つらい首や肩や腰、ひざの痛み、最近歩くのも何だかしんどい……その悩みの原因、もしかしたら、かかとかも。
あなたの身体の不調、原因はかかと!?
「かかとの関節は多くの人が、歪むなんて思いもしない、意外な盲点。でも、その歪みは、全身に悪影響を及ぼす可能性があるんです」
そう教えてくれたのは、これまで多くのトップアスリートの施術に携わってきた全身骨格矯正師の宮本晋次さん。
「身体の土台であるかかとが歪むと、身体の軸である足首、骨盤、背骨に歪みが広がり、それが頭痛や肩こり、腰痛、ひざ痛の原因になることも」(宮本さん、以下同)
通常、かかとを指すのは地面に近い踵骨の部分。かかとの歪みは踵骨と距骨の関節である距踵関節で起こり、歪み方は年代によって傾向があるという。
「私の経験上では50代になると、身体の外側に重心がかかって、かかとが内側に歪んでいる方が非常に多いです」
かかとの歪みの原因
歪みの原因の多くは、日ごろの立ち方や歩き方などの生活習慣や、筋力の低下。これを放置すると、歩行にも影響が出てくる。
「かかとの歪みによって足首の動きが硬くなってしまい、体重をかけるたびに足首が痛むので、歩くこと自体がだんだんおっくうになる。さらに歩かずにいると、足腰がどんどん弱り最悪、寝たきりになってしまうという悪循環に」
歪みがなければ、筋肉を動かすことで血流やリンパの動きが改善し、むくみや冷え、ガサガサかかとにも効果が。
また、歩くことは寿命にも影響する。実は1日の歩数が多いほど長生きすることがわかっている。また、歩行速度と平均寿命は比例しているという調査結果もある。つまり、速く歩くことができる人は、健康寿命が長いといえる。
「まずはかかとを調整し、身体の不調や歩くことへの不安を取り除くことが大切です」
今すぐ裏返してみて! 靴のかかとの減りに表れる歪みと不調
靴底のすり減りは、かかとの歪みのバロメーター。内側と外側、どちらかが大きくすり減っている人は、こんな不調が出ている可能性大!
TYPE‐A
内側がすり減っている人は……かかとが外に歪んでいる!
「ひざが内側を向き、内股で歩く癖がついている人や、X脚の人に多い歪み方。外反母趾や扁平足に悩んでいる人が多いのがこのタイプです」。かかとが歪んでいる人の中では1~2割と少数派。
TYPE‐B
外側がすり減っている人は……かかとが内に歪んでいる!
ガニ股や、猫背で背中を丸めて歩く癖がついている人に多い。「O脚の人にもこの傾向が。また、このタイプの人はお腹がぽっこり出ていることも」。かかとが歪んでいる人の8~9割を占める。
正常なかかとなら歪みの連鎖が止まる!
よく履く靴を裏返し、上のようにかかと部分をチェックしてみて。外側だけが減っている場合はかかとは内側へ、内側が減っている場合はかかとは外側に歪んでいる。
「もし、かかとに上のような 歪みがなければ、かかとからひざ、腰、背骨、肩、頭が一直線になって、身体の重心が安定します。無理な筋肉への負担が減るので、歪みの連鎖も起きにくくなります。さらに、姿勢もよくなりますよ」
「かかとストレッチ」で、かかとが正しい位置に戻れば、靴底の減り方も変化する。かかとの左右どちらか一方が減ることはなくなるのだ。
その結果、全身に波及する歪みの連鎖を止めることができ、不調を断ち切ることができる。心身の健康のためにも、まっすぐの「正常なかかと」を目指そう!
教えてくれた人は……宮本晋次さん
●全身骨格矯正師(R)。30年以上にわたって施術を行い、数多くのオリンピック選手やトップアスリートの施術に携わる。著書に『歩けなくなるのがイヤならかかとを整えなさい』(アスコム)ほか。
<取材・文/後藤るつ子 イラスト/福場さおり>