12kgの減量に成功した松田リエさん

 年齢を重ねると、運動をしても、食事量を減らしても「体重が減らない!」と悩む人は多い。というのも、女性は40~50代を迎えると、(1)筋肉量の低下で基礎代謝がダウン(2)加齢による血糖値の上昇で脂肪をため込みやすくなる(3)更年期による女性ホルモンの激減で脂肪が燃焼しづらく、内臓脂肪がつきやすくなる、という理由により太りやすい身体になってくるから。

プロが教える、“太ってしまうサイクル”からの脱出方法

 さらに、女性ホルモンの分泌低下は過食を引き起こすこともある。では、加齢による“太りサイクル”から脱却するにはどうすればよいのか。

「太る最大の理由である基礎代謝を低下させないために、40代を過ぎると“食べてやせる”を意識することが重要」

 そう指摘するのは、保健師でダイエット講師としても活躍する松田リエさん。加齢による筋肉の減少により大幅にダウンする基礎代謝の低下を防ぐには食事で筋肉維持に努める必要がある。

「肉、魚、卵、豆類などのタンパク質を意識して、バランスよく食べることが大切。毎日3食しっかり食べることで、食後の体温も上がり、脂肪が燃えやすい身体になっていきます」(松田さん、以下同)

 男性と比べ女性は筋トレで筋肉維持をするのは不向きだ。

「基礎代謝を上げる食事の法則を身につければ、やせるだけでなく、便通や肌質改善、イライラしなくなるという変化も。まずは5日間。体内から美しくなる食生活を実践してみてください」

『松田式成功するダイエットルール』

【1】3食しっかり食べる

 手っ取り早く体重が落とせるからといって、食事の量を減らすのはもってのほか! 栄養不足でエネルギーの節約や筋肉の分解につながり、逆に脂肪をためやすい身体になってしまう。

【2】栄養をしっかりとる

 代謝を上げるための筋肉維持につながるタンパク質。代謝アップのエネルギー源となる糖質や脂質、代謝をスムーズにしてくれるビタミンB群などバランスよく取り入れる。

【3】空腹をガマンしない

 食事の間隔が6時間以上空くと筋肉の分解が始まる可能性も。豆乳やヨーグルトなどであれば間食もOK。就寝2時間前までに食べ終われば大丈夫。むしろ食事を抜くのがダメ。

やせる1日スケジュール「“1食抜き”はNG!」

 3食の時間を設定すると体内時計や消化活動のリズムが整い、代謝が加速。食事時間は2時間程度のズレなら問題ないので、意識して続けることを優先して。水分摂取は体温&代謝のアップや便秘改善に効果あり。1日で体重×30mlを目安に“ちょこちょこ飲み”を

起床、1杯の水を飲む……水分摂取は体温&代謝のアップや便秘改善に効果あり。1日で体重×30mlを目安に“ちょこちょこ飲み”を

朝食……朝食を食べると体温が上がり、1日の代謝がアップ。タンパク質、糖質が不可欠。パン派の人は茶色くてかたいものを選んで

昼食……パスタやうどんなどの“糖質とりすぎ”では、血糖値の乱高下で眠気やイライラの原因に。タンパク質とスムーズな代謝を促すビタミン補給を

おやつ……起床後、約8時間後は脂肪をためる働きが弱まる絶好の間食タイム。食物繊維が豊富で質の高い脂質が多いナッツ類、さつまいもや果物などがおすすめ

夕食……就寝中に脂肪を燃焼させて1日の疲れを回復させるために、タンパク質、脂質、ミネラルをとることが重要。腸内環境を整えるきのこや海藻類をプラスして

就寝……夕食は遅くとも20時までにすませるのが理想で、寝る2時間前には食べ終わるよう心がけて

やせる食事、おすすめは定食型

 ではその3食、どう献立を考えるといいのか。

「主菜でタンパク質、副菜や汁ものでビタミンやミネラルなどがバランスよくとれる“定食型”がおすすめです」

 タンパク質は毎食取り入れること。朝は納豆や卵、昼は鶏むね肉や豚肉などの肉類、夜は鯖缶や鮭などの魚類など、タンパク質を含む多様な食品を毎食手のひら分程度食べるのが理想だ。

