「3月こそ、イカをたくさん食べてほしいです」とは、管理栄養士の小嶋絵美さん。
「イカにはさまざまな種類があり旬もまちまちなのですが、3月はちょうど旬が重なる時季なんです」と言う。
さらに、「ダルさや疲労感、新生活で生活スタイルの変化からくる睡眠不足など、春ならではの不調にイカは役立ちます」と話す。
栄養抜群の「イカ」で春のだるさを吹き飛ばす!
「イカはとにかく栄養価が高い食材。疲労回復が期待されているタウリンは、サバやカツオの2倍含まれています」
タウリンは、多くの栄養ドリンクに含まれており、肝臓の機能を高める働きがある。
「疲労回復には栄養補給や睡眠が大切。肝臓は食事から摂取した栄養素を身体に必要な形へ変えるという重要な役割があるため、肝臓の機能をタウリンでパワーアップさせれば身体もおのずと元気に」
さらにタウリンは、コレステロール値を下げたり、動脈硬化や高血圧の予防にもなるうれしい効果も。
またイカにはビタミンB群が複数含まれているのも見逃せない点。
疲労回復効果の高いビタミンB1、赤血球をつくり貧血予防にもなるビタミンB12、糖質や脂質の代謝やアルコールの分解を助けるナイアシンなど、健康効果がてんこ盛りでまるで食べるサプリ!
「さまざまな角度で体調を整えてくれるイカ。うまみが豊富なのに淡泊な味わいなので、味付けも自由自在。バラエティー豊かなアレンジで楽しんでみてください」
※電子レンジは600Wを使用。
『イカとニラのスタミナ炒め』
材料(2人分)
・イカ(胴体は1cm幅の輪切り、足は2~3本に切り分け4cm幅に切る) 1杯
・ニラ(4cm幅) 1束
・しょうが、にんにくすりおろし 各小さじ1/2
・鶏がらスープの素 小さじ1/2
・しょうゆ 小さじ1
・ごま油 大さじ1
【作り方】
(1)フライパンにごま油とにんにく、しょうがを入れて中火にかけ、香りが立ったらイカを加える。イカの色が変わったらニラと鶏がらスープの素を加えて炒める。
(2)しょうゆを回し入れ、全体をサッと混ぜる。
《健康メモ》ニラ、にんにくに含まれるアリシンが、イカに含まれるビタミンB1の働きを高めるので、疲労回復効果がよりパワーアップ。
下処理は新鮮なほどスムーズにできる
購入後は調理の前に下処理が必要。胴体に手を入れ、足とつながっている部分をはずし、内臓ごと足を引き抜く。胴体は軟骨、足は内臓とくちばしを取り除き、吸盤は包丁でこそげ取る。水で洗い水けをふき取っておく。
『イカと舞茸のねぎ塩蒸し』
材料(2人分)
・イカ(胴体は1cm幅の輪切り、足は2~3本に切り分け4cm幅に切る) 1杯
・舞茸(ほぐす) 1パック
・長ねぎ(5mm幅斜め切り) 1/2本
・レモン 1個
☆鶏がらスープの素 小さじ1
☆塩、こしょう 各少々
☆ごま油 大さじ1
※大きさ:約30cm×30cmのクッキングシートをを2枚用意しておく
【作り方】
(1)レモンは2mm幅の輪切りを2枚切り、残りは搾ってレモン汁にする。
(2)ボウルにイカ、舞茸、長ねぎ、レモン汁、☆を入れて混ぜ合わせる。
(3)クッキングシートに、(2)を半量のせ、それぞれレモンの輪切りを飾ったらキャンディー状に包む。
