「大河ドラマで武将を演じるのは、目標のひとつでした。『鎌倉殿の13人』のオファーには“来たか!”と」
竹財輝之助の大河出演は『篤姫』( '08年)で有栖川宮熾仁親王を演じて以来14年ぶり。
「そんなにたつのか。大河で自分を武将として見てくれる人はいないだろうなぁと半ば諦めていた時期でもあって。今までに、大河のオーディションは何回も行ってますから。本当にうれしかったです」
大河で馬を扱う役が来た時のために
演じているのは、伊東祐清。“爺様”こと伊東祐親(浅野和之)の息子であり、八重(新垣結衣)の兄、平家側の豪族だ。石橋山の戦いで撃破したはずの源頼朝(大泉洋)&北条義時(小栗旬)らが勢力を盛り返し、坂東地方を制圧すると伊東家は一転、苦しい立場に……。
「伊東祐清だと最初に聞いたときは“誰?”って思いました(笑)。三谷さんが描く祐清は武将とはいえ戦を好まず、家族思いで、妹のことが大好き。“この時代にこんなやさしい人、いたのかな?”と思うような人物ですね」
弓を射るシーンでは、逞しい上半身を披露していたが、
「サービスシーン? いやいや、あれは正しい所作で、僕だから脱がされてるわけじゃないですよ(笑)」
それは失礼! 甲冑に身を包んで馬に乗るシーンなどは大変だったと振り返る。
「乗馬を始めたのは25歳くらい。いつか大河で馬を扱う役が来たときのために。それに“俳優だったら馬くらい乗れないと恥ずかしいよ”とも言われて。今回、10年ぶりぐらいに乗ったんですが、久しぶりだと馬が言うことを聞いてくれなくて」
源氏と平家が散らす火花は激しさを増すばかりだが、今後の見どころは?
「そうですね。僕としては落ちぶれていく伊東家の行く末を、みなさんに見守ってもらいたいなと思います」
続けることがいちばん難しい
俳優デビューは '04年『仮面ライダー剣』。キャリアは18年を数える。現在は『鎌倉殿の13人』に加え、ドラマ『部長と社畜の恋はもどかしい』で愛おしくもセクシーな堤司部長を演じている。昨年は主演映画『ポルノグラファー〜プレイバック〜』でその色気を大爆発させ、話題に。
「いろんな作品に呼んでもらえて、すごく幸せですよ。役者を続けてきてよかったなと思います」
“舞台で死にたい”と大まじめに語るほどの竹財だが、30代半ばには俳優を辞めようかと考えたこともあったという。
「どうしても一般社会で働いている友達と比べちゃって。下手したら役職がついてくる年齢ですし。自分は役者でこれだけしか稼げていない、とか考えてしまって。そんな理由で続けられない俳優は多いと思います」
イケメン俳優の30代は、ひとつの山場。学生を演じるには大人すぎるが、父親役にはまだ若い……。
「単純に役として中途半端なんですよね。そんなときに先輩に“続けるのがいちばん難しいから、続けなよ”と言われたことがあって。その言葉は大きかったです。
そして、自分のやっていることの楽しさと現実を天秤にかけたとき、僕の場合は楽しさが勝っちゃっただけで。常にその楽しさを探しながら、たぶん、死ぬまで役者でいるんだろうな」
40代を迎え、ぐっと増した色気については、
「みなさん、そう言ってくださいますけど、そういうシーンがある作品で、僕を色っぽく撮ってくれているからで。僕自身は何も変わってないです。
脱がなくても? うーん。僕、自分の声が大嫌いなんです。“しゃべらなきゃいいのに”と散々言われてきたのが、今ではイケボと言ってくださる方もいる。世の流れというか、タイミングというか。そういうものは、すごくありがたいですし、不思議だし、面白いなぁと思っています」
一部では“甘おじ”“ブレイクの兆し”とも言われているが、
「あくまで兆しですからね(笑)。盛って言ってくれてるだけですよ。ただ僕としては、もっともっと作品に呼ばれる役者になりたい。休みがなくても、いろんな役ができるなんて最高なことで。今でも作品が重なることはありますが、“身体を3つ4つに割りたい”と贅沢に悩みたい。あ、でも書いておいてください。僕、ヒマなのでお仕事ください。ヒマです! 明日も空いてます!」
美しき“役者バカ”が、そこにはいた―。
●妹・八重役の新垣結衣とは?
「一緒のシーンって実はかなり少ないんですけど、勝手ながら、新垣さんって柔らかくて可愛らしいイメージが強かったので、もらった台本を読みながら“どうするんだろうな?”と思っていました。正直、あの凛とした雰囲気には度肝を抜かれましたね。さすがだな、と。兄として“俺の妹、推せる!”ってずっと思っていました(笑)」