「うどんやパン、パスタといった主食だけの食事が多い人は、慢性的なタンパク質不足が懸念されます」

 さらに、タンパク質、脂質や糖質という3大栄養素の代謝をスムーズにしてくれるビタミンB群。女性ホルモンの減少をサポートする大豆イソフラボンも取り入れること。

「食事はタンパク質→野菜→炭水化物の順番に食べるのがコツです。ヘルシーだからといってサラダばかりでは、脂肪がつきやすい身体に」

 “タンパク質ファースト”で必要なタンパク質を摂取し、代謝アップを心がけよう。

【ポイント】
夕飯は、主菜(タンパク質)、副菜2品、汁物、ごはんで“定食型”を意識して。濃い味にならないよう原材料はなるべくシンプルなものをチョイスして。

【ごはん】
できるだけ糖質が低く、食物繊維が豊富な雑穀米や玄米を選ぶ。こぶし1つ分の量を目安に。小さい茶碗なら視覚効果で、少量でも満足度が高まる。

【副菜】
ビタミン、ミネラル、食物繊維がしっかりとれる副菜を。味つけは糖分のとりすぎに気をつけて、砂糖の代わりには本みりんや天然甘味料の「エリスリトール」を。

【みそ汁】
汁ものがあれば食事の満足感もアップ。ミネラルと食物繊維がとれる海藻類やきのこがおすすめ。乾燥わかめや乾燥しいたけなど乾物も上手に使って。

【サラダ】
糖分や添加物の多い市販のドレッシングはかけすぎに注意。かつお節やごま、塩昆布、干しえびなどのトッピングをすれば少量の調味料でも満足できる。

主菜の作りおきレシピをご紹介!

 焼くだけ、煮るだけ、混ぜるだけ! あっという間に、タンパク質+αの栄養がとれるヘルシーな1品に。ボリューム感もあるので、食べ応えも十分。冷蔵庫で5日間を目安に食べきって。

アボガドよだれ鶏

鶏むね肉でタンパク質+ビタミンB6の両どり『アボカドよだれ鶏』

材料(2人分)
・鶏むね肉 1枚(300g)
〜アボカドソース〜
・アボカド 1/2個
  ★にんにく(すりおろし)小さじ1/2
  ★しょうゆ、ごま油、白ごま、ねぎ(小口切り)各大さじ1
  ★豆板醤 小さじ1/2
  ★酢 小さじ1

(1人分/エネルギー 170kcal、タンパク質 14g)

【作り方】

(1)鶏むね肉は室温に1時間おいて常温に戻しておく。鶏むね肉が浸るくらいの水量を鍋に入れ沸騰させる。

(2)沸騰したお湯に鶏むね肉を入れ、ふたをして火を消し、そのまま30分つけておく。

(3)皮からくりぬいたアボカドを容器に入れつぶす。Aをすべて加えてよく混ぜ、アボカドソースを作っておく。

(4)鶏むね肉を鍋から取り出し、薄くそぎ切りにする。お皿に盛りつけ、(3)をかける。

【栄養ポイント】鶏肉はタンパク質だけでなく、タンパク質をアミノ酸に分解して筋肉をつくってくれるビタミンB6の両方を含有。

鮭とアスパラのマリネ

アンチエイジング効果もある鮭で美肌も叶う『鮭とアスパラのマリネ』

材料(2人分)
・サーモン(切り身) 2切れ
・カットアスパラ 適量
・紫玉ねぎ 1/2個
・米粉  適量
・顆粒コンソメ 小さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・レモン汁 小さじ1

(1人分/エネルギー 200kcal、タンパク質 17g)

【作り方】

(1)スライスした紫玉ねぎ、コンソメ、オリーブオイル、しょうゆを耐熱容器に入れて電子レンジ(600W)で1分加熱。レモン汁を入れ混ぜる。

(2)サーモンをひと口大に切り、塩、こしょう(分量外)をふる。サーモンに米粉をまぶす。熱したフライパンにオリーブオイル(分量外)を入れ、サーモン、カットアスパラを焼く。

(3)(1)に(2)を入れて混ぜ合わせる。

【栄養ポイント】アンチエイジング&代謝アップ効果のあるアスタキサンチンを含む鮭は女性におすすめの優秀食材!

豚肉のトマト塩麹煮

塩麹で腸をすっきり&薄味でも大満足『豚肉のトマト塩麹煮』

材料(2人分)
・豚ロース薄切り 250g
・玉ねぎ(薄切り) 1/2個
・トマト(水煮缶) 1/2缶
・にんにく チューブ2cm
・塩麹 大さじ2
・オリーブオイル 大さじ1
・白ワイン 大さじ1
・コンソメ 小さじ1
・こしょう 適量
・粉チーズ 大さじ1

(1人分/エネルギー 270kcal、タンパク質 19g)