(4)耐熱皿にのせ、ひとつずつ電子レンジで3分加熱する。
《健康メモ》イカに不足している食物繊維を舞茸で補って。舞茸は、お通じ改善だけでなく、免疫力を高める効果も。
『イカとかぶの煮物』
材料(2人分)
・イカ(胴体は1cm幅の輪切り、足は2~3本に切り分け4cm幅に切る) 1杯
・かぶ(葉つき) 2個
☆しょうゆ 大さじ2
☆みりん、砂糖、酒 各大さじ1
☆水 1カップ(200ml)
【作り方】
(1)かぶは葉を切り落とし、皮をむいて縦4つ割りにする。葉は4cm長さに切る。
(2)鍋に☆、かぶ、かぶの葉を入れて中火にかけ落としぶたをする。煮立ったらイカを加えて、再び落としぶたをし、中火で2~3分煮る。
《健康メモ》不溶性食物繊維やカリウムを含むかぶは整腸効果抜群。葉には抗酸化作用のあるβカロテンなどの栄養が豊富なので、捨てずに食べよう。
『イカ焼きみそヨーグルト』
材料(2人分)
・イカ 1杯
・小ねぎ(小口切り) 1本
☆みそ 大さじ1/2
☆ヨーグルト 大さじ1
☆しょうがすりおろし小さじ1/2
・しょうゆ 小さじ1
・サラダ油 大さじ1/2
【作り方】
(1)イカは皮付きのまま胴体に1cm間隔の切れ込みを入れる。
(2)ボウルに(1)と☆を入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫で10~20分置く。
(3)中火で熱したフライパンにサラダ油をひき、(2)を入れて両面をこんがりと焼く。
(4)仕上げにしょうゆを回し入れ、絡める。皿に盛りつけ、小ねぎを散らす。
《健康メモ》発酵食品が腸内環境を整え、味の引き締め役であるしょうがで血行を促進。小ねぎを散らしてイカのビタミンB1の働きを促進させて。
『イカのキムチあえ』
材料(2人分)
・イカ(刺身用) 60g
・だいこん(せん切り) 2cm分
・きゅうり(せん切り) 1/2本
・塩 ひとつまみ
・キムチ 100g
・いりごま 適宜
・ごま油 大さじ1/2
【作り方】
(1)だいこんときゅうりは塩をまぶして5分置き、水けを絞る。
(2)(1)にイカ、キムチ、ごま油をあえて皿に盛り、いりごまをふりかける。
《健康メモ》タンパク質の消化を促すだいこんを合わせれば、イカの消化がよりスムーズに。キムチのカプサイシンは体脂肪の燃焼に◎
冷凍イカも重宝
栄養価も変わらず、味わいも損なわれないので、イカは冷凍に適した食材。冷蔵庫でじっくり解凍か、塩水につけて解凍するとプリプリ食感に。
『イカとブロッコリーのマヨチーズ焼き』
材料(2人分)
・冷凍イカ 200g
・ブロッコリー 120g(8房)
・ピザ用チーズ 50g
・マヨネーズ 大さじ2
【作り方】
(1)イカは解凍して表面に浅く格子状の切れ込みを入れ、ひと口大に切る。ブロッコリーは食べやすい大きさに切る。
(2)グラタン皿にイカと、ブロッコリーを入れてマヨネーズであえたら、ふんわりとラップをして、電子レンジで3分加熱する。
(3)(2)にピザ用チーズをかけ、トースターまたはグリルで焼き色がつくまで3分ほど焼く。
《健康メモ》ブロッコリーに含まれる葉酸がイカのビタミンB12の働きをよりアップさせる。貧血によるダルさや疲れをノックアウト!
