「飛沫は飛ばしていいんです」
しまじろうの『こどもちゃれんじ』などで知られるベネッセの通信教育『進研ゼミ』の郵送物に、とあるビラが同封されていたという情報がSNSで拡散されている。
事実無根のデマ情報が拡散
ことの発端は3月21日の21時ごろに投稿された、個人アカウントによるツイートだ。
《ベネッセすごい! チャレンジ1年4月号に入ってたんだって》(原文ママ)
というツイートとともに、新型コロナワクチンの接種について警鐘をならすビラの画像が載せられていた。
さらに、《これも入ってたんだって〜》とマスクを外した女性が描かれた「毎日マスクを着けるのは、もうやめませんか?」というビラも入っていたとつぶやいている。
この児童向けの学習教材に反ワクチンやノーマスクを呼びかけるようなビラが同封されていたというツイートは瞬く間に拡散されたが、ベネッセホールディングスはこのツイートを真っ向から否定。
「【ご注意ください】昨日21時頃より、弊社発送教材に新型コロナウイルスのワクチン等に関するチラシが同封されていたとの投稿がされていますが、当社ではこのようなチラシの制作や封入はおこなっておりません。何卒ご注意ください」(ベネッセ進研ゼミ公式アカウントより)
と呼びかけている。さらにベネッセはツイッターで、複数のツイートに対し「ご心配をおかけしてまことに申し訳ありません。進研ゼミ小学講座ではこうしたビラを封入指示している事実はございません」と個別に返信をしている。
ベネッセ広報に取材を申し込むと、以下のような回答があった。
ーー学習教材に反ワクチンやノーマスクを推奨するようなチラシを同封した?
「そういった事実はなく、チラシの制作も封入もしておりません」
ーーチラシが誤って封入される可能性はあるのか。
「封入作業の過程を確認しましたが、チラシが混入するようなことはありません」
ーーこの騒動に対する問い合わせは?
「お客さまから問い合わせはありました。ですが、個別の内容になりますので、どの程度あったかや問い合わせの内容は控えさせていただきます」
ビラはベネッセが入れたものではないとするならば、いったい誰の手によって封入されたのか。そもそも他人への郵送物を勝手に開け、ビラを紛れ込ませることは違法行為にあたらないのか。
ビラを混入、法律的見解は?
事業活動の法律問題に詳しいみずほ中央法律事務所の代表弁護士である三平聡史氏に話を聞いた。
ーー無断でビラを混入することは犯罪行為にあたるのか。
「(偽計)業務妨害罪にあたる可能性があります」
ーーその場合の刑罰はどの程度なのか。
「業務妨害罪となった場合、法定刑(上限)は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です」
マスクの着用やワクチン接種は強制ではなく、あくまで自由な権限として我々に与えられている。とはいえ、企業や他者を巻き込んだ意思表示は、迷惑行為以外の何ものでもない。
今回の一件は、ベネッセホールディングスの株価に影響が出るほどで、もはや笑ってすまされるようないたずらとは言えないだろう。