千葉貴之容疑者が被害女性を見かけた若松河田駅

「この中年男が20代の被害女性を見かけたのは都営大江戸線の若松河田駅の構内だった。のちに“お尻を見ていたらムラムラしてきた”などと供述しており、面識はなかった。女性と同じ電車に乗り込むと、自宅最寄りの牛込柳町駅をスルーして素人はだしの尾行が始まった」(社会部記者)

 3月19日夜のことだ。女性のあとを追って電車を乗り継ぎ、東武線西新井駅で女性が降りると歩調を合わせ下車。街中を歩く背後をキープしながら、スマートフォンのカメラで女性のお尻を撮影。路地裏に入ったところで襲いかかった。

女性のお尻を両手でわし掴み

「後ろから女性のお尻を両手でわし掴みし、転倒した女性は全治約2週間のケガを負った。男は現場から逃走。女性の110番通報で捜査が始まり、駅構内や周辺の防犯カメラ映像などから比較的スピーディーに逮捕にこぎつけた」(同記者)

 警視庁西新井署が4月9日、強制わいせつ致傷の疑いで逮捕したのは東京都新宿区の会社員・千葉貴之容疑者(41)。

「自己所有のスマホには被害女性のお尻をズーム撮影した画像が複数枚あり、容疑を認めている」(同記者)

 尾行を開始した新宿区内から犯行現場の足立区内まで直線距離で約11キロ、乗り継ぎが順調でも30分以上かかる追跡劇が明らかになった。

 西新井駅近くに住む30代女性は、

「駅前は明るいですけれども、路地を一本入ると暗がりは結構あるんです。被害に遭った女性はさぞ怖かったでしょう。犯人が捕まってよかったです」

 と安堵の表情をみせる。

 千葉容疑者は都内のスーパーマーケットに勤務。事件当日も仕事帰りだったとみられる。関係者によると、鮮魚売り場で魚を捌くなどまじめに働いていたという。

千葉貴之容疑者は女性のあとを追い西新井駅で下車すると……

「遅刻や無断欠勤はなく一所懸命に働いていましたが、正直、仕事ができるほうではありませんでしたね。1980年代のロボットアニメが好きで、ガンダムの話をよくしていたのを覚えています。いわゆる“ヲタク気質”ではありましたが、普通の男でしたよ」(元同僚の男性)

 女性絡みの目立ったトラブルはなかったという。

仕事ができないくせに口うるさい男

 さすがに職場で下心をむき出しにするはずもないが、一緒に仕事をしたことのある女性からはこんな話も。

「評判が悪かった。仕事ができないくせに、周囲には口うるさく言うから。こんなハレンチな事件で逮捕されるとは思っていなかったが、どうしようもない男ではあった」(元同僚の女性)

 事件当日、若松河田駅から西新井駅までどのようなルートをたどったかは明かされていない。最もポピュラーと思われる乗り換えで足跡をたどると、乗り換え距離は長く面倒だし、至るところに防犯カメラがあり、犯行を思いとどまる機会はいくらでもあるように感じた。

 そもそも、尾行はそんなに簡単だろうか。

 捜査関係者はこう話す。

「尾行対象者とつかず離れずの距離を維持するのはその道のプロでも難しい。見失うまいと近づきすぎ、途中で対象者に不審がられたときに備えて複数で追うのがセオリーだ。ただ、これは相手が尾行を警戒している場合であり、一般の人はまさか尾行されているとは思わないからそう難しくない。人混みに紛れていればなおさら気付きにくいだろう」

 女性のお尻をみて思わず興奮し、その劣情を30分以上たぎらせ爆発させた容疑者。理性は早い段階で吹き飛んでいたのかもしれない。