【作り方】

(1)ひと口大に切った豚肉に塩麹大さじ1をもみ込み、1時間程度おく。

(2)フライパンにオリーブオイル、にんにく、玉ねぎを入れ、弱火で炒める。香りが出てきたら(1)を加えてさらに炒める。

(3)肉に焼き色がついたら、白ワイン、トマト、残りの塩麹、コンソメ、こしょうを入れて弱火にし、フタをして6分煮る。仕上げに粉チーズを加えてひと煮立ちさせる。

【栄養ポイント】豚肉は糖質の代謝を助けるビタミンB1が牛肉や鶏肉の5~10倍。発酵食品を使うことで腸活も同時に。

焼くだけローストビーフ

脂肪燃焼を促進する牛もも肉なら罪悪感なし『焼くだけローストビーフ』

材料(2人分)
・牛もも肉(ブロック) 150g
・塩、こしょう 各適量

(1人分/エネルギー 195kcal、タンパク質 20g)

【作り方】

(1)肉の表面にまんべんなく塩、こしょうをもみ込む。

(2)オリーブオイル(分量外)を入れてフライパンを熱し、肉の表面をしっかり焼く。

(3)肉の全面が香ばしく焼けたらフライパンから取り出して、アルミホイルでしっかり包む(保温するイメージで、アルミホイルは何枚使ってもOK)。そのまま常温で30~40分おく。

【栄養ポイント】牛もも肉は、低糖質で良質なタンパク質と脂肪燃焼効果があるLカルニチンを含むダイエット向き食材。

エビのバジル炒め

エビ×にんにくは筋肉合成の最強タッグ!『エビのバジル炒め』

材料(2人分)
・エビ 200g
・玉ねぎ(薄切り) 1/2個
・塩、オリーブオイル 各適量
  ★乾燥バジル 大さじ1
  ★白ワイン 大さじ1
  ★塩 小さじ1

(1人分/エネルギー 150kcal、タンパク質 19g)

【作り方】

(1)★の材料を混ぜ合わせておく。

(2)エビは殻をむき、背わたを取り除き、塩でもみ洗いして水けをふき取る。

(3)フライパンにオリーブオイルを入れ、エビの両面を焼いてから、玉ねぎを入れて炒める。玉ねぎに火が通ったら(1)を入れからめる。

【栄養ポイント】筋肉を生成するビタミンB6が豊富なにんにくとミネラルなども含むエビは栄養価が高い好相性な組み合わせ。

副菜の作りおき

 代謝アップをサポートする副菜をまとめて作っておけば、ラクに定食が完成。忙しくてうどんやパスタなどの“糖質過多メニュー”に逃げたくなる日もダイエットが継続できる!

きゅうりのキムチあえ

きゅうり&キムチで脂質の代謝はバッチリ『きゅうりのキムチあえ』

材料(2人分)
・きゅうり 2本
・キムチ  80g
・しょうゆ、ごま油 各小さじ1
・塩 適量

(1人分/エネルギー70kcal)

【作り方】

(1)きゅうりは4cmの棒状に切る。袋に入れて塩を加え、袋の上から軽くもんで10分おく。

(2)(1)の水けを絞り、キムチ、ごま油、しょうゆを加えてもみ込む。

【栄養ポイント】きゅうりのホスホリパーゼ、キムチのカプサイシンが脂質を分解。

きのこの塩麹漬け

低糖質で糖質を分解するきのこが下腹にキク『きのこの塩麹漬け』

材料(2人分)
・しいたけ 4〜5枚
・えのきだけ 1袋
・しめじ 1袋
・エリンギ 1パック
・酒 大さじ1
  ★しょうが チューブ2cm
  ★塩麹 大さじ2
  ★ごま油 小さじ1

(1人分/エネルギー50kcal)

【作り方】

(1)すべてのきのこの石づきを除き、食べやすい大きさに切る。

(2)鍋にお湯を沸かす。酒を加えて、(1)を1分ゆで、ざるにあげて水気をきる。

(3)混ぜ合わせた★に(2)を加えてあえる。

【栄養ポイント】きのこは糖質や脂質の代謝に欠かせないビタミンB1、B2の宝庫。

大根の塩昆布あえ

レンチンでビタミンCを逃さず全吸収!『大根の塩昆布あえ』

材料(2人分)
・大根 200g
  ★塩昆布  5g
  ★梅干し(つぶす)  1個
  ★ごま油 大さじ1
  ★すりごま 適量

(1人分/エネルギー50kcal)

【作り方】

(1)大根の皮をむいて、いちょう切りにする。

(2)耐熱容器に、大根を入れてラップをし、電子レンジで4分加熱して水けをきる。★を加えてあえる。

【栄養ポイント】大根含有の水溶性のビタミンCがコラーゲンの生成や鉄の吸収に。

ほうれん草ののりあえ

むくみ解消のスーパーコンビをあえるだけ『ほうれん草ののりあえ』

材料(2人分)
・ほうれん草 1束
・焼きのり 1枚
・だし汁 大さじ1
・しょうゆ 大さじ1

(1人分/エネルギー25kcal)

