良かれと思ってやっていたヘアケア、実はNG行動かも! ※写真はイメージです

 美しい髪は若さの象徴。でも、髪のためにと思ってやっていたことが、逆にダメージの原因になっていたとしたら、ショック! 巷にあふれる“それダメ!”なNGヘアケアを髪の専門家に教えてもらいました。

長引くマスク生活で髪の老化が加速!

 SNSなどで話題になっていたり、“常識”だと思って続けていたりするそのヘアケア、本当に正しい? きちんとお手入れしているのに髪の悩みが起きる人は、実はケアが間違っているからかも。

「髪の悩みを持つ人は、頭皮に炎症や毛穴詰まりなどのトラブルを抱えていることが多く、それが薄毛などにつながっていますが、正しいヘアケアに変えるだけで健やかな状態に戻ることは、少なくありません」

辻敦哉さん…髪のコンディションが改善すると人気のヘッドスパ専門店「PULA(プーラ)」代表。

 そう話すのは、育毛のプロとして数々のメディアに登場している辻敦哉さん。女性は40代中盤から女性ホルモンの分泌が著しく減少するので、細毛や抜け毛が増えるという髪の悩みが避けられない。さらに50代になると頭皮や毛穴の老化で髪質が変化。髪がうねり、縮れやすくなる。

それに抗うために、頭皮トラブルを気にして洗髪回数を減らす、つや髪になるトリートメントを地肌までたっぷり使うという“自己流ケア”を行う人は多いと感じています。でも、これはNG。加齢でトラブルを抱える髪に追い打ちをかけるので心配です

 さらに、長引くコロナ禍も髪に大きなダメージを与えているという。

「“マスク生活”によって表情筋の動きが減ることで、連動している頭の筋肉の動きも低下。頭皮の血流が悪くなり、髪の毛の老化を進める原因になっています」

 では、若々しい髪を保つには、どうすればいいのだろう? 辻さんは正しい知識を得て、年齢に合ったケアを続けることが大切だと力説。例えば、シャンプー選びも洗髪後の質感の好みより、頭皮を健康に保つものを選んだほうがよいとアドバイスする。

「シャンプーの成分の約7割は水と洗浄成分ですが、強い洗浄成分は頭皮への悪い刺激となり美しい髪を育てることができません。

 おすすめは、天然の素材から作られる“ココイル〇〇”や“〇〇タウリン”と呼ばれる成分が入ったアミノ酸系か“〇〇カルボン酸”が使われているシャンプー。“逆に、ラウリル硫酸〇〇”のような強い洗浄成分が入ったシャンプーは避けてほしいですね。髪の老化を気にするなら、成分重視で選ぶのが正解です」   

 特に40代以降は、毎日の積み重ねで髪の若々しさに大きな差が出る。

 今回は、育毛のプロが“やりがちなNGヘアケア”をチェック! 正しい知識にアップデートしましょう。

やってはいけない髪のお手入れ

●それNG(1) 乾燥が気になるから洗髪は2日に1回

「頭皮には皮脂、汗など汚れがたっぷり。1日洗わないだけで不衛生になります。アミノ酸系のシャンプーで、入浴時に2回洗髪することで健やかな髪が生える環境になり、かゆみや炎症も改善することが多いです」

 1度目のシャンプーが汗や皮脂、整髪料などを落とし、2度目が頭皮を洗浄する役割と考える。また、洗い方にもポイントが。

「ごしごし洗わず、泡を頭皮に押しつけるように洗いましょう。汚れを残さないよう、丁寧な“すすぎ”も大切です」

●それNG(2)トリートメントは髪全体にたっぷりつけて、ダメージオフ!

「トリートメントには、髪の毛の表面をコーティングして滑らかに整える油性成分が入っていますが、これが頭皮についてしまうと油分が毛穴をふさいでしまう可能性があります。頭皮の汚れの原因になりやすく、炎症につながることも」

 トリートメントは、頭皮につかないよう、こめかみくらいの位置から毛先に向かってつけるのが正解。ただし、頭皮につけることを想定した育毛用トリートメントならOK。

トリートメントをたっぷりつけるのはNG※イラストはイメージです

●それNG(3)頭皮が濡れたままはダメだから洗髪後はドライヤーでしっかり水分オフ

「育毛的には頭皮は保湿されている状態が望ましいため、ドライヤーで頭皮まで乾かすのは避けましょう。“雑菌が増える”と心配する人がいますが、体温の働きで頭皮の余分な水分は自然と蒸発します。洗髪後すぐに寝なければ問題ありません」

 ただ、髪の毛は濡れたままでは傷みやすいのでよく乾かすこと。頭皮に直接風が当たらないよう、ドライヤーの風が頭皮に向かって直角に当たらないように乾かしていくのがコツ。

ドライヤーで頭皮まで乾かすのはNG※写真はイメージです

育毛促進にはブラシ選びが重要

●それNG(4)有名人もやってるし湯シャン派です!

 シャンプーを使わずお湯だけで洗髪する“湯シャン”。頭皮の常在菌バランスを整えて、皮脂の過剰分泌の抑制、乾燥やフケの予防などの効果があるとされ、実践する芸能人も多い。でも“安易に始めるのは要注意”と辻さん。

「効果を感じるまでは半年~1年ほどかかります。それまでは汚れが頭皮に残って炎症を起こしたり、ベタベタしたり、ニオイが強くなったりとデメリットも。頭皮によいシャンプーで洗うほうが髪と地肌にいいと思います」

湯シャン派といわれているタモリやYOU

●それNG(5)乾燥から守ってくれるからナイトキャップはマスト

「寝癖がつきづらいという利点があるものの、ナイロン製など通気性がよくないものはおすすめできません。頭に熱がこもって皮脂が出やすくなり、頭皮環境が悪化。薄毛や細毛に結びつくおそれがあります。使うならシルクなど自然素材のものを選びましょう」

 ニットキャップなど、常に帽子をかぶっているのも育毛には不適切。

「特に、顔が火照りやすい人は頭に熱がこもりやすいので健康面でもマイナス」

寝癖がつきづらくなるナイトキャップ

●それNG(6)猪毛ブラシで根元からしっかりブラッシング

 ブラッシングは血流を高めて育毛促進に期待できるが、ブラシ選びが重要。

「動物の毛の中でも特に硬さのある猪毛や、ゴム、シリコン製などで、先がとがった硬めのブラシを使う場合は要注意。強くとかすと頭皮を傷つける可能性が。特に猪毛は、清潔に保つため定期的なお手入れも欠かせません。ほどよくしなり、先が丸いものを選ぶほうが無難。さらにクッションタイプならマッサージ効果も得られます」

硬めのブラシは要注意 ※写真はイメージです

●それNG(7)育毛剤は夫と同じものを使っている

「育毛成分をより浸透させるため、男性用の育毛剤にはアルコールを多く含有しているものが少なくありません。使用後に清涼感の高いものが多いのはそのためです。しかし、アルコール含有が多いと肌を傷める可能性も高い。特に女性の肌には強すぎて、頭皮が傷んで薄毛や細毛を進行させる場合があります」

 AGA(男性型脱毛症)用の製品はそもそも女性が使っても意味がないので確認を。

教えてくれたのは……辻敦哉さん
髪のコンディションが改善すると人気のヘッドスパ専門店「PULA(プーラ)」代表。現在は、プーラ式ヘッドスパ専門店を展開中。著書に『髪が増える術 成功率95%のプロが教えるすごいメソッド』(ダイヤモンド社)ほか

《取材・文/河端直子》