いま、“性加害”というテーマが世間のホットワードになっている。
『週刊文春』が榊英雄監督、木下ほうかの女性への性加害を立て続けに報じると、『週刊女性』も園子温監督の疑惑について伝えた。映画界にはびこる実態について、女優の水原希子がインタビューに応じたり、吉高由里子や橋本愛らも私見を述べるなど、大きな注目を集めることに。その余波は、芸能界以外にも──。
『週刊新潮』(4月21日号)が報じたのは、テレビ出演なども多い老舗インド料理店『ナイルレストラン』のオーナーG・M・ナイル氏が、知人女性への『強制わいせつ容疑』で捜査され、2021年7月に書類送検されていたこと。
家族ぐるみの付き合いがあったという十年来の知人、40代女性・A子さんは2020年に別宅で無理やり胸をなめられたり、股間を触らされたりしたのだという。パニック状態のなか、かろうじて逃げ出したA子さんは、警察署に被害届を提出。強制わいせつ容疑での捜査が行われた。示談は決裂し、ナイル氏は書類送検。現在も捜査が続いているそうだ。
タイミングの悪い“コラボ”
『ナイルレストラン』は1949年に銀座でオープンし、インドカレーの名店として名を馳せてきた。ナイル氏の父で、先代のA・M・ナイル氏は日印友好親善に尽くした功績から、日本政府から勲三等瑞宝章が贈られている。歴史と伝統のある同店だけに、今回の一件で受けた打撃は大きい。
「この報道はネットニュースにもなり、記事には“あれは事件でもなんでもないですよ。でっち上げ”、“ちょっとイチャイチャして、オトナの男女ならよくある話でしょ”とにやけながら記者に対応したころも書かれています。そういった憤りからか、SNSなどでは、“ひたすら気持ち悪い”“もう行きたくない”といったレストランへの非難も見受けられます」(ウェブメディアライター)
このタイミングで報道されたことによって飛び火を受けている企業がある。コンビニエンスストア最大手の『セブンイレブン』だ。現在、4月初旬から春のフェア『華麗なるカレーパーティー』が開催中で『ナイルレストラン』とのコラボ商品が発売されている。
「有名店が監修するというコンセプトで複数の老舗カレー店とコラボしており、『ナイルレストラン』からはカレー、おむすび、チキンマサラの3点を販売中。かなり好評なのですが、ネット上では“セブンイレブンも脇が甘い”、“発売直前に記事出してほしかったですよ! 先週買ってしまいました…”といった声が噴出してしまうことに。非常にタイミングが悪かった」(前出・ウェブメディアライター)
『強制わいせつ容疑』で現在も捜査中だというショッキングな出来事だけに、ネット上では商品が販売中止になってしまわないかとの懸念も出てきている。
セブンイレブンに今後の販売について聞くと…
類似したケースでは、2007年にステーキチェーン店『ペッパーランチ』心斎橋店の店長らが、女性客に対する強盗強姦などの容疑で逮捕された事件を受けて、『ファミリーマート』が共同開発していた商品を発売目前で中止することを決めたというケースがある。
『ファミリーマート』は当時マスコミの取材に対し、《公序良俗に反する事件で社会的影響があり、共同商品の発売は、自社のブランドにとってもマイナスだと判断した》とコメントを残している。ある大手メーカーの広報担当者は“コラボ商品”の今後について、このように私見を述べる。
「『セブン』さんもすでに全国で販売してしまっていますが、販売中止にまで至るかというと、判断に困る状況だと思いますね。というのも、『ナイルレストラン』とコラボしてはいますが、実際に商品を監修しているのは、ナイル氏のご子息で3代目のナイル善己氏なんです。実際に店を回しているのも彼。オーナーである父親にこのような報道が出たからといって、流通をストップするかという話ではありますよね……。セブンにもクレームがきていると聞きます」
『セブンイレブン』広報に今回の報道を受けてコラボ中止になる可能性について、問い合わせてみたところ、以下の回答が。
《報道があったことは把握しております。現在、担当部署を通じて事実確認をしておりますので、それ以上のことはお答えできません》
報道直後で対応に追われていることがわかる。今回の『セブン』とのコラボを迎えるにあたって3代目のナイル善己はテレビ出演をして商品の宣伝に務めるなど、“伝統の味”を普及せんと精力的に活動しているが……。
「報道でショックを受けていることは間違いないでしょう。味と伝統を守ることに真面目に取り組んでいた方ですから。お客さんの反応を見るためにSNSでエゴサーチをしているといいますから、ニュースをみてガッカリしているユーザーの意見も目にしているはずです。お父様のこととはいえ、どうか気を落とさないでほしいです」(近隣の飲食店店員)
それだけに、反省が一切感じられないナイル氏の受け答えがまた強調されるのである。