「この“おかしな家”には、ほかにも不審なことがいくつもあってね。もっととんでもない事件になるんじゃないかと思っているんですよ」(近隣住民)
3月5日、埼玉県本庄市にある“おかしな家”の床下から柿本歩夢くん(5)の遺体を発見された。
埼玉県警捜査一課と本庄署は、母親で契約社員の柿本知香容疑者(30)と、同居していた無職・丹羽洋樹容疑者(34)、その内縁の妻で無職の石井陽子容疑者(54)の3人を死体遺棄の疑いで逮捕した。
容疑者らは「3人で穴を掘って埋めた」と容疑を認めているという。
“おかしな家”に集まる異様な人たち
およそ12年前、月の家賃4万円の借家にはある男女が住んでいた。
「当時、70歳ぐらいのAさんという男性と、同い年で内縁関係にあるB子さんという女性が住んでいた。Aさんは“彼女は身体が弱いので誰かが面倒みてあげなきゃいけない。だからオレは一緒に住んでいる”と言っていました。でも、住み始めてすぐに“オレも歳だからひとりで面倒見るのは厳しいから若い人を呼ぶ”と漏らしていた」(冒頭の近隣住民)
そこで加わったのは、 B子さんの息子で当時40歳前後だったCさんと、その妻。この妻こそが石井陽子容疑者で、Aさんの娘だという。
「彼らが言っていたことだから本当なのかはわかんないけどね。ただ陽子さんはヘルパーをしていたことがあったようだから、B子さんの介護には適していた。でも、当時から誰も働いていないの。年寄り2人は年金があったにしても、若い2人も無職だった」(同・住民)
さらには、別の住民からはこんな話も。
「実はB子さんはとんでもない資産家だったから、みんな働いてなかったんじゃないかな。Aさんはその金を狙って、内縁関係を結んでいたという噂も出たよ」
彼らの姿を5年見たことがない
そんななか1年後、 Cさんが急死する。救急車で運ばれるようなことが何度もあった Cさんだったが、Aさんは近所に“うちのは酒飲みだから、身体が弱いのよ”と説明していたという。
「Aさんに香典を持っていったんだけど、断れられたのよ。“うちはそういうの、受け取っていない”って。あと、“警察が引き取っていて、遺体はうちにない。疑われているみたい……”とも」(同・別の住民)
Cさんが亡くなった直後、この家に加わったのが丹羽洋樹容疑者だった。陽子容疑者の内縁の夫であり、彼女よりも20歳若い。
近所の主婦によると、
「当時、丹羽さんは大学を卒業したばっかりで線の細い、おとなしい青年でしたよ。最初は近所のホームセンターでアルバイトしていたけど、そのホームセンターが移転してからは無職になったみたいですね」
さらに不可解な出来事は続く。
「B子さんがある日、いきなり私の家に駆け込んできて“丹羽と陽子に殺される! 助けてくれ”って。それで警察に通報したんだけど、Aさんが警察に“B子は認知症だから”と説明したみたいです。あの家は当時から雨戸は閉めっぱなしで、室内の明かりがほとんどなかったけど、B子さんは家の中にほぼ監禁状態になっていたのかも」(同・近所の主婦)
前出の近隣住民はこう話す。
「思い返すと5年ぐらい、Aさんと B子さんの姿を一度も見ていないのよ。亡くなったのか、転居したのか、老人ホームに入ったのか、まったくわからなくてね。Aさんが毎朝、散歩に連れていたミニチュアダックスフンドも全然見ていない」
その後、1年前にこの家にやってきたのが、柿本知香容疑者と亡くなった歩夢くんの母子だった。
真相を知るべく、都内にある丹羽容疑者の実家マンションを訪ねるも、応答はなかった。
事件発覚から6日目を迎える3月9日、現場周辺150メートル四方は規制線が引かれたままだ。そんななか、警察官5、6人が現場となった一軒家の庭をしきりに掘っている姿があった。その理由を聞くべく、埼玉県警本部に連絡するも、
「お応えしないことになっております」
という返事のみ。
“おかしな家”から出てくるものとは……。