの社長の言葉は一見辛辣のように見えて実は愛があるようにも見えるのです。“契約解除の運びになりました”と簡潔な文書でまとめることもできるのに、あえて、《畠中鈴子(ユマニテ代表取締役)コメント》として、ネガティブな反響もあるような言葉を世に出した。
あえてボロクソにいうことで、“そこまでいうことはないだろう。可哀そうだ”と東出を擁護する声も聞かれるようになりました。業界内からはきっと、ひとりで放り出された彼に“手を差しのべる人”も出てきやすくなる。他の事務所彼を拾うとして、きっと、“事務所を追い出されたから”という理由があったほうが行動に移しやすい。つまり、あのコメントは事務所社長の最後の親心なのではないでしょうか」(芸能プロ関係者)
先の中森明菜の会見。斎藤社長はこう締めくくった。
《明菜を潰してしまえとか、干してしまえなどという意味ではなく、半年くらい一人で考えて、更生して欲しいと思っています。ファンやスタッフがあっての自分だということに本人が気づいてくれたら、もう一度手をさしのべようと思っています》
東出はもう一度立ち上がることができるか──。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中