『イカとなすのトマトチリソース』
材料(2人分)
・冷凍イカ 150g
・なす(乱切り) 2本
・ミニトマト(半分に切る) 6個
・長ねぎ(粗みじん) 1/2本
・にんにくすりおろし 小さじ1/2
・ごま油 大さじ2
☆トマトケチャップ 大さじ2
☆酢 大さじ1
☆砂糖 大さじ1/2
☆豆板醤 小さじ1
【作り方】
(1)イカは解凍して表面に浅く格子状の切れ込みを入れ、ひと口大に切る。
(2)フライパンにごま油、にんにくすりおろしを入れ中火で温め、イカ、なすを加える。
(3)火が通ってきたら、ミニトマト、長ねぎを加え、合わせた☆を入れて炒め合わせる。
《健康メモ》イカに含まれるタウリンは視力回復にも効果的。なすのアントシアニンとタッグを組めば、視覚機能をより改善。
『イカとしめじのミルクスープ』
材料(2人分)
・冷凍イカ 100g
・しめじ(ほぐす) 1/2パック
・たまねぎ(くし形切り) 1/2個
・顆粒コンソメ 小さじ2
・水、牛乳 各200ml
・塩、黒こしょう 各少々
・オリーブオイル 大さじ1/2
【作り方】
(1)イカは解凍して表面に浅く格子状の切れ込みを入れ、1cm幅の短冊切りにする。
(2)フライパンにオリーブオイルをひき、イカ、たまねぎ、しめじを加え中火で炒める。
(3)火が通ったら水、コンソメを加えて、煮立ったら弱火で2分煮る。
(4)牛乳を加えて沸騰する直前まで温めたら塩で味を調える。器に盛り、黒こしょうをふる。
《健康メモ》しめじに含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収をアップさせるので、牛乳と組み合わせることで骨を強化。
さきイカ、するめの食べすぎはNG
いずれも塩分が高いので注意。摂取しすぎると高血圧の原因になるだけでなく、むくみやすくなって代謝も悪化してしまう。またイカは消化に時間がかかるので、おつまみに一度に食べすぎるのはNG。身体に負担がかかるので気をつけて。
ホタルイカは内臓まで
タウリンなどのほか、内臓まで食べられるのでビタミンAやEも豊富。免疫力を高め、風邪などを寄せつけない身体に! 骨抜きで目と口、軟骨を取り除いておくとより食感よくいただける。
『ホタルイカのアヒージョ』
材料(2人分)
・ホタルイカ 80g
・マッシュルーム 1パック(80g)
・にんにく 1片
☆唐辛子 1本
☆塩 ひとつまみ
・オリーブオイル 適量
・パセリ粉 適宜
【作り方】
(1)マッシュルームは半分に、にんにくは薄切りにする。
(2)スキレットや小さめのフライパンにホタルイカ、マッシュルーム、にんにく、☆を入れ、具材が浸るまでオリーブオイルを注ぎ、弱火にかける。ときどきアクを取り、火が通るまで煮込む。
(3)仕上げにパセリ粉をふりかける。
《健康メモ》にんにく特有のにおいのもとアリシンは、疲労回復やコレステロール値の上昇を抑制。免疫力を高めるマッシュルームもたっぷり入れて。
『ホタルイカのピクルス』
材料(2人分)
・ホタルイカ 100g
☆酢 1カップ(200ml)
☆砂糖 大さじ5
☆塩 ひとつまみ
・赤唐辛子 1本
【作り方】
(1)ホタルイカをサッとゆで、ザルにあげてよく冷ます。
(2)清潔な耐熱容器に☆を入れて電子レンジで1分半加熱したら、(1)、赤唐辛子を漬け込み、冷蔵庫で1晩ほど寝かせる。
《健康メモ》唐辛子の辛みと酢の爽やかさで食欲増進。イカはビタミンEも豊富で、抗酸化作用のほか血流がよくなり更年期の不調にも有効。
イカを入れればコクアップ
奥深い味わいが楽しめるイカ。それもそのはず、うまみ成分であるアデニル酸を豊富に含んでいる。料理に加えればよりワンランクアップの味が楽しめるのだ。またアデニル酸はグルタミン酸が加わるとよりうまみが増す。昆布だしはもちろん、トマトやかぶなど野菜にもグルタミン酸が含まれ、相性抜群。
(取材・文/樫野早苗)