「これは通過点だと思うので、引き続きいいピッチングができるように頑張ります」
偉業達成の翌日に高い志を口にしたのは、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手。
佐々木は同郷の後輩
「4月10日、オリックスバファローズとの試合で打者を1人も塁に出さない“完全試合”を達成しました。元・巨人の槙原寛己さん以来28年ぶりの快挙で、20歳5か月での達成は史上最年少。さらに、試合を通して奪った三振数は19とプロ野球記録のトップに並び、連続奪三振数は13で日本記録を更新。凄まじい暴れっぷりでした」(スポーツ紙記者)
“令和の怪物”の名に恥じないパフォーマンスは、海の向こうでも大きな話題に。
「メジャーリーグでは昨季、大谷翔平選手が“二刀流”の活躍で旋風を巻き起こしましたが、佐々木選手の完全試合もかなり注目を集めています。リーグの公式サイトではすぐに特集記事がアップされ、大谷選手と比較する声も多数。将来的なメジャー挑戦に、早くも期待が寄せられています」(同・スポーツ紙記者)
弱冠20歳にして海外からも注目を集める逸材。大谷とは、そのルーツに共通点が。
「同じ岩手県出身ということで“同郷の後輩”にあたります。アメリカではすでに2人の共演を望む声が上がっていますが、大谷選手としても、メジャーでプレーしているうちに彼が海を渡ってきてくれたら、誇らしいでしょうね」(メジャーリーグ関係者)
大谷も待ち望む、佐々木のメジャー挑戦。しかし、海外移籍にはFA(フリーエージェント)権やポスティング・システム、“25歳ルール”と呼ばれる年齢制限など、複雑な規定がある。今後の動向について、スポーツライターの梅田香子さんに話を聞いた。
現時点では大谷翔平が断然上
「ロッテの井口資仁監督は、現役時代にFA権を行使して大リーグ入りを果たした方なので、移籍への理解はあるはず。もちろん、メジャーでもスターになる可能性は十分。本人の意思と世論の後押しが大切ですが、アメリカ行きは近い将来ありうるかと。メジャーの下部組織にあたるマイナーチームへの移籍なら、年齢制限もない。とはいえ、井口監督が低い年俸で彼を移籍させるとは思えませんが」
メジャー全体としての動きは、佐々木の挑戦を後押しすることになるという。
「現在、大リーグには球団数を拡張する計画があります。次のオフから本格的に協議され、3年以内に2球団が増える可能性が高い。ピッチャーの需要が高まり、佐々木選手の獲得競争は激化するでしょう。大きな額が動けば、球団の承諾も得やすくなります」(梅田さん、以下同)
投手としての大谷と佐々木の違いについては、こう語る。
「大谷選手のほうが身体は仕上がっていますが、投手一本でやってきた佐々木選手の完成度はかなり高い。投球に癖がなく、変化球も抜群です。今のままでも数試合ならメジャーで通用するでしょう。あとは中4日でプレーする体力ですが、これは現時点では大谷選手が断然上。故障を避ける自己管理は、自分との戦いでもあります」
大リーグで1年戦い抜く力は、先輩に軍配が上がった。日米で躍動する大谷と佐々木。2人の「夢の共演」へのカウントダウンは、もう始まっている。