変わらないためには、変わり続けなければならない――。
《阿部寛、ホームページ変更を拒否》
こんなニュースがYahoo!トップページに掲載されたのは4月8日のこと。同日に行われた映画『とんび』の公開舞台挨拶で、主演の阿部寛を共演の安田顕が「阿部さんは、ご自分の公式ホームページを更新された方が」と彼のホームページをイジったことが発端だ。
タイムスリップした印象
「阿部さんの公式ホームページは非常に簡素なデザインで以前から話題になっていたものです。安田さんのイジりに対し阿部さんは、“でも、あれ人気だから”と笑顔で変更を拒否。安田さんも “変える必要ないですね(笑)。失礼しました”と、笑顔で引き下がっていました」(スポーツ紙記者)
本人が非常に気に入り、変更を拒否する阿部のホームページとは……。
「人気がある理由はまずそのデザイン。令和となっては見ることがない、'90年代のインターネット黎明期にあったホームページのデザインが現在に至るまで採用されています。具体的に言うと、阿部さんのホームページは、日本IBMが販売をしていた『ホームページ・ビルダー』というソフトで作られています。
異様なまでの騒ぎとなった『Windows95』の発売、それによりインターネットが普及しだした'90年代中頃、ホームページ作成ソフトが世に広まり出しました。そのためプロではない一般人も趣味でホームページを作成する人が増えた。
当時多かったホームページのレイアウトが、“テーブルレイアウト”という格子状のレイアウトです。阿部さんのホームページもそのレイアウトで、左端にサイドバーがあり、出演情報や出版情報などコンテンツを選択する枠があります。その隣にメインとなるコンテンツ表示画面があり、格子状に2面のレイアウトとなっています」(ITジャーナリスト)
実際にアクセスするとわかるが、阿部寛のホームページを当時を知る人が見たら、少々タイムスリップしたような印象を抱くのではないだろうか。
最初はファンが作ったサイトだった
さらに阿部のホームページは現代のそれとは違い、写真も非常に少ない。そのためアクセス時の表示速度も早い。SNSではその速度について、
《爆速すぎる》
《スマホに速度制限かかったけど、楽々アクセスできた》
《リンク押す前に開いてるんじゃないかというくらい、目にも止まらぬスピード感》
といった“賞賛”の声が上がっている。このように本人も気に入っていて、訪れた人にも人気のホームページ。冒頭のように阿部は変えるつもりはないと話したが、実はこのホームページ、変わり続けてきたものなのだ。
「確かにウェブデザインとして阿部さんのホームページのレイアウトは、懐かしさを覚えるものをいまだに使っていますが、時代に合わせて微調整をくり返しています。格子のサイズを変えたり、要素を減らしたり、文字の色の変更、問い合わせに関する文章を英文でも掲載するなど、幾度も調整し、“変わって”きているんです。
そしてこれはホームページを運営する上で、レイアウト以上に大切なことだと思いますが、出演などに関する最新情報の更新が非常に迅速です。芸能人のホームページを見ると、SNSで告知すればいいと考えているのか、最新情報の更新が数年前という人はザラにいます。たくさん番組に出演している人でさえそういったことは少なくないです」(前出・ITジャーナリスト)
実はこの阿部のホームページ、現在は公式であるが、かつては非公式ホームページだった。
「当初はファンの方が作ったファンサイトでした。後に阿部さんの事務所が公認し、公式ホームページとなりました。ちなみに阿部さんだけでなく、同じ所属事務所の名取裕子さんのホームページも同じようなテイストのデザインです」(芸能プロ関係者)
老舗の飲食店は人気を継続するために、味を絶えず研究し、時代の嗜好に合うよう微調整を続ける店も多いという。阿部のホームページも、変わらぬ人気を維持していくため、時代に合わせて変わり続けてきたというわけか。