【作り方】

(1)ほうれん草を塩ゆで(分量外)する。水にさらした後、水けをしっかり絞り、3~4cmに切る。

(2)のりを細かくちぎって、だし汁、しょうゆ、(1)とあえる。

【栄養ポイント】カリウムが豊富なほうれん草とのりで余分な水分をデトックス。

にんじんサラダ

老け防止の鉄板食材をモリモリ召し上がれ『にんじんサラダ』

材料(2人分)
・にんじん 2本
  ★りんご酢 大さじ3
  ★オリーブオイル 大さじ1と1/2
  ★エリスリトール 大さじ1/2
  ★塩、こしょう 各適量
※エリスリトールは厚生労働省で認められたカロリーゼロの天然甘味料。松田家では砂糖を置かず、すべてこの甘味料で甘みを出している。

(1人分/エネルギー75kcal)

【作り方】

(1)にんじんはスライスし、細く切る。

(2)(1)と★を混ぜる。

【栄養ポイント】抗酸化作用があるβカロチンを含むにんじんをたっぷり。美腸にも。

ブロッコリーの塩炒め

レタスの4倍の食物繊維で腸活もバッチリ『ブロッコリーの塩炒め』

材料(2人分)
・ブロッコリー 1株
・にんにく 1片分(みじん切り)
・桜エビ 大さじ1
・ごま油 大さじ1/2
  ★鶏ガラスープの素 小さじ1
  ★塩 小さじ1/4

(1人分/エネルギー50kcal)

【作り方】

(1)ブロッコリーを小房に切りサッとゆでる。ざるにあげ水けをきる。

(2)フライパンにごま油、にんにくを入れて、弱火で炒め、香りが立ったら(1)と桜エビ、★を加えて炒め合わせる。

【栄養ポイント】ブロッコリーには脂肪を燃やすミネラルの一種、クロムも含有。

作りおき食材組み合わせのヒント

 今回の作りおきメニューから主食と副菜を組み合わせて『定食型』にしてみよう。サラダには、えごま油などと酢を1:1で合わせて好みの塩を加える自家製ドレッシングを。みそ汁でさらに栄養を補完し、ごはんを雑穀米や玄米にすればなおよし!

・1日目……アボカドよだれ鶏定食(副菜/きゅうりのキムチあえ、きのこの塩麹漬け)

 鶏むね肉のビタミンB6、きのこのビタミンB1、キムチのビタミンB2と、代謝ビタミンともいわれるビタミンB群がたっぷり。鶏むね肉はイミダゾールジペプチドという代謝アップ、アンチエイジング、疲労回復に効果的な万能栄養素も含有するまさに“神食材”。

・2日目……鮭とアスパラのマリネ定食(副菜/大根の塩昆布あえ、ほうれん草ののりあえ)

 汁物以外で量がとりづらい海藻類を2種の副菜でしっかりと補給。鮭でタンパク質をとりつつ、海藻類に含まれるビタミンB2では脂質の代謝をサポートする。3品とも塩昆布や焼きのり、梅干し、レモン汁などを使い、調味料を使った味つけを最小限に抑えたのもポイント。

・3日目……豚肉のトマト塩麹煮定食(副菜/にんじんサラダ、ほうれん草ののりあえ)

 豚肉、玉ねぎ、にんじん、ほうれん草など、3品とも糖質の代謝に必要なビタミンB1を含む食材を使用。主菜で使うにんにくに含まれるアリシンがそのビタミンB1の吸収を高めるので相乗効果は抜群。加えて、トマトのリコピンは中性脂肪やコレステロールを減らす働きも。

・4日目……焼くだけローストビーフ定食(副菜/きゅうりのキムチあえ、大根の塩昆布あえ)

 ローストビーフはタンパク質の代謝を高めるだけでなく、最初に食べるとかみごたえがあるので、食欲を落ち着かせることにも役立つ。副菜2品に使われるごま油にはコレステロール値を下げるリノール酸がたっぷり。きゅうりは食物繊維が豊富で、血糖値の上昇抑制効果あり。

・5日目……エビのバジル炒め定食(副菜/にんじんサラダ、ブロッコリーの塩炒め)

 オレンジと緑の彩りも美しい3品の組み合わせ。タンパク質の代謝にはエビ×にんにく、糖質の代謝ににんじん、脂質の代謝にブロッコリーが効果を発揮。主菜とにんじんサラダの両方に使われているオリーブオイルは、老化の原因となる悪玉コレステロールを減らしてくれる。

PROFILE ●松田リエさん●看護師、保健師、ダイエット講師。メタボや糖尿病患者への保健指導、自らのダイエット経験を生かして“食べてやせる”メソッドを開発。1200人以上をダイエットの成功に導く。近著に『ずぼら瞬食ダイエット』(小学館)YouTubeチャンネル「松田リエ ll おうちで食べ美」